ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

酔芙蓉

2014年09月23日 | レッスンメモ
秋も本番を迎えて、気持ちのいい日が続きます。今日もすっきり秋晴れ。そんな秋の太陽に照らされ、我が家の酔芙蓉(スイフヨウ)の花が輝いています。酔芙蓉の花は朝は純白。午後になると少しづつほんのりとピンクが入ってきて、夕方には濃いピンク色に変化します。この変化が楽しくて、何年か前に苗木を買って来て植えたのでした。真っ白な花がだんだん赤くなるところを、人がお酒に酔って顔が赤くなる様子に見立てたことから、酔芙蓉というネーミングがついたそうです。花の色の変化と言えば思い出すのは百人一首の中のこのうたです。

花の色は うつりにけりな いたづらに
   わが身世にふる ながめせしまに  小野小町

もっとも、ここにうたわれている「花」は酔芙蓉ではなくてさくらの花のことだそうす。だとすると、小野小町はさくらの花の咲き始めからしおれていくまで、約1-2週間の間の変化を人の一生の変化に見立てて、もの思いにふけったということですね。平安時代と違って現代は時間の流れがもっとずっとスピードアップしているので、私はこの酔芙蓉の花の色の、たった一日で変化していく様子を観て、人の一生の時の流れ、その変化に思いをはせてしまいます。酔芙蓉の花は、長いようでも過ぎてみれば実は短い人の一生を、あっという間の一日で見事に表わしていると思っています。

明るい朝日を浴びて純白の若々しい姿の酔芙蓉。

午後にはうっすらピンクになってきます。

そして真っ赤になって盛りを迎えて、最後はしおれてしまいます

私は真っ白な酔芙蓉の花にピンクの色がうっすらと入り始めたくらいのときの様子が一番好きです。ちょうどその頃が教室の生徒たちの年頃みたいに思えるのです。少しずつ成長して色の変わり始めの時期。この時期は一瞬たりとも同じ状態にとどまっていることがありません。一番変化が早い時期ともいえるでしょう。あまりに可愛らしいので「時間よ、とまれ」と思うこともあるのですが、実際には止まらないので、なおさら愛おしく、そして切ないのですよね。私はこの大事な時期を生徒たちと共に過ごせることをとても感謝しています。さあ、これから先、みんなどんな色に変化していくかな、生徒たちとの時間を大切にして、いつまでもその成長を見守り続けたいと思っています。

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