田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

砂風呂遊び/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-29 08:46:39 | Weblog
キヨミはそれどころではなかった。

いままで生きてきた現実が。

ただそれだけではない。

世の中。

ひとも。

街もそのままではない。

キヨミが見ていた。

キヨミが信じていたもののほかに。

ほかの物が混じっている。

ほかの者がいる。

この世は混沌のなかに存在している。

そんなわけのわからないことをおもった。

「でも、理沙子は理沙子だよね」

「わたしたちチームよ。

覚醒者救済連盟にようこそ。

キヨミ。また一緒できてうれしいよ」

4


病棟の地下。

監視室。

「翔太。高山小学校だ」

理沙子たちがコウジの病室にいるのを確認していた。

巨大鳥居の基底部に新設したシェルターに。

逃げこんだのをモニターで確認していた。

そこへ飯田室長からの指令が出た。

室長は「いじめ110番の前に立っていた。

翔太がかけつけると――。

「高山小学校の校庭で生徒が生き埋めになった事件が昨日発生…‥」

とモニターに文字がながれている。

砂場で首だけ出した少年が映っていた。

「なんだよ。いまごろになって」

「だれかが、事を公にするのをきらったのだろう」

ひかえめなコメントを飯田がつぶやいた。

教育関連の事件には神経がつかれる。

マスコミにさわがれたくないのは。

この覚救連もおなじだからだ。

「現場にVの残留思念が残っていれば、こちらの仕事だ」

「夜が明ける前にスキャンしてきます」

少年の口には砂が詰まっていた。

だれが撮った動画なのか。

わからない。

救急車の隊員だろう。

少年の苦しそうな顔。

いますこし、救急車のかけつけるのが遅かったら。

殺人事件だった。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。

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