Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

通信社のインタヴュー記事

2020-10-01 | 
バイロイト初の女性指揮者オクサーナ・リニヴの通信社へのインタヴューが面白い。バイロイトは頂点なのでそこで指揮できるのは栄誉だとしながら、同時にティーレマンとの出会いをと持ち上げる。2013年の二日目から現地に入っている筈だが、ティーレマンとは会っていないようだ。

キリル・ペトレンコのアシスタントに採用された、最初にペトレンコ指揮の音楽を聴いたのがその年の二日目の「ヴァルキューレ」だった様だ。つまり、ペトレンコのバイロイトサウンドをチェックしていたのは彼女だという事が想像される。更にその後は奈落の中でもその指揮を見ていたというので、あのミュンヘンでのアシスタントぶりを知っている者は彼女が最早元祖音楽監督ティーレマンのアドヴァイスなどは一切不要なことは分かる。

しかし彼女は、それどころかティーレマンの録音を学生時代に聴いて勉強して、元祖とヴァークナーとの関係を綴った自著までを読んでいて、ヴァークナー指揮者として評価しているというのだ。ここまで女性に言われると元祖も警戒心を持ちながらも悪い気はしないであろう。指揮の同業者からのここまでの賛辞は思い浮かばない。

想像では既にマルヴィッツもヴァークナーを振っていただろうが、カタリーナ・ヴァークナー体制では特に元祖音楽監督にとってはヨアンナ・マルヴィッツよりもウクライナのリニヴの方が御しやすしと思った可能性がある。そして今回のインタヴューから、2017年5月に噂によるとカタリーナがバルセロナのリセウ劇場での「オランダ人」を聴いて、翌年2018年になって決定の通知があったとなる。2017年の秋になって、グラーツの音楽監督に就任していたので、総合的な判断ともなったのであろう。逆に言うと2021年にはまだオーストリアの音楽監督に過ぎなかった可能性が高い。

グラーツを辞めることになった背景には外界の事情があったように窺われるが、ここに来てのインタヴュ―での内容が、そのヴァークナーはソヴィエト時代には敬遠されていて、殆ど演奏される事なく接する事も無かったので、集中して勉強したという。

毎日ピアノに座って引き続けて、多くの古い録音をLPで聴いて徹底的に勉強したという。その時はまさか緑の丘で自らが指揮することなんて考えてもしなかったと語る。

そして来年までの145年間に92人の男たちが指揮台に立つが女性はただ一人となる。百年前には女性が指揮することは、当時既に成功していた女性指揮者がいたのだが考えられなかったことと語っている。

42歳になるが今回も若いウクライナの女性指揮者と書かれる。今回の発表で世界からの注目を集め日本からもと思った以上の反響に驚いている。しかし、彼女を2015年から見ているが、見た目とは異なって可成り強いことは分かっていて、十年ほど若いマルヴィッツとは全く異なる強靭なところは良く窺われる。

上の元祖への賛辞だけで、このあの事件の一部始終知っている女性が語ったその言葉だけで、キャリアを積んできた女性のしたたかさそのものを感じる。

そして指揮は、その結果は上手く行けばペトレンコ指揮以上に画期的な結果になる可能性が強い。「オランダ人」を振ることになったのもついているかもしれない。先ずは来年開催されるかどうかだけの問題だ。

因みにリニヴの名前が独語表記にもなっている。今までは英語表記がドイツでも使われていたことから、発音に疑問があったが、キリル表記Оксана Ярославівна Линівと共に正しい発音が分かるだろう。



参照:
ヴァークナーも誇りに 2020-09-22 | 女
女声につける女性指揮者 2020-09-11 | 女

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