ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年2月28日。侵攻から5日目。停戦交渉

2022-02-28 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年2月28日。
 憲法改正の是非を問う国民投票が終わってすぐの28日にも、ベラルーシがウクライナへ派兵するという情報を掴んでいるとアメリカが報道しました。

 日付が変わって28日夜中2時ごろ、ベラルーシ領内からウクライナへ向かって複数の戦闘機が飛行したことが確認されました。
 ロシア軍のものなのかベラルーシ空軍のものなのかは不明です。

 今日の朝からベラルーシとウクライナの国境地帯でロシア・ウクライナ双方の代表団が停戦交渉の協議を始めていますが、その結果も気になります。


 その憲法改正の是非を問う投票ですが、有権者の78.6%が投票し、そのうち65.1%が改正に賛成票を投じたため、憲法が改正されることが決定しました。
 もっとも2020年の大統領選挙のことがあるので、これらの数字を信用していない国民も多くいます。
 
 憲法が改正されると、ベラルーシは非核化を目指さないことになるので、核兵器を国内に配備することができます。
 手っ取り早くロシアから核兵器をもらうことになるでしょう。
 長期的に見ると自国で核兵器を製造することもできます。核燃料も、すでに建てたベラルーシ原発で使用している核燃料を利用すれば自国内で調達可能と思われます。
 こうしてベラルーシは核保有国になれます。

 また、大統領は退任後もベラルーシ人民会議長(つまり国会議長)に就任できるようになったので、結局国の影のトップになれるのです。
 ベラルーシ大統領は、国民が望むのなら(憲法改正後最初の大統領選挙で敗北すれば)大統領職を退任すると話していたのに、ウクライナをめぐる問題がくすぶってきた時期には、やっぱり自分が大統領を続ける。そのほうが国が助かる。大統領をやめられないのは、ウクライナやNATOのせいで、自分のせいではないと発言しました。 

 昨日の投稿で、憲法改正に反対、あるいは戦争反対のデモをしていた人が14人拘束されたとベラルーシ国内省が発表したと書き込みましたが、今日の内務省の発表ではこの数が800人に訂正されています。


 今日の朝から国境地帯で行われる予定だった停戦の協議ですが、開始が正午と発表されました。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルが、いわゆる傭兵をウクライナ国内に送り込み、すでにキエフに到着したそうです。
 ワグネルは2020年のベラルーシ大統領選挙直前に約30人がベラルーシに入ってきていて、ベラルーシから強制退去されていました。


 ロシア国営通信社タスとイズベスチヤがアノニマスによるハッカー攻撃を受けました。
 さらにロシアとベラルーシの銀行など300箇所以上がサイバー攻撃を受けました。

 外出禁止令が解除され、キエフ市民は食料品の買いだめのためスーパーの行列に並んでいます。食料品の棚は空きが目立ちます。店の前に100人ぐらい並んでいるところもありましたが、ウクライナのみなさん、文句も言わず、レエ意義正しく並んでいましたね。日本人みたい。ここで暴動・略奪をする民族も世界には存在しますよ。
(ただ、ポーランドへ向かう列車にリヴィウ駅から乗ろうとしている人たちの群れは明らかにパニック状態でした。)


 ウクライナ人で軍事経験のある男性(元軍人や兵役義務に就いたことのある人)で、現在服役中の囚人を大統領令により、出所させ、そのままウクライナ軍の兵として最前線で戦闘できるようにしました。
 日本だと、犯罪者を出所させるの? 逃亡したらどうするの? 治安が悪くなる・・・と批判する人が多いでしょう。
 しかし、前線の最も危険なところへ配備されるそうです。

チェルノブイリ原発職員92人が占拠したロシア軍の人質となっていることを駐米ウクライナ大使が明らかにしました。
 原発をコントロール下に置いてほしいのですが、原発を手に入れたロシア側が、原発を武器の一つとして利用としたら大問題です。
 

 またベラルーシ・ルーブルの下落です。1ドルが3ルーブル7コペイカになりました。1ユーロが3ルーブル43コペイカです。
 ロシアルーブルは1ドルが先週末の83ルーブルから119ルーブルにまで下落し、過去最安値となりました。

 永世中立国であるスイスもロシアに対する経済制裁を発表しました。
 ロシア大統領と外相の資産凍結をするそうです。
 外相らは「西側の経済制裁など無意味だ。海外に資産なんか持っていないから。」
と話していましたが、スイスには隠し資産があるではないですか。
 ベラルーシ大統領は知りませんが、大統領の長男はスイスに資産があることが分かっています。


 国際オリンピック委員会が、ロシアとベラルーシの選手、関係者を国際試合に出場させないよう勧告しました。
 北京パラリンピックはどうなるのでしょうか。

 サッカーのイングランド・プレミアリーグ、チェルシーのオーナーでロシア人大富豪アブラモヴィッチ氏は、クラブの管理・運営を慈善団体に譲渡することを決めました。
 さらに同氏はロシアとウクライナの仲介役を買って出ています。


  開始時間を2時間遅れて始まり、さらに4時間も続いた停戦交渉がやっと終わりましたが、双方が結果を持ち帰ってそれぞれの首脳と協議する・・・でした。特に何も進展がありません。
 停戦交渉は再開する可能性がありますが、何か起きないか心配です。
 次回の交渉はベラルーシとウクライナの国境地帯で行われるそうです。

 ベラルーシ国境に近いウクライナの小さな町の住民が、ベラルーシ側に向かって、拡声器で
「ロシア人、ベラルーシ人、聞こえているか? けっしてウクライナには通さないぞ。」
と呼びかけ、ウクライナ国歌を大音響で流しました。
 しかし、戦車の列が国境を越えて町に入ってきました。
 それを止めようと住民(民間人)が人間の盾になっています。


 在ベラルーシ・アメリカ大使館は業務を一時停止し、閉鎖しました。

 リヴィウのポーランド行きの列車に乗ろうと、避難しようとしているウクライナ人で駅が大混乱に陥っています。
 沈みかけた船で、救命ボートに乗ろうと押し合いへし合いしている人たちのように見えます。


 ベラルーシ国防省は3月1日から4日にかけて毎年行っている軍事訓練を行うと発表しました。
 (ウクライナで捕虜になったロシア兵が「演習だと言われて連れて行かれたところがウクライナで、いきなり実戦に参加させられた。」と話していましたが・・・。ベラルーシでも同じことが繰り返されないことを祈ります。)


 ロシア中央銀行のドル建て資産が凍結されました。
 ロシアでは市民が慌てて銀行口座から現金や外貨貯金を引き出しています。

 ロシアの武器製造会社ロステックの副社長で、ロシア大統領に近い人物と言われるアレクサンドル・ミケエフ氏が所有する豪華ヨット、レディ・アンダルシアはスペイン、マヨルカ島の港に泊めてありました。
 このヨットの乗組員の一人で10年働いていたウクライナ人のタラス・オスタプチュクは、テレビのニュースでロシアのロケット弾がウクライナの住宅に命中した映像を見て、それがロステック社の製品であることが分かると、自分の雇い主であるミケエフ氏に復讐したくなりました。
 それで、レディ・アンダルシア号を破壊して海に沈めることにして、他の乗組員にヨットから離れるように言いました。同僚は、オスタプチュク氏の気が狂ったのかと思って止めようとしましたが、その同僚乗組員もみんなウクライナ人だったので、オスタプチュク氏が「責任は自分一人で負う。」と言うのを聞いて、放置しました。
 700万ユーロの豪華ヨットは沈みました。
 逮捕されたオスタプチュク氏の裁判がすぐに始まりましたが、同氏が「このヨットの持ち主が製造している武器でウクライナ人が大勢殺されている。」という主張を聞いて、やはり同じニュース映像を見ていたスペイン人の裁判長は無罪を言い渡し、すぐ釈放しました。ただししばらく保護観察に置かれるそうです。
 

 ウクライナ大統領はEU加盟を正式に申請しました。特別に早急な加盟の承認をするようEUに求めています。 
 どうなるでしょうか。
 日本のメディアが東京で反戦デモをしているウクライナ女性にインタビューして、その女性が「ウクライナはロシアとは違う『西側』の国です。」と話していたという記事を読みましたが、違和感を感じました。
 このウクライナ人女性は歴史の浅いところしか知らないし、この発言を報道することにした日本メディアも深い理解がないか、あるいはわざと印象操作しようとしているのかとすら私は感じました。
 どうしても日本人は旧ソ連の国々をまとめて見がちなので、「いえ、そうじゃないんです。ウクライナをロシアと同じに見ないで。」と言いたいウクライナ人が多いのは分かりますし、そのとおりだと思います。
 でも、ロシアとは違う「西側」の国と表現するのは正しくないし、間違った印象を外国人(日本人)に与えます。

 ウクライナ大統領がEU加盟を申請しても、すぐに承認されるかどうか不透明です。
 変な言い方だけど、第三次世界大戦が始まってそして終わるまでは、私達は第二次世界大戦後にできた基本構造にはめ込まれた状態の中を、生きています。(例えば、戦後、天皇が人間宣言したから、今も天皇は人間のままで、現人神には戻りませんよね。)
 そして第二次世界大戦下ウクライナはナチスドイツに加担して、ハティン村に代表されるベラルーシ人の大量虐殺を行いました。
 ・・・とこのような歴史を私がここで書くのは、もちろん、「だから、今ベラルーシ領内からロシアの戦車がウクライナに入ってきて、ベラルーシがロシアの手助けをしていることにウクライナ人は文句を言うな。」と言いたいわけではありません。決して。念のために書いておきます。
 ソ連(勝)対ドイツ(負)の戦争下で、起こったことは複雑で、表面上の勝ち負けのような単純に二分化されたものではないのです。水面下でいろんなことが起きてしまうのです。だから、私は戦争に反対です。
 

 

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