Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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安楽死・尊厳死の現在

2019年12月17日 | 医学と医療
下記に提示したスライドは岐阜大学の医学部学生と行っている「リベラルアーツ研究会」の資料である.今回の課題図書はシェリー・ケーガン著「「死」とは何か 」であった.イエール大学哲学科教授による死に関する考察で,とくに印象的なものは以下の3つであった.

①死が悪いとされる最も大きな理由は,今後,良いことの起きる可能性が剥奪されてしまうからだ.
②不死は良いものではない.私達が求めているのは自分が満足するまで生きることだ.
③自殺という選択肢は正当になることもある.


とくに③を記載する第9章「自殺」を,関心を持って読んだ.その理由は,NHKで報道された日本人神経難病患者のスイスにおける医師介助自殺(physician-assisted suicide;PAS)が,私にとって非常に衝撃的であったことと強く関連している(過去のブログ参照;NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」を見て).

今回の研究会では,医学部学生による課題図書に対する意見や感想が披露されたあと,私は「安楽死・尊厳死の現在-最終段階の医療と自己決定 (中公新書)」を参考に,安楽死の定義と世界各国の状況を解説した.その後,ケーガン教授の「自殺」に対する考察を,前述の日本人神経難病患者に当てはめて,議論のポイントを再考した.重要なことは,安楽死の一面だけ見て議論するのではなく,まず海外の状況をしっかり理解するところから始めることだと思う.ぜひスライドをご覧いただきたい.



参考図書:安楽死・尊厳死の現在-最終段階の医療と自己決定 (中公新書)


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