日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

アイヌの神様:フクロウの木彫

2014-11-09 15:47:15 | 文化考

何処の地名にも歴史的な経緯があるが、とりわけ北海道の地名には独自の趣があって興味が尽きない。新千歳空港から間近い太平洋に面する「苫小牧」という名がなぜか気になっていた。
今年の訪札で、何とかやりくりして一日道内を案内してくれる諸澤(moro)さんは、僕の口から毎年苫小牧の名がでるので、よし今年は!と苫小牧港に案内してくれた。

大きな客船が停泊しているが、港町特有の塩の匂いに満ちたざわつきが感じられない。駐車場に車は止まっているが人影がないからだろう。そして白老(シラオイ)に向かう。

白老は「ポトロコタン(アイヌ民族博物館)」のあるアイヌの郷だ。
ポトロ湖とコタンの森に囲まれた平地に5軒のアイヌの家を復元し、ポトロコタンには民具や様々な資料展示がなされている。ポトロ湖の向かい側の森林地にはアイヌの集落があったという。

諸(moro)さんは、プレス・カフェのある小樽の反対側にあるこの地には今後来ることもできないだろうと考えて行程を組んでくれた。特段の思いのある沖縄とアイヌ民族とに通じるものがあるのではないかと言われることがあるが、その学術的な検証がなされているのかどうか僕は知らない。しかしパンフレットにある「イランカラプテ(こんにちは)」から始めよう、という一言に感じるものがある。

さて博物館で絵葉書と一筆箋を求め、おみやげ物屋を覗いてみた。眼に留まったのは北海道の樹、槐(エンジ)を刻んだ「フクロウ」の木彫である。お土産品だがその風情に魅かれた。

フクロウは北海道の先住民、アイヌ民族がこの世の最高神として崇めていたいわばアイヌ民族を考える時の象徴でもある。

そしてこの郷に思いを残しながら車は苫小牧に戻り、小樽に向かった。1年ぶりにプレス・カフェに行くのだ。