のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ネガティブからポジティブへ

2005年12月04日 | 農のあれこれ
ネガティブからポジティブへ。性格のことでなく、残留農薬のこと。「ポジティブリスト」という言葉にこれから農家は頭を痛めそうです。

食の安全性という視点で農薬をみたとき、とりあえずは食品に残留する農薬のリスクが問題となります。農薬残留基準値というのが食品衛生法というところで設定されていますが、現行ではリストにある物質はその値以下でなければならないという制度(ネガティブリスト)になっています。それが来年5月より、リストにある物質は基準値以下であることはもちろん、リストに示されない物質も一律基準値(0.01ppm)以下でなければならないという制度(ポジティブリスト)になることが決まっています。

簡単にいうと、これまではある物質が検出されても基準値リストに載っていない場合にはOKだったのですが、これからは0.01ppm以上の濃度であれば「残留農薬あり、安全性に問題あり」となりますよ、ということ。食の安全性をより高いレベルで確保できるようになるわけですから、たいへん喜ばしい・・・・のですが、農業の現場では大混乱するかもしれません。

今日の農業は農薬使用を前提に行われています。我が家のナシもコメも例外ではありません。しかも小規模で入り組んだ農地で耕作しています(零細分散錯圃制と呼ぶようです)。とうことは、さあ収穫しようかという畑の隣で隣人が収穫はまだ先だからと農薬を散布するという光景は日常というです。耕作者が誤って農薬を散布してしまうケースばかりでなく、耕作者本人はまったく過失がなくとも農薬が飛散してきて(ドリフトしてきて)残留農薬が検出されるというケースも想定されます。

まず、田んぼの農薬空中散布が問題になります。稲用の農薬を近くの畑の農作物がもらってしまうのは、間違いない!我孫子市は来年空中散布を取りやめるという方針を出したようですが、柏市ではまだそういう話を聞いていません。どうするのかなあ。

周辺から農薬をもらってしまった農家は被害者ですが、農薬を使用している限り加害者にもなり得ます。なかでもスピードスプレーヤー(SS)という左右上の180度の方向へ風を送りながら農薬を散布する機械を利用している果樹農家(我が家!)は加害者になる可能性が高くなります。残留農薬が検出されますと、当然出荷停止、場合によっては回収させられます。その原因が隣人の農薬散布であるとなると、農家間で損害賠償請求なんてことも想定されます。

もう畑の真ん中ではナシは作れないかもしれません。やっぱり市街地の真ん中でナシを作るしかない!?