日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

東北を・・(10)続:ベイシーの菅原正二と石山修武-

2012-12-16 13:52:13 | 東北考

ベイシーの近くにある市営駐車場に車を入れる。5時だ。3時には店に居る、とNETで案内されていたが電気もついていないしレンガ壁に貼ってあるポスターがめくれたままになっていて、開いている様子がない。

東北巡り最終日、ベイシーに行く前に新婚旅行のとき訪れた平泉・中尊寺を訪ねることにした。
妻君は中尊寺に行ったんだつけ!なんて言っている。隣の毛越寺(もうつうじ)の近くで、大学の同級生が神代雄一郎研の学生をつれて発掘をやっているのに出っくわした。でも無論妻君は一編の記憶もないという。
境内を歩きながら僕の記憶もだんだんあやふやになって行くのには参った。数十年前の境内の景色がどこか違う!

さて30分経ってもベイシーの様子が変わらない。駄目かと思ったがふと思いついて電話をしてみた。居た、菅原さんが。
「石山修武さんの知人で・・」といったら、鍵開いてるから入ってきちゃってという。
2人の知人と話し込んでいる。車のホイールがとか、エンジンのメカニックシステムが変わってとか、アナログの話だが時折最先端技術に話が飛ぶ。やけに面白い。
この猛暑にくたびれ果てたので今日は臨時休業したのだそうだ。僕はろくな挨拶もしないまま何となく話の輪に加わった。

1時間ほどして二人が帰り、少し話し込んで僕もそろそろと遠慮しようとしたらそんなこと言わないでと「野口久光」の本を持ってきた。
石山さんはご自身のHPで、菅原さんは野口久光がどうだとこうだといっていたとぶっきらぼうに書いていたが、映画評論家でもある故野口を師と仰ぐ菅原さんの師への思いに溢れた話も面白く、また映画のポスターなどが収録されているこの本もまた格別で、見入ってしまった。

菅原さんの撮ったリアス・アークの写真が壁に掛けてある。夜を徹して日の出を待ち伏せて撮った写真だ。
写真家藤塚光政さんからこのポジションで日の出を撮りたいので了解してほしいといわれものの、太陽がここにこなかったと苦笑されたというエピソードは知られているのかもしれないが、先日のセミナーで、京都の迎賓館の撮影の折、屋根のここに月がいる光景を狙ったが、なかなかここにこなくてねえ!と会場を沸かせた村井修さんのお話を、僕はこの一文を書きながら思い出している。

(写真・米紙の壁に張られたポスター  この項もう一編続く)