私は現役時代に八ヶ岳のヤマネを調べたことがあります。大きくいって2つの内容で、一つは糞分析によって食べ物を調べました(こちら)。もう一つは巣箱の利用です(こちら)。八ヶ岳のカラマツ林で、樹木の低いところと高いところに巣箱をつけて、どちらをよく利用するかを調べました。巣箱を作ったのはヤマネがそれを利用して糞をしてくれるのを期待したからでした。それはうまくいきました。巣箱の利用率は割合高くて、利用率を調べるために巣箱を開けて、巣材が入っているかいないかを調べました。その時に気づいたのは、枯れ葉を使ったものもあれば、地衣類を使ったものもあるということです。その地衣類は周りのカラマツの高いところにぶら下がっているサルオガセでした。それで、巣箱の利用についての論文にその写真を掲載しました。
ヤマネの巣箱に持ちこまれた巣材。A: コケ, B: サルオガセ
その論文を意外な人が読んでいました。山本好和先生という地衣学の研究者から連絡があり、その写真を自分の本に載せたいので了解して欲しいという連絡がありました。その本( 「図説 地衣学講義」)ができたというので、pdfが送られてきました(こちら)。それを読むと、流石に専門家はたいしたもので、写真を見てサルオガセの名前を特定していました。以下はその本のページです。