オフィスのある新宿に向かう朝、厚木駅から相模川を渡って一駅戻り、本厚木からロマンスカーに乗る。窓から眺める幅広い相模川には中洲もあって、両岸に数名、酔狂なと言いたくなる中洲に一人、6月1日に解禁になった鮎の釣り人が腰まで水に浸って竿を投げかけている。初夏の風物詩、写真になる光景だ。6月20日の朝、その川の流れが濁流になって中洲が隠れ釣り人の姿がない。青空が広がり始めた。台風一過、梅雨の谷間でもある。
その前日の19日。写真家村井修さんのスタジオを訪ね、12月に行うDOCOMOMOセミナーの打ち合わせを行った夜の出来事である。降りる厚木駅の一つ手前、海老名駅で電車が止まってしまった。相模川の風速が規定値の25メートルを越えたので、海老名-本厚木間の運行をストップするというのだ。へー!25メートルが安全指針なのだ。
さてさて、規定値が下がるまで今しばらくお待ち下さいとの車内放送、台風がすぐそこまで来ていることに気が付かなかった。接近するのは翌朝のはずなのに見事に早い。歩けば我が家まで20分。傘は暴風でさせない。でも暴雨でもある。
30分ほどして規定値を下回ったので動かすとの車内放送あり。ぎゅう詰めになる。海老名駅は横浜から帰宅する相鉄線乗客がいるからだ。しめた!と思ったのもまあ一瞬、5分ほどして規定値を上回ったので発車中止、以降規定値を上回っているとの繰り返しなり。
妻君に携帯電話をかける。のんびりとやや笑いを含み、でも心配げに「台風は静岡あたりに居るみたい」。小田急の奴め!しばらくはないだろうと腹の中で悪態を付く。これから接近するので風はもっと強くなるのではないか?
「歩くか」。風速は25メートル、いや30メートルなのかもしれない。初体験、面白いかもしれない。こういう時だ、男の決断である。しかし決断するまでに2時間、我ながら情けなくなった。「そして誰も居なくなった」ではないが、車内の立ち人ほとんど居なくなった。
さて、エイ!と車外に出て驚いた。ホームに立つ人多し。さらに、階段に座る人ぎっしりなり。なんとあの広い改札ホールが歩けないくらい人で一杯だ。トイレに駆け込んだ後、今度は逡巡せずに改札を出た。戻っても座る場がないからだ。歩道橋で吹っ飛ばされそうになる。雨は小降り、といったところで我が家にたどり着き、シャワーを浴びて飲んだビールのうまいこと、TVでは台風情報が流れている。あれ!台風はどうやらこの近くに居るようだぜ。一杯飲んだら電車が動き出したとの報が映し出された。初夏の情けなきボヤキの一齣である。
<写真 中洲も現れ、釣り人来るの相模川、3日後6月23日の一齣>
因みに現場では10メートルを超えるとクレーン作業を中止しておりました。
歩道橋で本当に飛ばされなくて、何よりです!
止まったのが相模大野駅では無くて良かったです。
全く!と言いたくなってます。
もう一電車早ければ、何事もなく帰宅できたでしょうし、新宿で乗る時間が少し遅れたらどうなったか!まあ人生ってそんなものでしょう(なんてまあ大げさな・笑)
ところでmさんは、Z通勤でしょうか?