田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

耳の目/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-26 07:21:39 | Weblog
「どうしてよ。

どうしてわたしたちの逃げる方角がわかっちまうのよ」

キヨミがいらだっている。

まだ彼女は生まれながらの吸血鬼の怖さがわかっていない。

かれらは、障害物知覚がすぐれているのだろう。

風のながれがよめる。

ひとが歩く。

大気をおしわけてすすむ。

そのびみょうな風の振動をききわけることもできるのだ。

ともかく、闇に生きてきたクリーチャ(生物)なのだ。

耳で見ることができる。

耳で闇を自由にうごきまわれる。

ところでかれらはわたしたちを。

creature comforts(飲食物)くらいにしかかんがえていない。

もっともさいきんでは血をほとんどすわない。

精気を奪って生きている。

だからあまりめだたない。

怖いことにはかわりないのに。

「なにだまりこんでいる見る者よ」

「どうしてわたしたちをおそうの」

「それはむ見られることがイヤだからだ。

ぼくらは闇に生きる。

ぼくらのすがたは見てはいけないのだ」

「ぼくってガラかよ」

キヨミがひるまず理沙子とサブロウの会話にわってはいる。

「わたしたちもう部屋に帰っておねんねしたいの。

退いてくれる」

ククククククククッッッッックク。

サブロウがたのしそうにわらった。


「夜はまだこれからだ。

たのしもうぜ「黒髪」のヘッド。

キヨミちゃんよ」

「わたしたち、まだか弱い高校生なの。

ネエ、家にかえしてよ」

宝木が追いついてきた。

肥満男とその仲間の参加で闇は。

さらなる闘争の場となろうとしている。

「チョウやばいよ。逃げようキヨミ」

「なにこそこそはなしるの」

サブロウがたのしんでいる。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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