慢性関節リウマチに合併する脳病変として,稀に肥厚性硬膜炎が生じることが知られているが,脳実質の病変の合併はきわめて稀である.今回,RAに合併したと考えられる多発脳病変を呈した症例のMRI像が札幌市立病院より報告されている.症例は51歳女性で,20年来のRAを既往歴として持つ.2ヶ月の経過で歩行障害が増悪し,神経学的には腱反射亢進と病的反射,左上下肢の麻痺を認めた.検査ではRF値高値(241 IU/mL),髄液pleocytosis(205/mm3)を認めるが,抗リン脂質抗体は陰性.MSはMBPとOCBの結果から否定している.MRIはDWIでは明らかな異常はないが,T2WIにて被殻,内包,中脳,橋被蓋に両側・対称性の高信号,視床は右側のみに高信号を認めている(造影効果なし).脊髄でもC4-7レベルに高信号を認める.RAに伴う脳脊髄炎と診断し,ステロイドを使用したところ,MRI異常信号はほぼ消失し,症状も改善した.異常信号の機序としてはvasogenic edemaが考えやすいとの考察.
本例が本当にRAに伴う多発脳脊髄炎であるかの判断は難しいが,本例のMRIの両側対称性の病変はきわめて特徴的であり,少なくとも同様の画像を見た場合にはRAの可能性を検討すべきと言えよう.
Arch Neurol 61; 1974-1975, 2004
本例が本当にRAに伴う多発脳脊髄炎であるかの判断は難しいが,本例のMRIの両側対称性の病変はきわめて特徴的であり,少なくとも同様の画像を見た場合にはRAの可能性を検討すべきと言えよう.
Arch Neurol 61; 1974-1975, 2004
