Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

第三波までの再計画

2020-10-30 | 文化一般
ヴィーナーフィルハーモニカー訪日決定で湧いているようなので一言解説。11月1日からの日本への帰国者への議論は長く告知されていた。その枠をフィルハーモニカーに使うこと自体は全く問題が無かった。呼び屋さんが日本の在外駐在人に対する受け容れ企業のように管理責任を担うという事で全く問題が無かった。それどころかPCRテストは五月以降継続して行っていて、未だにヴィーナーフィルハーモニカークラスターは発生していない。陽性者をふるい落としてしていくノウハウも確立しているようだ。

最後まで問題になったのは、日本側の対応というよりもオーストリア側の事情があったと思う。既に日本からの旅行者の受け入れなどは出来ていたのでヴィーンに戻って来ることは問題が無かった筈であるが、最後まで不透明だったのはロックダウンの影響だったと思う。死者がゾクゾク出るような中で、外出禁止が引かれている中での活動だ。

五月の時のようにフィルハーモニカーの団長フロシャウワーがクルツ首相に電話したと思う。そこで急遽土曜日に宣言されて実効も時間を置かずに為されるとなると、準公務員としての国立劇場のお勤めから解放されると同時に今後の在り方を解決する方法として日本公演実施が最も合理的な結論となったのだろう。自助努力で困窮を解決してさらに外国から金をとってくるとして文句を言う国民などは皆無である。「サントリーの生でもスーパードライでも楽しんで来てください」と言われたかもしれない。決定への最終段はこんなところでそう遠くないと思う。

クルツ首相の判断は、夏のザルツブルクまでのそれを今後も厳しく追及されるだろう。なぜならば多くの人はそのお蔭で冬の大切な収入を失ってしまうからだ。それどころかスキーシーズンの経済は国の重要な収入源で国立劇場などとは意味が全く違う。実際に九月初めの陽性率を見ると夏の間のヴァカンスや外国人の受け入れなどが潜在的な感染を広がたことは間違いない。どこの国でも似たようなものだが、国内的な合意が充分に得ていなかった事に尽きる。しかし今回は、フィルハーモニカーを僻む者はいても、何も政治判断とは関係が無い。

木曜日はベルリンからの中継も報じられていた。フィルハーモニーからのラディオ生中継放送の予定だった。新聞の番組表にも載っているので水曜日以降に判断が変わったと思われる。つまりロックダウンが始まると同時に五百人規模だったのを八百人へと拡大したのだろう。だから少なくともプレス発表の売り切れたコンサートを中継という名目は無くなった。実際のところは分からないが、国内ツアーに向けての中継とかもあったのだろう、中止になってしまうとその名目も無くなった。

フランクフルトのアルテオパーは、11月末までの自主公演を全額払い戻しにした。但しフォーミュラーは寄付か手数料引きの金券になっていて正しくない。しかし何処までも全額返還を求めようと思う。そのようにメールでも宣言しているのだから、こちらから慌てて動く必要は無い。

バーデンバーデンの祝祭劇場は、年末までの計画を中止して、再開は年明けからとした。その中には、ベルリナーフィルハーモニカー以外にもバルトリ公演、ミュンヒナーフィルハーモニカー公演が含まれていて、大みそかには今回初めてのSWR交響楽団によるARDジルフェスタ―中継が予定されていた。ベルリンからのArte、ZDFのドレスデンと対抗するものだった。

12月を取り止めた理由は、ミュンヒナーフィルハーモニカーの公演を問題なく行うには時間的余裕が無いという事だった。ミュンヘンでの公演は可能でも、そこから人数を新たに定めての公演は難しい。ベルリンの政府が目標と掲げる新感染者指数50に収まったとしても、それ以前の感染度合いと今後の感染度では矢張り異なる。広がった感染を押さえて行くには前以上に人数制限などが益々厳しくなっていくべきものだ。

そのようなことから復活祭までの再計画へと事態は進んでいる。春に引き延ばされる第三波にかけての計画である。



参照:
疑わしいロックダウン 2020-10-29 | 歴史・時事
ロックダウンへの歩み 2020-10-28 | 文化一般
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