日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

ホドラーの山と小林春規の初冬

2014-11-30 21:02:32 | 愛しいもの

今朝(11月30日)のNHK日曜美術館で、スイスの画家ヘルディナンド・ホドラーの作品群を見ながら考える。
貧困の中で生まれ、父や母や兄弟を亡くすなど、必ずしも豊かではない人生を過ごし、65歳の若さで没するが、クリムトと並び証される巨匠といわれることになるその経歴に瞑目した。同時に晩年近くになって描かれる風景画の中に、僕の親しい新潟の板画家、小林春規の「初冬」と題した作品が重なって見えてくる。

この「初冬」については、数年前にこの欄でも触れたことがあるが、TV画面に出てくるホドラーの山を捉えた風景画に匹敵する自然への憧憬とそれを捉える力量に心打たれるのだ。

ホドラーの作品には幼少時の母や兄弟の死への感性が宿っているといわれるが、山を捉えた明るい色彩のなかにもその匂いが漂っている。小林の冬の新潟を捉えた雲間から注がれる光の中に、何故か同じものを感じるのだがどうだろうか!