田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子 21  麻屋与志夫

2008-12-03 01:28:57 | Weblog
ミートソースやケチャップのいい匂いがしていた。

席につくと、
「キヨミです」
ジブンの鼻をさした。
さっさと自己紹介すませたキヨミ。
おたおたしているわたしを、
「こちらは……川村理沙子」
と、紹介してくれた。

「そっちは」
かわゅく、くびをよこにふってキヨミがきく。  
「高見広治」
「やだぁ、神商のピッチャーだ」
あのとき、ほんとにキヨミははじめて気づいたのかしら。

それまで、わたしは野球にも男の子にも。
あまり興味がなかった。
だからコウジが神商のエースだなんて。
しらなかった。

メニューをみると、ミートスパゲティが1600エンだった。

ブットビだ。

でも、お金のことなんか、ぜんぜん心配なかった。

コウジの家がまだ倒産するまえだった。    
あのときことは……なんどおもいだしても、楽しい。

いつも、ひとりになると、おもいだしている。
なんども、なんども、おもいだしている。

そのつど、こう……胸がキュンとなる。

けつして、わすれられない。

まだ、恋いすることが。

こんなに悲しく。

せつないなんて。

想像もしていなかった。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。

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