Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

奈落拡大計画の実験

2020-06-24 | 文化一般
ミュンヘンのオペラの奈落拡大計画を読んだ。工事は大分前からやっていたが、最終的な目標が書いてあって、既に音響実験はしているのだろう。先ずファクトとして、1.5mの間隔を取りながら一人当たり7平米を確保しながら新シーズンをどのように進めて行くか、その問題は管弦楽団にあって、先ずは50年前に設置されたピットの壁が取り外された。

通常111人入る世界でも最も大きな舞台の奈落として100平米を客席四列分拡張することで170平米とした。しかし上の衛生条件では通常の人数も入らない。そこで管弦楽団を奈落では無く上に出すことで音響的に解決する方法が取られる。

因みに来週月曜日の二種類のアンサムブルの設置図が示されていて、キリル・ペトレンコが指揮することになる。30人近い管弦楽となっている。カウフマンは張り出し舞台で歌うのだろうか。

指揮者は当然のことながら歌声とのバランスをとることは要求されるが、この方法が当分のコロナ基準の中では最も芸術的な可能性がある解決法としている。その他のシールドの聴覚への悪影響など憂慮すべきことだとしていて、この月曜日のバロックコンサートでのテスト結果などから、この解決策で新年度は公演が進められる。客席は2100なので、恐らく三分の一原則で800席ぐらいの公演が続くのではなかろうか。

一方ベルリナーフィルハーモニカーの支配人ツェッチマンがインタヴューに答えて、8月25日以降は学校でもソーシャルディスタンシングが廃止されるので状況が変わってくるのを期待していると発言している。そして音楽界はツーリズムや飲食業のように充分に妥協がなされていないと苦情する。インタヴュアーがそれはヴィースバーデンに登場した歌手のフォレが飛行機内の様子を示した写真のようなことを言うのかと追い打ちする。

そしてザルツブルクではより制限の緩いオーストリア対応でやるのかと尋ねると、「それは自らがシャリティで検証結果を出したように、ドイツの基準に従う、なぜならばここの保険でそこで勤めているからだ」と明晰な回答としていた。

シュヴェービッシュの新聞だからか、復活祭に関しても言及していた。「フィデリオ」を楽しみに、それ以外の全体にもと発言していて、こちらの関心をぐっと掴む。折からベルリンの歌劇場が8月31日に「フィデリオ」でオペラ上演を再開すると聞くと、11月のアメリカ旅行中止の節はその他のマーラー交響曲六番や「ミサソレムニス」は不可能なので、「フィデリオ」の方が可能性が歌手のスケデュール以外は演奏の可能性が高くなってきたというのもある。

当初の予定としてニューヨークから飛んできた21日、22日、23日の週末が小さなフェスティヴァルとして予想された。直後の翌週に「サロメ」の舞台稽古などが予想された。祝祭大劇場が空くのは16日からで一週間と週末が使えるのだろう。

その日程ではマルリス・ペーターセンは11月13日までマリエッタをブルッセルで歌う。マチュー・ポテンザーニもシカゴオペラがキャンセルでフリーに、ヴォルフガンク・コッホも15日までで新制作をミュンヘンで終える。タレク・ナズミは21日からマクベス。ハンナ・エリザベートミュラーだけがヴィーンでアラベラ。キャスティング一部変更でなんとかならないものだろうか。演出は力のある人なら何とかなる。合唱の扱いだけは工夫しなければいけないだろう。

それにしても新シーズン年内は活動しないロンドンの交響楽団の入場券を未だに売り続けている祝祭劇場は如何なものだろうか?それでも現金では返さないとすれば詐欺に近く不誠実だ。



参照:
奈落を平土間へと拡張 2020-06-03 | マスメディア批評
大胆不敵なヴィーナー 2020-06-08 | 雑感
コメント
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