ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2021年3月10日。気温は上がらず

2021-03-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 2021年3月10日。気温は上がらずなかなか春が来ません。

 今年のユーロヴィジョンに参加するベラルーシ代表の歌について、その内容が参加条件に合っているものかどうか、ユーロヴィジョンの運営側が検討に入りました。内容がユーロヴィジョンの理念にそぐわないのであれば、別の歌にしてください、とこのグループが代表のままでも、そのように言い渡されるでしょう。ベラルーシ政府が反発するのも必至ですね。

 ともかくこのグループは一晩で世界的に有名になりました。名前を売る活動としては大成功。ベラルーシ芸能史に汚点として記憶されるようになるかもしれませんが。今のところベラルーシ政府のお墨付きアーティストで、そのベラルーシ政府の高官数十人に制裁を発動しているEUのど真ん中で、独裁政治を賞賛する歌を堂々と歌うわけですから、精神力がすごいですね。そもそも政府お抱え芸能人として大統領選後の昨年秋に目的意識を持って結成されたといういきさつがあります。 

 ある意味においては今のベラルーシを象徴するようなグループで、ユーロヴィジョンのベラルーシ代表に選ばれるのもさもありなん、と思わせます。

 ユーロヴィジョンはあくまで音楽の祭典なので、政治色を出してはいけないと思うのですが、今までも「抑圧されていたけど俺たち打ち勝って自由を手に入れたぜ。」といった内容の楽曲が披露されたこともある(ウクライナのオレンジ革命の後など)ので、自由や平等(ヨーロッパが世界に率先して目指しているもの。なおかつ自分たちは最先端行ってますよ、と自負もしているもの。さらに「これがまだないの? 遅れてるね。努力して早く追いつきなよ。」とベラルーシのような「後進国」にアドバイスしてくれているもの。)を宣伝するような歌詞を歌うのはOKでしょう。

 しかし、ヨーロッパが目指しているものとは逆の内容の、人権がないのは当たり前、お上の言うことを聞きましょうという内容の歌詞をユーロヴィジョンで歌うのは、規定に反していますよ、今やネット中継で世界中に流れるのに、こんな歌をヨーロッパの真ん中で垂れ流しにはできませんねえ、と今、運営側が歌詞の内容の検討に入るのも当然だと思います。

 一方で、アーティストの自由な発言(歌詞)を禁止していることにもなり、これはこれでヨーロッパの理念にそぐわないと思います。

 ユーロヴィジョン運営側は、IOCのようにベラルーシ代表の参加を取り消すかもしれません。私としては今のベラルーシ代表のグループの参加は尊重するほうがよく、あのままの歌でステージに立たすほうがいいと思います。自分が歌っている歌詞の内容に責任を持ってほしいです。後から誰かに歌わされていたとかいうのは、なしでお願いします。

 ユーロヴィジョンはコンテストであり、視聴者からの投票で順位が決まるわけですから、このベラルーシ代表が、どれぐらい点数をもらえるかで、ヨーロッパの人たちの考えがだいたい分かるでしょう。どんなに歌が上手くても、内容によって点数がもらえないのはよくあることです。おそらく最下位で予選落ちだと思います。もっともベラルーシ政府からしたら、とにかく政府お抱えアーティストが出場することが大事で、優勝なんて目指していないので、点数なんかどうでもいいでしょう。

 

 ロイター通信社の調査によると、ベラルーシ経済は危機的状態にあり、デフォルト(債務不履行)の一歩手前だそうです。要するに国として破産寸前ということです。このように書いているだけで落ち込んできますが、つい二日目、反政府動画「黄金の底」(この二日間で再生回数280万越え)でベラルーシの大統領が、いつも身につけている腕時計が2万ユーロするとか、使っているイタリア製の万年筆が一本4000ユーロするとか、ズボンのベルト(エルメス)が800ユーロとか暴露していたのを見た後に、ロイターのこんな分析結果を読んで言ると気が遠くなります。ベラルーシ人の平均月収は日本円にして6万円弱で、月給全部はたいても、こんなベルト一本も買えません。とにかくベラルーシ大統領が海外ブランドが好きだと言うのはよく分かりました。


この記事についてブログを書く
« ベラルーシのコロナウイルス... | トップ | 東日本大震災から10年 »

ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報」カテゴリの最新記事