ベラルーシでは卒園の時期を、親が希望すれば1年遅らせることができます。Y子のグループでは2人の子どもが9月からまた年長組に入ることになりました。
どうしてこんな判断を親がするのかは私には分かりません。
しかしその2人の子どものことをY子は、
「お勉強ができていなかった。」「他の子どもをいつも叩いたり、女の子のスカートをめくったりしていた。」「突然大声を上げたりしていた。」「他の子どもの物やおもちゃを壊していた。」
と話しており、みんなから迷惑がられていたそうです。
どこにでもいますよね、こういう子ども。
先生からもいつも叱られていて、罰として「教室の隅っこに立たされたり」「トイレに閉じ込められる」ということをされていたそうです。
立たされるのはともかく、トイレに閉じ込める、というのは日本人の感覚からすると、
「ベラルーシの幼稚園の先生は厳しい・・・。」
ということにならないでしょうか?
この2人の保護者は自分の子どもの性格を把握しており、これでは
「学校での集団生活は難しい。」
と判断して、もう1年幼稚園で様子を見よう・・・ということにしたようです。
他にも病気がちで、学校で勉強できる体力がなさそう、あるいは体格が小さいので学校の体育の授業が大変だろう、もう少し大きくなってから入学させよう・・・という親が、学校の入学を1年延ばすようです。
このように親の希望により小学校入学は1年延ばせますが、それ以上伸ばすことは許されていません。
ちなみにベラルーシの幼稚園は義務教育ではありません。(学校は9年間が義務教育になっています。)
幼稚園に全く通わない、という子どももいますが、非常に珍しいケースです。
幼稚園に通っていない場合は「通っていません。」という証明書を診療所から発行してもらい、親はそれを職場に提出します。
証明書、と言っても親が「通ってません。」という言葉をそのまま信じて医者が記入するだけなんですが・・・。
1年に1回住宅管理局の職員が担当地域の家庭訪問をして
「お宅のお子さんは幼稚園に通っていますか? 通っている場合どこの幼稚園ですか?」
と質問し、書類を作っています。
おそらくこれは親の虐待(育児放棄)がないかどうか調べるためだと思います。
さらに日本では考えられないのは、小学校1年生は、学校ではなく幼稚園に通う、というシステムがベラルーシにはあることです。
これは何かと言うと、まず各幼稚園ごとに担当している学校が決められています。
Y子が通った幼稚園は一番近いところにある学校が担当していました。
その学校に9月から入学することに決めると、入学式は学校でしますが、授業は幼稚園内で行われます。
そして2年生から学校の校舎のほうに通学します。
どうしてこんなことにしているかというと、1年生はまだ年齢が小さいため、ベラルーシでは「昼寝」「保護者の送迎」「1日3回の給食」が必要とされています。
このうち昼寝用の寝室が学校にないため、幼稚園の施設を小学校1年生の教室と寝室として使用する、ということなのです。
しかも、学区が一応定められているものの、現在は親が希望すれば、他の学区の学校に通うこともできます。
それで、
「この幼稚園に通っていたわけではないけれど、9月からはこの幼稚園担当の学校に入学することになったので、1年生のうちはこの幼稚園に通う。」
という子どもも出てきます。
逆に
「ずっとこの幼稚園に通ってきたけれど、この幼稚園が担当しているのではない学校に入学することになった。」
というケースもあります。
そうすると入学希望する学校の担当幼稚園に1年生のうちだけ通うことになります。
このように急に環境が変ることを避けるため、子どもがまだ小さいときに親がどこの学校に入学させるか決めておいて、自宅から少々遠くてもその学校の担当の幼稚園に通わせる、ということもあります。
また最初は近所の幼稚園に通っていたけど、年長組に上がる前に希望する学校の担当幼稚園に移っていく園児もたくさんいます。
そのためベラルーシの幼稚園では、グループの顔ぶれや人数がよく変ります。
Y子のグループでは半分ぐらいがそのまま幼稚園に残り、(つまりその幼稚園担当の学校に入学した。)残りは、学区外の学校に進学することになって、幼稚園を変ったりしました。
(Y子の場合は、家から遠い学校に入学したため、幼稚園が変るはずだったのですが、少々特殊なケースに当てはまり、もう幼稚園には通わず、そのまま学校の校舎に通うことになりました。 詳しくは「ベラルーシの学校」でご紹介します。)
幼稚園内での小学1年生の授業は、学校が定めた時間割にそっています。そのため学校の先生も学校から幼稚園に通勤してきます。
日本人の感覚からすると、変ってますよね。
簡単に言えば、小学校1年生だけは、学校校舎内ではなく、幼稚園施設を「入れ物」として使う、ということです。
さて、年長組を修了すると卒園となり、そのまま残る子や、別の学区に通う子どもやらで、ほとんどお友達みんなばらばらになってしまいます。
それで卒園式をしますが、そのまま残る子どもは、
「小学生になった。」
という実感があまりわかないでしょうね。
卒園証書の表紙には「さようなら、幼稚園!」とあります。(しかし1年生になっても幼稚園に通い続けるので、変な感じ・・・。)
中を開くと、それぞれの子どもの大きい写真が入っています。しかも斜め45度・・・ではなく20度ぐらい外した角度で撮影しています。(^^;)
次のページには3人の先生とグループ全員の顔写真と名前。幼稚園での様子の写真が入っています。そのバックは「戦勝記念日の勝利広場」と「独立広場」の写真・・・。
最後に卒業証書がアルバムに貼り付けられています。
そして、すごいと思ったのは表紙の裏。わが子の大きい写真の隣のページです。何やらロシア語でたくさん書いてあるので、読んでみると・・・
「私はあなたの子ども」とあり、続いて
「どんな私でも愛してください。幸せなときも悲しいときも、楽しいときも真剣なときも、小さいときも大きくなってからも。」
「大きくなったらあなたのようになると思わないで。私があなたにではなく、私自身になれるように手助けして。」
「あなたの機嫌の悪さで私の邪魔をしないで。」
「私が自分でできることには手を貸さないで。」
「守れない約束はしないで。」
「他人が見ているところで、私を評価しないで。」
「私には理解と支えがいることを忘れないで。」
「私の悩みから目をそらさないで。後から様子を見ることはしないで。」
「私が生まれたことが、あなたの人生のとても大事な出来事であることを覚えていて!」
・・・と親の心得10か条のようなものが、子どもの口から出た言葉として書いてあります。ひいー。(@0@;)
最後に
「こんな小さい子どもといっしょに、こんな大きな喜びがやってくる。子どもが成長する家よりも、この世に幸福なものはなし。」
と締められています。
こんなすごい文章が卒園アルバムに載っているとは思ってもいませんでした。
もっと無邪気なことが書いてあるのかと思っていたのに、心得10か条はほとんど全てロシア語の「HE」つまり「・・・しないで。」という言葉で始まっています。
日本の幼稚園の卒園アルバムだと「いつまでも元気でね!」とかそういう明るい希望のようなものが書いてあると思うんですが、「・・・しないで! ・・・しないで!」と連呼されて、ベラルーシの卒園アルバムのほうは、読んでいて親としては落ち込みそうになりました・・・。(^^;)
(せめて「子どもとの約束は守りましょう。」という表現にしてほしいです。)
うーん、何だか変な気分になってしまいましたが、これでベラルーシの幼稚園のご紹介を終わります。
そのうちベラルーシの学校についてもご紹介します。気長にお待ちください。
どうしてこんな判断を親がするのかは私には分かりません。
しかしその2人の子どものことをY子は、
「お勉強ができていなかった。」「他の子どもをいつも叩いたり、女の子のスカートをめくったりしていた。」「突然大声を上げたりしていた。」「他の子どもの物やおもちゃを壊していた。」
と話しており、みんなから迷惑がられていたそうです。
どこにでもいますよね、こういう子ども。
先生からもいつも叱られていて、罰として「教室の隅っこに立たされたり」「トイレに閉じ込められる」ということをされていたそうです。
立たされるのはともかく、トイレに閉じ込める、というのは日本人の感覚からすると、
「ベラルーシの幼稚園の先生は厳しい・・・。」
ということにならないでしょうか?
この2人の保護者は自分の子どもの性格を把握しており、これでは
「学校での集団生活は難しい。」
と判断して、もう1年幼稚園で様子を見よう・・・ということにしたようです。
他にも病気がちで、学校で勉強できる体力がなさそう、あるいは体格が小さいので学校の体育の授業が大変だろう、もう少し大きくなってから入学させよう・・・という親が、学校の入学を1年延ばすようです。
このように親の希望により小学校入学は1年延ばせますが、それ以上伸ばすことは許されていません。
ちなみにベラルーシの幼稚園は義務教育ではありません。(学校は9年間が義務教育になっています。)
幼稚園に全く通わない、という子どももいますが、非常に珍しいケースです。
幼稚園に通っていない場合は「通っていません。」という証明書を診療所から発行してもらい、親はそれを職場に提出します。
証明書、と言っても親が「通ってません。」という言葉をそのまま信じて医者が記入するだけなんですが・・・。
1年に1回住宅管理局の職員が担当地域の家庭訪問をして
「お宅のお子さんは幼稚園に通っていますか? 通っている場合どこの幼稚園ですか?」
と質問し、書類を作っています。
おそらくこれは親の虐待(育児放棄)がないかどうか調べるためだと思います。
さらに日本では考えられないのは、小学校1年生は、学校ではなく幼稚園に通う、というシステムがベラルーシにはあることです。
これは何かと言うと、まず各幼稚園ごとに担当している学校が決められています。
Y子が通った幼稚園は一番近いところにある学校が担当していました。
その学校に9月から入学することに決めると、入学式は学校でしますが、授業は幼稚園内で行われます。
そして2年生から学校の校舎のほうに通学します。
どうしてこんなことにしているかというと、1年生はまだ年齢が小さいため、ベラルーシでは「昼寝」「保護者の送迎」「1日3回の給食」が必要とされています。
このうち昼寝用の寝室が学校にないため、幼稚園の施設を小学校1年生の教室と寝室として使用する、ということなのです。
しかも、学区が一応定められているものの、現在は親が希望すれば、他の学区の学校に通うこともできます。
それで、
「この幼稚園に通っていたわけではないけれど、9月からはこの幼稚園担当の学校に入学することになったので、1年生のうちはこの幼稚園に通う。」
という子どもも出てきます。
逆に
「ずっとこの幼稚園に通ってきたけれど、この幼稚園が担当しているのではない学校に入学することになった。」
というケースもあります。
そうすると入学希望する学校の担当幼稚園に1年生のうちだけ通うことになります。
このように急に環境が変ることを避けるため、子どもがまだ小さいときに親がどこの学校に入学させるか決めておいて、自宅から少々遠くてもその学校の担当の幼稚園に通わせる、ということもあります。
また最初は近所の幼稚園に通っていたけど、年長組に上がる前に希望する学校の担当幼稚園に移っていく園児もたくさんいます。
そのためベラルーシの幼稚園では、グループの顔ぶれや人数がよく変ります。
Y子のグループでは半分ぐらいがそのまま幼稚園に残り、(つまりその幼稚園担当の学校に入学した。)残りは、学区外の学校に進学することになって、幼稚園を変ったりしました。
(Y子の場合は、家から遠い学校に入学したため、幼稚園が変るはずだったのですが、少々特殊なケースに当てはまり、もう幼稚園には通わず、そのまま学校の校舎に通うことになりました。 詳しくは「ベラルーシの学校」でご紹介します。)
幼稚園内での小学1年生の授業は、学校が定めた時間割にそっています。そのため学校の先生も学校から幼稚園に通勤してきます。
日本人の感覚からすると、変ってますよね。
簡単に言えば、小学校1年生だけは、学校校舎内ではなく、幼稚園施設を「入れ物」として使う、ということです。
さて、年長組を修了すると卒園となり、そのまま残る子や、別の学区に通う子どもやらで、ほとんどお友達みんなばらばらになってしまいます。
それで卒園式をしますが、そのまま残る子どもは、
「小学生になった。」
という実感があまりわかないでしょうね。
卒園証書の表紙には「さようなら、幼稚園!」とあります。(しかし1年生になっても幼稚園に通い続けるので、変な感じ・・・。)
中を開くと、それぞれの子どもの大きい写真が入っています。しかも斜め45度・・・ではなく20度ぐらい外した角度で撮影しています。(^^;)
次のページには3人の先生とグループ全員の顔写真と名前。幼稚園での様子の写真が入っています。そのバックは「戦勝記念日の勝利広場」と「独立広場」の写真・・・。
最後に卒業証書がアルバムに貼り付けられています。
そして、すごいと思ったのは表紙の裏。わが子の大きい写真の隣のページです。何やらロシア語でたくさん書いてあるので、読んでみると・・・
「私はあなたの子ども」とあり、続いて
「どんな私でも愛してください。幸せなときも悲しいときも、楽しいときも真剣なときも、小さいときも大きくなってからも。」
「大きくなったらあなたのようになると思わないで。私があなたにではなく、私自身になれるように手助けして。」
「あなたの機嫌の悪さで私の邪魔をしないで。」
「私が自分でできることには手を貸さないで。」
「守れない約束はしないで。」
「他人が見ているところで、私を評価しないで。」
「私には理解と支えがいることを忘れないで。」
「私の悩みから目をそらさないで。後から様子を見ることはしないで。」
「私が生まれたことが、あなたの人生のとても大事な出来事であることを覚えていて!」
・・・と親の心得10か条のようなものが、子どもの口から出た言葉として書いてあります。ひいー。(@0@;)
最後に
「こんな小さい子どもといっしょに、こんな大きな喜びがやってくる。子どもが成長する家よりも、この世に幸福なものはなし。」
と締められています。
こんなすごい文章が卒園アルバムに載っているとは思ってもいませんでした。
もっと無邪気なことが書いてあるのかと思っていたのに、心得10か条はほとんど全てロシア語の「HE」つまり「・・・しないで。」という言葉で始まっています。
日本の幼稚園の卒園アルバムだと「いつまでも元気でね!」とかそういう明るい希望のようなものが書いてあると思うんですが、「・・・しないで! ・・・しないで!」と連呼されて、ベラルーシの卒園アルバムのほうは、読んでいて親としては落ち込みそうになりました・・・。(^^;)
(せめて「子どもとの約束は守りましょう。」という表現にしてほしいです。)
うーん、何だか変な気分になってしまいましたが、これでベラルーシの幼稚園のご紹介を終わります。
そのうちベラルーシの学校についてもご紹介します。気長にお待ちください。