Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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Posterior cortical atrophy(PCA)の臨床・病理像

2004年10月26日 | その他の変性疾患
Posterior cortical atrophy(PCA)は後頭葉の進行性の萎縮を来たす疾患で,本邦からも複数の報告例がある.今回,PCAに関する2つのケースシリーズがNeurologyに掲載された.まずMayo Clinicは過去14年間に集積した40例を検討した.発症年齢は60.5±8.9歳,性別は女性が男性の2倍であった.主な視覚異常は同時失認(82%;Balint症候群の一部)および視野障害(47.5%)で,そのほか,失計算(Gerstmann症候群の一部),失読,健忘性失語もしばしば認められた.病初期には病識は保たれていた.ApoEやtauのハプロ解析はアルツハイマー病(AD)のパターンとは異なっていた.9例で剖検が行われ,7例はADで,2例はCBDの病理像に類似していた.しかし,ADと類似していた7例のNFTの分布は,Brodmann 17, 18野(後頭葉)が主体で,海馬には少なく,ADのパターンとは明らかに異なっていた.
 もうひとつの報告はWashington大からの報告で,臨床的にPCAと考えられる27例(性差なし)を検討し,うち21例で剖検を施行.内訳はADが13例,AD-Lewy body variant,CBD,プリオン関連疾患が各2例ずつ,AD and PD,DLB with subcortical gliosisが各1例であった.
 以上の報告はPCDがheterogeneousな病態であること,ADと類似する病理像を呈することが多いものの,ADとは同一の病態ではないことを示唆している.

Neurology 63;1168-1174, 2004
Neurology 63;1175-1180, 2004
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