田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

コーヒーブレイク

2009-01-21 13:14:27 | Weblog
1月21日 水曜日

●寒い。利休鼠色に曇った空からは、いまにも雪が降りだしそうだ。

前日光高原の舟形盆地にある街のせいか雪空はすこし緑色を帯びている。

そんな感じに暗い。

さすがのブラッキーも今日は外にでようとしない。

ひんやりとした風が庭には吹いている。


●jazzはマイルス・デイヴィスのディア・オールド・ストックホルム。

「コーヒーのみたいな。いそがしかったらインスタントでもいいよ」

コタツを仕事場としているわたしは、キッチンのカミサンに声をとばす。

毎日仕事をしてはいるが収入とむすびつかないので声が細る。


●マイルスの哀愁にみちたメロディがいい。

マイルスの(tp)がいい。

この曲をきいていると東京は青山一丁目の下宿からシナリオ研究所に通っていたこ

ろのことをおもいだす。

こんなちょうしでは、そのうち涙腺がゆるんできたらどういうことになるのか

と……心配しちゃうな。


●インスタントでもいいよ。

とつけくわえたところで、「はいそうですか」というカミサンではない。

小さなミルでコスタリカを二人分挽く音がしている。


●「石油タンク空になるだろう」

なにもしないのもきがひける。


●寒風の吹く庭でカラス瓜を見上げる。

もうほとんど中身はない。

空洞。

それでも外からなんの気なしにみれば、それなりの風情はある。

このカラス瓜はカミサンがブログにのせた。

『猫と亭主とわたし』をご覧ください。

この狭い庭を発信地としてカミサンはせっせとバラブログをかいている。


●ブラッキーがわたしのあとを追ってきた。

くびをすくめている。

前足をちょっとあげてかんがえている。

「そうよ。そとは寒いの。ホリゴタツでパパの仕事みていたら」

たしかにブラッキーはわたしがPCをうつ指先をじっとみるくせがある。


●庭は白っぽく凍てついている。

「はやくバラの季節がこないかしら」とカミサンがぼやいている。

「もう書くことないわ。ブログやめようかな」とかみさんはスランプ。

そのときわたしはすこしもあわてず「そうしたら」と軽くうけながしておく。


●「ブログはじめるのも、写真も、あなたがすすめたの。わたしがこんなに困って

いるのだから責任とつてよ」とさらにおいうちかけられる。


●わたしはコタツからたちあがり「天才だ。天才だ」と浜口さんの掛け声。

「かならず書ける。いい写真がそのうち撮れる」


●カミサンをはげます。

「天才だ。がんばれがんばれミマー」

ブラッキーがおどろいて、コタツの天板からおちた。

猫でもコケルことがあるのだ。


●わたしはカミサンに気合をかけているのではない。

じぶんを励ましているのだった。




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ああ、快感。



愛してるよ/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-21 10:55:54 | Weblog
理沙子は点滴台のわきにすわった。

「コウジ。

げんきだった。

まいにちこられなくてごめんね。

オリオン通りパートロールしているの。

学校をでて、ユニオン通りをぬけて、オリオン通りにでるの。

コウジとはじめてあった場所だもの……。

なつかしいよ。

あの本屋さんはなくなっちゃったよ。

コウジはやくなおって。

一緒にあるこうよ。side by side であるこうよ。

肩をならべてあるこうよ。

手をくんであるこうよ。

とぎどき、さいずりキスでもしながら……街中ではムリかもね。

げんきになって。

コウジの声きこえないとさびしいよ。

コウジ。すきだよ。

愛している。

はやく、げんきになってね」

玲菜がいる。ひとまえなのに、理沙子は泣きだしていた。

泣くまいしこらえているのに。なみだがほほをつたつていた。

玲菜がはげますように、理沙子の肩に手をおいた。

理沙子が玲菜の手をきつくにぎった。

「はじめは土気色だったの。

もうあのまま死んじゃうとおもった」

「たすけてもらわなかったら、わたしもこうなっていたの? そうなのね」

「あのものたちは、みられるのがきらいなの。

あのものたちの在りの姿をみる覚醒者が増えることがきらいなの」

「だからおそってくるのね」



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