日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

旅 トルコ(10) アンカラ城と子供たち

2007-04-07 09:58:05 | 旅 トルコ

トルコの首都アンカラの歴史は興味深い。
620年余りも続いたオスマン朝が衰退し、後に「トルコの父・アタチュルク」と呼ばれるムスファタ・ケマルは革命を起こし、分割して植民地化を図る列強から国を守ってトルコ共和国を成立させ、アンカラを首都と定めたのは1932年である。

当時の人口は6万人程度の小都市だったが今では33万人、都市計画を着々と行って首都としての機能を整備してきた。でも空港はそこらのローカル空港並みだし、豪雨に見舞われると水が街路に溢れてしまう。しかし述べてきたように新国際空港は建設中だし、再開発が猛烈な勢いでは郊外に広がっていることが窺える。勢いがある。

でも僕の関心事は、アンカラ城とその周辺に残る村落(街並み)だ。
小高い丘の上に建つアンカラ城は、7世紀のローマ時代に築かれたというから気の遠くなるような時を経てきたのだ。朝食の後チェックアウトをし、バッグをホテルに預けて歩き始めた。まだ店も開いていないがアタチュルク像のある広場には人がいる。ベンチに座ってなんとなく路行く人を眺めている。

僕はまず石段を登ってアンカラ城に入った。城壁の上には既に人がいて、僕がぶらぶら歩いていくと手をふる。招いているようだ。眼下に広がる赤瓦の連なる町の風景は絶景だ。凄いと思いながら近寄っていくと2人の若者が僕のカメラで写真を撮ってくれという。撮ってもあげる事ができないのにと思いながらシャッターを押すと、ありがとう(サーオル?)と深々と頭を下げられた。Why!

かごを手に持った女の子が僕を見つけた。来るなあ、と思ったらやはり来た。階段を上って城壁の天辺まで。
ビーズなどで作ったネックレスやブレスレット、トルコではやっているらしい一眼のブルーの玉がトルコらしくてなかなかいい。どれでも一つ1YTL。可愛い子だし10個購入。それでも1000円に満たない。写真撮って良いか?と聞くとうなずいたがニコリと笑ってはくれなかった。
どうしようかと考えたが、地図を見てわからなかった「アナトリア文明博物館」の場所を聞いた。
「ミュゼイ」というと通じた。困ったような顔をして城壁の上からから大体の方向を指差すので、ああ、あのあたりかと思い塔を指してオーバーザモスクというとうなずいた。密かな交流だ。

僕が魅かれたのは土や漆喰で作られた民家の連なる街並み。木の扉が開いているので覗くと、庭があったりする。日本ではなく中国の四合院でもないヨーロッパ風の、やはり村落ではなく都会の中の街だ。
スカーフ(ターバンといっていいのかなあ)を巻き、ロングスカートをはいたおばさんたちが路端会議をやっていて廻りを子供たちがはしりまわっている。思わず立ち止まって眺めていたら、「ホワットイズユアネーム」と声を掛けられた。そして「マイネームイズ・・・」と口々に自分の名前を言う。にこやかに単語のやり取りをした。小学生だ!そうか今日は日曜日、休みなのだ。

トルコの子供は人懐っこい。いや大人もそうかもしれないが、僕がぼんやりしていると子供たちに囲まれる。イスタンブールのブルーモスクでは先生に引率されてきたらしい6,7人の中学生に取り巻かれた。まず第一声は同じく「ホワットイズユアネーム?」。
学校で習っている英語を試してみたくてしょうがないのだろうか。口々に自分の名前を言った後「ホワットイズユアジョブ」がそれに続く。「ハウデュユーシンク?」と返すと口々に言葉がほとばしる。

そのときの子供たちの生き生きとした顔と、ほのぼのとした空気が僕の目の前に浮かんでいる。