のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ジャンボ剤も ここからはじまる 試験田

2006年05月11日 | 農のあれこれ
友人との待ち合わせのため茨城県牛久市内を車で移動していたら、細かい区画に仕切られている水田を目にしました。何の試験場かと、門の表札をみたら「財団法人 日本植物調節剤研究協会研究所」とあります。日本植物防疫協会という農薬メーカーの出資する社団の研究所が、やはり同じ牛久市内にあるのは知っていたのですが、初めて聞く名称です。時間に余裕があったので、パンフレットをもらってきました。

植物調節剤研究協会というのは、除草剤、植物の生育調整剤などの資材の研究、開発をしているところで、植物防疫協会というのは農薬等の資材の開発や農薬登録を支援するするところ。植防研は病菌や害虫など植物防疫全般を対象にした研究、植調研は除草剤に特化した研究ということでしょうか。とにかく植調研では、水田除草剤、水稲倒伏軽減剤の開発をしていて、そのための試験水田だったようです。

         

この温室は気温、照明に加えて地温も管理できるよう整備されていて、年間を通して試験ができ、新しい資材の早期開発に威力を発揮しているそうです。

タイトルの「ジャンボ剤」というのはタブレット状の錠剤を10aあたり10個投げ込むだけのもっとも新しい水田除草剤で、この植調研で開発されたといいます。今はどんな除草剤を研究しているのでしょうか。

         

ついでに植防研にも寄って、パンフレットをもらってきました。そこに興味深いグラフを見つけました。上のグラフは全世界での病害虫と雑草害による主要8作物の潜在収量に対する損失割合。

病気による損失は18%、虫害による損失は23%、雑草害による損失は29%。で、防除無しで得られる収量は30%とのこと。なるほど。

         

次のグラフは、日本における水稲、りんごが防除無しで得られる収量の割合。水稲は66%、りんごはなんと!1%!青森県のKさんが無農薬無肥料でりんごをつくっているといろいろなところで取り上げられますが、それだけ大変なことだということです。同じバラ科の果樹、ナシも似たような数字なのでしょうねえ。

水稲は防除しなくとも7割近くは収穫できるといいますが、この数字は病虫害だけを対象にして、雑草害の影響を含まない数字ではないですか。そんなにかんたんにできるなら、昔も今も水田雑草にそんなに苦労していないと思うのですが。

どちらの研究所も牛久市内に立地したのは昭和50年前後。筑波研究学園都市に農業関係の試験場ができたのに合わせ、その近くに民間の研究所も整備したということでしょう。どちらも視察等の受け入れもしているそうです。近くにあるのですから利用しない手はありません。