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ひとりひとり互いに器官なのです

大ぜいいる私たちも、キリストにあって一つのからだであり、ひとりひとり互いに器官なのです
(ローマ人への手紙、12章5節)

これはパウロが、ローマ教会の人々に対して送った言葉である。パウロは、教会という組織を人間の身体にたとえて、メンバーひとりひとりが大切な器官であることを伝えている。同様に、コリント人への手紙Ⅰ・12章22節には「からだの中で比較的に弱いと見られる器官が、かえってなくてはならないものなのです。」とある。一見役に立たないように思われる人や部門でも、組織にとって重要な働きをしていることが多いことに気づかせてくれる言葉である。
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『生き方の原則』

ヘンリー・ソローの『生き方の原則(Life without principle)』(山口晃訳、文遊社)を読んだ。書店をぶらぶらしていたら、訳書につけられた副題「魂は売らない」という言葉が目に飛び込んできたからだ。

ソローは、1817~1862年に生きた人で、アメリカ・ボストン郊外のコンコードという土地を愛した詩人・作家・思想家・ナチュラリストとのこと。トルストイ、J・Fケネディ、マンデラなど、分野を超えたリーダー達に影響を与えてきたらしい。

講演調で書かれているコンパクトな本は、「どのようなスタイルで生きるか」に関して、私たちが普段意識していないことを鋭く指摘している。印象に残った箇所を引用したい。

「森を愛し、半日を森の中ですごしていると、その男はのらくら者という烙印を押されてしまいます。しかし、この森を刈り込み、大地にその本来のはたらきをまっとうさせず、樹木をとにかく伐採してしまう山師として丸一日暮らすと、彼は勤勉で進取の気性に富んだ市民だと重んじられるのです」(p11)

「何のために働くのですか。生計を立てるためですか。「よい仕事」を見つけるためですか。ちがいます。ある仕事を心から満足のいく形で仕上げるためです。」(p15)

「人々はそこへ行けば本物の黄金が見つかるとでもいうかのように、カリフォルニアとオーストラリアに殺到します。しかし、そこは黄金があるのとは正反対の場所です。彼らは黄金を探しながら真の鉱脈からますます遠ざかります。そして、自分でうまくいったと思っているとき、本当は最も嘆かわしい状態にいるのです。私たちが生まれた場所が、実は黄金を含んだ土地ではないでしょうか。」(p28)

地球が爆発しようとも、それが人格に影響を及ぼさないのであれば、なんら重大なことではないでしょう。」(p39)

「世の中に人間が非常に多いように思えるのは、ひとりの人間がいないからです。この世界で暮らしているのはひとりひとりの個人です。」(p40-41)

「他の土地を探しても虚しいことだ。」(p79)


『生き方の原則』を読んで、世の中の動きに惑わされすぎないこと、内面的な自分を大切にすること、自分が生活している土地を見つめなおすこと、が大切であると感じた。
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堅実な市民

ハーバードビジネススクールの教授であるデロングらが書いたメンタリングに関する論文の中に興味深い箇所があった。

「現代の典型的なプロフェッショナル・サービス会社で、Aクラスといえる人材が占める割合は20%にすぎない。Cクラス人材の割合も10%程度だから、残る70%はBクラスということになる。この大集団を、我々は「堅実な市民(ソリッド・シチズン)と呼んでいる。一流企業でも、組織の中核はBクラス人材にある。彼ら彼女らが凡庸だと、組織も凡庸に終わる。逆になかなかのやり手だと、組織もそうなる。Aクラス人材は相対的に少数であるため、いかに優秀であろうと、Bクラス人材の不足を埋め合わせることは不可能である。」(邦訳63ページ)

組織を支えているのは7割を占める中堅クラスのメンバー、ということだ。そして、デロングらは、Aクラス社員だけでなく、Bクラス社員に対してもメンタリングすべきである、と主張する。

面白かったのは「Aクラス社員はかまってほしがる人材が多いためメンタリングに時間がかかるが、Bクラス社員はあまり手がかからない。eメールを送ったり、挨拶の言葉をかけることが効果的である」という点。

メンタリングというと面倒くさく時間がかかるように思えるが、ちょっとした言葉がけが大切であることがわかる。自分を振り返ってみても、管理職や年長の先生方とすれ違うときに声をかけてもらえるとうれしいものだ。「あなたを応援していますよ」という気持ちを伝えることが大切なのだろう。

出所:DeLong, T.J., Babarro, J.J., and Lees, R.J.「プロフェッショナルのやる気を引き出すメンタリングの原点」Diamond Harvard Business Review, March 2008, 56-68.
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米ゼロックスの復活

米ゼロックスの復活についての記事が日経産業新聞にシリーズで掲載されていた。高い技術をビジネス化できずに業績が低下していた同社が生まれ変わった要因は、次のとおり。


・顧客との対話
・サービス重視
・無駄のない品質管理


いくら技術力を持っていても、顧客が求めるものとズレていては売れないし、製品化の過程でムリ・ムダ・ムラがあってはコストがかかる。そして、顧客の問題を解決するには、製品に加えてサービスが必要になる。

当たり前といえば当たり前のことだが、これらの条件をそろえることは難しい。「顧客志向は高いが技術力のない会社」「低コストでものをつくれるが顧客ニーズがわかっていない会社」「サービスはすばらしいがコストがかかりすぎる会社」などなど。

ゼロックスの復活は、顧客志向経営を考える上でも参考になる。つまり、顧客重視の理念を持つだけでは不十分であり、技術力、オペレーション力、サービス提案力がないとその理念は実現できない、ということを教えてくれる。

出所:日経産業新聞2008.4.9, 4.10, 4.15, 4.16, 4.21
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