田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

助けて/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-30 18:16:40 | Weblog
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高山小学校は宇都宮の中心部から。

西へ10キロほどのところある。

夜の闇を校門にある2基の街灯が。

わずかに照らしていた。

校庭は。

陰惨な事件が。

あったとはおもわれないほど。

静まりかえっていた。

砂場は立ち入り禁止の黄色いテープで囲われている。

「どう? キヨミなにかかんじる」

「理沙子はどうだ」

と翔太がきく。

「すごく苦しんでいた。

のどに砂が詰まっていた。

遊びなんかじゃないわね。

いじめよ」

「死ぬほどくるしんだみいね」

キヨミがつづける。

砂の一粒ひとつぶに死の恐怖がこびりついていた。

その残された恐怖感をふたりは映像化している。

まるでその場にいたようだ。

「ふたりとも……生徒の苦しみをかんじるのか」

「びんびんかんじるわ。そして見える」

かすかに大麻の臭いがする。

「小学生が大麻は吸わないだろうな」

「するとVがからんでいるの」

このところ大麻汚染は全国的にひろがっている。

おとなだけでなく青少年にまで拡大している。

「Vの体臭かもしれない」

大麻の汚染がひろがっている。

Vがじぶんの存在を。

あいまいなものにするためだ。

と翔太たちは判断している。

少年は砂場にうめられた。

友だちがおもしろがって砂をかぶせてくる。

「たすけて。やめて。死んじゃう。よたすけて」

校庭にはまだみんながのこっていた。

だれもたすけにきてくれない。

その事実に。

さらに少年は恐怖した。

死ぬ。

殺される。

殺される。

理沙子の体がふるえた。

だが吸血鬼のすがたは脳裏にうかばなかった。

「巧妙にあやつられているのかもしれないな」

ふいに砂塵がまきあがった。

砂の渦のなかで、拍手がわいた。

囲まれていた。姿はぶれているがまちがいなく吸血鬼だ。

「猟犬みたいに鼻がきくんだ。みごとな推理とほめておく」

大麻の臭いが強烈だ。

あたまがくらくらする。

「おまえらの、死嗅をかくすためだろう。

じぶんたちの存在を気づかれないように。

大麻を流行らせている」 

彼らの顔を照らしだしたのは、朝の陽光だった。

一瞬吸血鬼のおぞましい姿がうかびあがった。

そして、陽光をきらって消えてしまった。

「キョミ。みた!!! アイツラがVの成体。

おとなの吸血鬼。

わたしたちの真の敵」



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ああ、快感。