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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

門司港、Pホテルの化石 2

2017年11月07日 | 化石
門司港、Pホテルの化石 2
Fossils of building wall of a hotel at Mojiko、Part 2.

 11月1日(水)門司港レトロにあるホテルの外壁に見られる化石を探した。
 巻貝他以外の種類もあるが、数はずっと少ない。サンゴらしいものは数個あったが、いずれも群体サンゴだろう。隔壁が少なすぎるので他の生物かもしれない。全体の形は丸いらしく、他のサンゴと接触していないように見える。

6 たぶんサンゴ。
Coral

7 たぶんサンゴ。縦の断面。
Coral

 ここまでの化石ではどうにも時代が限定できない。探していくと、やっとヒントになるものを見つけた。

8 大型有孔虫

9 拡大した有孔虫。拡大レンズ使用。
8/9 Large foraminifers.

 白い断面で、あるところにはたくさんかたまっている。サイズは最大3センチぐらい。縦方向に中央の構造があるから有孔虫に違い無い。この大きさの有孔虫となると、貨幣石Nummulitesが有名だが、中央が膨らんでいるのがちょっと気になる。だからといって、サイクロクリペウスならば膨らみ方が違うし、時代が新しすぎるような気がする。拡大した写真(9)では周りにもっと小さいのがたくさんある。貨幣石の微球型と顕球型とすれば話は合う。貨幣石であれば始新世から漸新世ということになる。
 もう一つ気になるのは、有孔虫の入っている石灰岩は、少々灰色がかっていて、粒状の構造のある岩なのだ。有孔虫には、円盤方向の断面が見つからない。ということは、この石は地層面方向ではなく、それに直角の面で磨かれているこのだろうか。巻貝とは別の地層ということだろう。そう思って見ると、巻貝の方の石灰岩にも入っているし、こちらも同じような断面だから、石材のカット方向の話は見当違いかもしれない。
 残念ながら、骨やサメの歯は一つも見つからなかった。そこで結論。
⚪︎ このホテルの黄色ないし灰色の石材には2種類があって、どちらもおそらく古第三紀の石灰岩である。
⚪︎ 巻貝のたくさん見られる石灰岩が多い。
⚪︎ ちょっと違った石灰岩もあって、多くの有孔虫を含む。
⚪︎ サンゴと思われる化石も見られるがサンゴ礁を作るほどの頻度はない。
⚪︎ 証拠は全くないが、カンでは中近東産の石材。
 スケールを持っていかなかったので、写真にはサイズ感が今ひとつ。もう一度訪れて決定的なものを探したい。
Keywords: Fossils building sea-snail coral foraminifer Eocene Oligocene ビルの化石 巻貝 群体サンゴ 有孔虫 始新世 漸新世

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