Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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慢性頭痛の診療ガイドライン

2006年03月31日 | 頭痛や痛み
 「慢性頭痛の診療ガイドライン」が出版された.日本頭痛学会のホームページからも閲覧可能である.本書のユニークなところは,臨床現場で問題となっていることを,clinical question(CQ)として調査し,それに答える形で,推奨のグレード,および解説を記載したことである.
 ガイドラインは,8つのセクションから構成されていて,第1章の頭痛一般は,日本頭痛学会の頭痛診療に関する主張のようなものが窺われて,なかなか興味深い(例えば,一次性頭痛の入院治療の対象は?,漢方薬は有用か?,医師―患者関係で留意すべき点は?などユニークなCQが並ぶ).第2章以降は各論に移り,対象疾患としては,片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛,その他の一次性頭痛,薬物乱用性頭痛,小児の頭痛を取り上げている(第1章と比較し,いきなり参考文献に本邦からものがなくなってしまう点は予想されることとはいえ悲しい).米国神経学会(AAN)のガイドラインであるpractice parameterと比較すると,グレードを決定する根拠となったオリジナルの論文についての具体的データや,エビデンス・レベルに関する記載に乏しい印象を受けるが,このガイドラインが専門医のみではなく,プライマリ・ケア医への普及を目的として作られたことを考えれば妥当なのかもしれない.
 案外,役に立つのは巻末にある国際頭痛分類第2版とWHO ICD-10 NAコードである.眺めているだけでも,頭痛にはいろいろな種類や原因があるのだなあと勉強になった.

動脈内膜切除後頭痛
網膜片頭痛
一次性雷鳴頭痛
キアリ奇形Ⅰ型による頭痛
オルガズム前ないし時頭痛
脳脊髄液リンパ球増加症候群
ホスホジエステラーゼ阻害薬誘発性頭痛
睡眠時無呼吸性頭痛
絶食による頭痛
・・・・どんな痛みなのか,想像がつかんな.ちなみに私がよく経験する頭痛は,専門的には「遅延型アルコール誘発頭痛」というらしい.

慢性頭痛の診療ガイドライン.医学書院
(題名をクリックするとAmazonにリンクします)

追伸;来週からAANでの発表のため,しばらく更新をお休みします
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