自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

ナラの木

2018年10月02日 | 自然 nature
9月30日の深夜から10月1日の午前3時くらいまで、暴風と呼んでよいすごい風が吹きました。この日は動けない事情があったので、10月2日の朝、玉川上水を歩きました。いたるところに枝と青葉が落ちて台風のすさまじさが残っていましたが、私が想像していたほど倒木はなく、むしろしっかりと立っているという印象でした。
 それで東日本大震災の時のことを思い出しました。あの時、アメリカの研究者が被災者を勇気付けるためにある詩を送ってくれました。私はその詩を読んで電光に打たれるような衝撃を受け、不思議なことに言葉が溢れ出るように訳しました。


ナラの木 (高槻成紀訳)

たいそう強い風が吹きました
昼となく夜となく
ナラの木のすべての葉っぱを吹き飛ばし
枝をびゅんびゅんと揺らし
木の皮も引きはがすほどでした

ついにナラの木は丸はだかになってしまいました
それでも地面にしっかり立っていました
ほかの木はみんな倒れてしまいました

くたびれてしまった風は
あきらめて言いました
「ナラの木よ、どうしてまだ立っていられるのだい?」

ナラの木は言いました
「あなたは私の枝を折ることも
すべての葉っぱを吹き飛ばすことも
枝を揺らすことも
私をゆさゆさと揺することもできます

でも私には大地に広がる
根っこがあります
私が生まれたときから
少しずつ強くなりました
あなたはこの根っこには決してさわれません

わかるでしょう
根っこは私のいちばん深い部分なのです

実は今日まで
私はよくわかっていませんでした
自分自身がどれだけものごとに耐えられるかを
でも、今おかげでわかりました
自分が知っていたよりも
私はもっと強くなったのです」


私がこの訳を紹介したら、なんとそれを庄内言葉に訳した人がいて、それが広がって日本中の地方言葉の「ナラの木」が届きました。そのことは、原作を含め、ブログでご覧になれます。こちら
特に盛岡ことばのものを聞いて見てください。こちら



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