ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ゴメリ州ヴィシェミールの学校で集団測定 第1回

2014-04-18 | チロ基金
 2014年4月10日、チロ基金はベルラド研究所の協力のもとゴメリ州にある学校で、WBCによる内部被ばくの集団測定を行いました。
 対象となったのはゴメリ州ヴィシェミール(チェルノブイリ原発から約80キロ)にある学校の生徒53人と幼稚園児3人の合計56人です。
  
 子ども達にはチロ基金からビタペクト3を56個配布しました。今回で通算177回目の配布となりました。 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2216個となりました。

 再測定は5月を予定しています。結果が楽しみですね。

 今回は遠いので私は測定に同行していないのですが、測定中の画像をベルラド研究所から送ってもらいました。

 このヴィシェミールはベラルーシ保健省の2004年の調査によると、1平方キロあたり3.15キュリーの地域となっており、2011年時点での住民数は440人です。学校と幼稚園には近辺の村(ドゥハノフカ、ゴンチャロフカ、セミョノフカ)から通っている子どももいます。

 ちなみに2001年に作成された汚染地図で確認するとヴィシェミールは汚染地域に指定されています。

 ヴィシェミールの住民の外部被爆の平均は前述と同じくベラルーシ保健省の2004年の調査によると年間0.38ミリシーベルト、内部被爆の平均は0.40ミリシーベルトで、合計0.78ミリシーベルトとなっています。
 1ミリシーベルを超えていないので、住んでよいという判断ですね。しかし人口が440人だけ(10年前の調査による)で、近隣の村の子どもを集めても、小中高生の生徒数が56人ほど(現時点)というのは過疎化が進んでいる地域と言えるでしょう。

 今回測定した56人中3人が幼稚園児で、53人は小学1年生から高校2年生まで年齢はさまざまです。 ベルラド研究所からは56人の測定結果が小数点第2位まで表示されていたのですが、小数点第2位を四捨五入して、算出した56人の平均値は体重1キロあたり28.2ベクレル±1.0でした。

 0ベクレルから10ベクレルまでの子どもはいませんでした。
 一番少なかった子どもでも17.8ベクレル(10歳女子)で、20ベクレル以下の子どもは56人中3人しかいませんでした。この3人にもビタペクト3は渡してあります。
 逆に一番結果がよくなかったのは80.2ベクレル(17歳男子)でした。この子だけが飛びぬけて多い値で、次に多かったのは61.5ベクレル(13歳男子)、次が43.2ベクレル(6歳男子)で、人数的に多かったのは20ベクレル代(39人)と30ベクレル代(11人)です。

 年齢は最年長が17歳で、最年少が6歳です。たった56人の測定結果なので、はっきりしたことは言えませんが、性別や年齢による大きな差や目立った傾向はないようです。
 ただ、あえて言うなら20ベクレル以下(低発病リスク)だった3人は全員女子。そして被爆量が多かった上位5名中4人が男子、1人が女子でした。
 しかしここで「男の子のほうが内部被爆しやすい。」と断定するつもりはありません。

 ちなみにカリウムの量ですが、56人中必要摂取量が摂れている子どもは1人もいませんでした。(これはショックです・・・)この地域の住民の食生活はどうなっているのかと思いました。
 学校の給食でカリウム強化メニューを出して、せめて平日の昼ごはんでカリウムをたくさん子どもたちに食べさせるほうがいいですよ、と校長先生に言いたいです。

 ベラルーシの基準で言えば住んでも安全、と言う地域ですが、子ども全員が内部被爆している現状を目の当たりにすると、本当に安全と言ってよいのかと心配になります。
 しかもこのような地域がベラルーシのあちこちにあるのかと思うと、気が重いです。

 来月の再測定の結果、少しでも子どもたちの被爆量が減っていることを祈ります。

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 2014年5月に行われた再測定の結果はこちらです。