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『生き方の原則』

ヘンリー・ソローの『生き方の原則(Life without principle)』(山口晃訳、文遊社)を読んだ。書店をぶらぶらしていたら、訳書につけられた副題「魂は売らない」という言葉が目に飛び込んできたからだ。

ソローは、1817~1862年に生きた人で、アメリカ・ボストン郊外のコンコードという土地を愛した詩人・作家・思想家・ナチュラリストとのこと。トルストイ、J・Fケネディ、マンデラなど、分野を超えたリーダー達に影響を与えてきたらしい。

講演調で書かれているコンパクトな本は、「どのようなスタイルで生きるか」に関して、私たちが普段意識していないことを鋭く指摘している。印象に残った箇所を引用したい。

「森を愛し、半日を森の中ですごしていると、その男はのらくら者という烙印を押されてしまいます。しかし、この森を刈り込み、大地にその本来のはたらきをまっとうさせず、樹木をとにかく伐採してしまう山師として丸一日暮らすと、彼は勤勉で進取の気性に富んだ市民だと重んじられるのです」(p11)

「何のために働くのですか。生計を立てるためですか。「よい仕事」を見つけるためですか。ちがいます。ある仕事を心から満足のいく形で仕上げるためです。」(p15)

「人々はそこへ行けば本物の黄金が見つかるとでもいうかのように、カリフォルニアとオーストラリアに殺到します。しかし、そこは黄金があるのとは正反対の場所です。彼らは黄金を探しながら真の鉱脈からますます遠ざかります。そして、自分でうまくいったと思っているとき、本当は最も嘆かわしい状態にいるのです。私たちが生まれた場所が、実は黄金を含んだ土地ではないでしょうか。」(p28)

地球が爆発しようとも、それが人格に影響を及ぼさないのであれば、なんら重大なことではないでしょう。」(p39)

「世の中に人間が非常に多いように思えるのは、ひとりの人間がいないからです。この世界で暮らしているのはひとりひとりの個人です。」(p40-41)

「他の土地を探しても虚しいことだ。」(p79)


『生き方の原則』を読んで、世の中の動きに惑わされすぎないこと、内面的な自分を大切にすること、自分が生活している土地を見つめなおすこと、が大切であると感じた。
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