Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

しっぽりとした夜

2020-10-03 | 生活
11月7日のバーデンバーデン祝祭劇場でのティケットが届いた。NEUと書かれていて今まで出ていた他の公演の件などと峻別可能になっている。フル入場から500人へと落とした新たな配券である。当該のキリル・ペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーの公演は今回が初めての週明け月曜日の発売となる。今回届いたのは先行発売分となる。

11月4日のフランクフルトのアルテオパーは完売した。一般にニュースレターが回ると直ぐに売り切れた。席の選定は無しにお任せだった。最高席しかなかったので前か後ろだけの差であるが、シングル席は殆ど無かった。ケルンのフィルハーモニーの売れ行きを見るとあまり出ていない。高価であるのと詰め込み過ぎのマスク着用がどのように受け止められるか?バーデンバーデンの同じプログラムのエルフィーは616席でもマスクを外せるので安めの席ならお得だろう。空調はエルフィーが上に抜けるだけなので一番効きそうな気がする。

金曜日の18時前にネットが落ちた。IP電話も通じなくなった。その為に二系統を使っているのだが、双方とも落ちた。仕方が無いので携帯電話で事情を調べたのは21時ごろだった。二系統落ちるという事はアパートメントへ通じる回線が遮断されたか、大規模な本線のグラスファーバーが通じなくなったかしかない。後者だった様だ。修復は休日の朝5時過ぎという事だったので、頭を切り替えた。

読書程には落ち着かなかったので、NASに入ってい映画を観た。DLだけしてあったARTE局のフランス語字幕で鈴木清順作渡哲也主演の「関東流れ者」である。清順ファンがいて、以前も同様なものを観たが今回は若干内容が異なった。淡路島出身の渡哲也死去に伴う放映ではなかったと思うが、そういう事になった。渡を子供の時からみていた人を知っていたので何となく身近に感じる。清順はあの当時のヌーヴェルヴァークのカラー映画の美術や若者としての渡を上手に起用していて、周りの配役も二谷英明など北竜二やマムシの川地民夫などアクが強い。北竜二の場合は小津映画でのそれとの差が大き過ぎてあまり同定していなかった。最初は子分想いのおいおいの親分の表情の作り方がこの映画の最高の名演技だった。佐世保の舎弟役の玉川伊佐男の顔には最近も馴染みがあるなと思ったら逃亡中のゴーンであった。この作品の曲が圭子の夢は夜開くのB面だとは知らなかった。

やくざ続きで寅さんの「僕のおじさん」を始めてじっくり観た。1989年の作のようだが、渥美清の表情がもう晩年のそれになっていた。一番打たれたのは、佐賀の街から出て行くときのプラットフォームの光景だった。秋の夕方にはまだならない午後の風景だが、地元の生徒たちの前を通て行く寅さんの背景には小さな山があって、その陽の加減とそれほど乾燥していないような空気感が圧倒的だった。あれは欧州にはない雰囲気で、なんともしっぽりした感じで、その前の十代の男女のデートシーンにも通じる趣だ。

ペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーのボックスを引き続き流している。次に興味があったのが、リュディ・シュテファンの録音で、これは珍しい曲だけでなくて、ペトレンコが客演していた当時の音響という事でも注目される。だから今ほど若しくは今後演奏するときほどにはペトレンコサウンドが明らかではないだろうが、それはそれでいい演奏である。スクリャビン作曲の「恍惚の詩」は人気があるが、こちらはあまり語られることが無い。それでもこうやって聴いてみるとやはり名演奏だった。



参照:
とても高い芸術的な価値 2020-10-02 | 音
飲食と同じ芸術音楽需要 2020-09-30 | 文化一般
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