信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

野ばら5種の見比べ

2018年03月17日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の5種を、画像で見比べてみます。
生育地や株によっては、特徴が紛らわしいものもあります。
カラフトイバラとオオタカネバラは似ており、複数の特徴から見分けています。


茎の刺は特徴的で、夏季でも冬季でも見分けのポイントになりそうです。
カラフトイバラとオオタカネバラは、茎の刺の様子がかなり異なっていました。
タカネバラの刺は密生する部分もありますが、画像も観察も不十分でした。
ハマナスは鋭い長短2種類の刺と毛が密生、サンショウバラは強い刺が疎生。


葉はいずれの種も、葉軸の先端と左右に小葉をつける奇数羽状複葉です。
小葉の数は、オオタカネバラが2~3対、サンショウバラが4~8対です。
他3種は3~4対ですが、ハマナスは、葉脈のへこみのシワが特徴的です。
タカネバラは、葉先が丸く縁の鋸歯が鋭いなど、葉での見分けが容易です。


カラフトイバラとオオタカネバラは葉の形が似ておりますので、近くで見ます。
前者は、葉軸に刺と軟毛を有し、葉裏全面に軟毛を密生させます。
後者は、葉軸に腺様の突起物を有し、葉裏は未確認ですが脈に毛があるそうです。


托葉もカラフトイバラとオオタカネバラでは異なっていました。
前者は、葉柄を巻くような筒状になり、縁には黒色じみた腺をつけていました。
後者は、葉柄に対して水平気味に広がり、腺には短い柄がついていました。


萼(ガク)とその下の花柄は、見分け易い特徴のひとつです。
カラフトイバラ:萼筒は球形で萼裂片は長く、花柄はやや短めで表面は滑々。
オオタカネバラ:萼筒は紡錘形で萼裂片は長く、花柄は長く腺毛を有す。
タカネバラ:萼筒は紡錘形で萼裂片は長く、花柄はやや長く腺毛の有無は未確認。
ハマナス:萼筒は球形で萼裂片は長く、花柄は短く軟毛と短い刺を有す。
サンショウバラ:萼筒は球形で萼裂片は短く、萼と花柄に鋭く長い刺を有す。


枝の先に花をつけますが、その数はおおむね種によって異なっていました。
タカネバラとサンショウバラが1個で、他の種は複数でした。


果実(偽果)も特徴的で、サンショウバラは刺を残して黄色く熟します。
カラフトイバラはほぼ球形で赤色に熟し、枝先に1~2個の果実をつけます。
オオタカネバラとタカネバラは紡錘形で、タカネバラの果柄側は太めです。
ハマナスは扁球形で赤色に熟し、果径が2~3cmの大きな果実です。



富士山に咲くタカネバラ、小葉の先が丸く、縁には鋭い鋸歯が見えます。
日本一の富士の山に、紅紫色の大きな野ばらの花が印象深く残っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする