ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

違う切り口、新しいアイディア

2015年09月17日 | レッスンメモ
前回書いたように私はピアノを学ぶ一人として、コンサートやセミナーに通うよう心がけています。そこから学んだことを自分の演奏や生徒たちへの指導に活かしたいからです。自分とは違う切り口で曲をとらえたり、自分に足りない知識や演奏テクニックなどを学び続ける。これは私にとって大切なことです。同じことは生徒たちにも言えます。色んな機会をとらえて、私以外の人やピアニスト、CDからも貪欲に吸収してほしいと思っています。

そんな機会を生徒たちに提供する試みの一つとして、私は時々自分の教室に素晴らしい先生をお招きして、生徒たちにレッスンしていただくようお願いすることがあります。いつもの先生(私)とは違う有名な先生にレッスンしていただけるということで、もうそれだけで生徒たちはピリッとします。先生が違えば目の付け所も違うし、指導のポイントが違ってきます。同じようなことを指摘するときでもその説明の仕方、言葉使いが違います。そうすると生徒への伝わり方も違ってきます。生徒たちからみればいつもと同じ曲のレッスンなのだけど、それを新しい切り口と新しいアイデアでとらえ直すとても良い機会になるわけです。

前回、わざわざ東京からお越しいただいたのはウララ・ササキ先生です。ウララ先生はイタリアで育って、その後「ウィーン国立音楽大学ソリストクラスを“審査員全員一致最高点”を得て首席卒業」されたというすごいお方。演奏活動や教育指導で全国を飛び回っていらして、そしてなおかつ子育ての真っ最中という、ものすごいハードスケジュールの中、無理を承知でお願いしたところ、快くお引き受けいただいて、とても感謝しています。

普段私たちが当たり前のように使っている楽語はそのほとんどがイタリア語ですが、イタリアで育ったウララ先生はそのイタリア語が本来持っている意味をイタリア人と同じようにご理解されていて、それを子供たちにわかりやすく教えてくださるなど、目からウロコが落ちるようなお話がたくさんありました。しかも音楽性についてはあのブッフビンダー先生の愛弟子!ということでまさに正統なウィーン流。もちろん生徒たちや曲のレベルに合わせたご指導ですから、基本的な事柄が中心ですが、たとえ同じようなことを伝えるにしても私とは言葉の選び方が違うということがしばしばでした。それによって生徒の理解が違ってくる。違う言葉で違う表現で伝えてくれる、そうすると今まで見えていなかったことがスッと見えてくるようになる。それがいつもとは違う先生から学ぶときの良い点です。

ウララ先生には朝から晩まで二日間にわたって生徒たち(大人も子供も)を見ていただきました。貴重な機会なので、ものすごくタイトに詰め込んだスケジュールで申し訳ないほどでしたが、ちっとも焦らず優しく生徒たちに接してくれました。たくさんのアイディアもご提案いただき、とても興味深いレッスンでした。そして私には経験のないイタリアやウィーンのお話も、生徒達にクラシック音楽の故郷、ヨーロッパの世界に思いを馳せる貴重なきっかけになったと思います。

今後も生徒たちのためにこういう機会をできるだけ作っていきたいと思っています。生徒も私も一緒に学んで一緒に伸びていきたいですね。そうすれば、ますますピアノが楽しくなっていくと信じています。

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