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新人管理職の落とし穴

個人としては優れた業績をあげていた人が、管理職になったとたんにまごついてしまう、といったことをよく聞く。

マネジャーのコーチングを専門とする米国のコンサルタントであるウォーカー氏は、管理職になったばかりの人が陥りやすい落とし穴として、次の5つを挙げている。

1)部下に任せることをためらい、干渉してしまう
2)問題が生じても、上司に相談しない
3)自信のない態度をとり、部下からの信頼を失う
4)目先の仕事にとらわれて、戦略的に考えない
5)部下の問題を指摘できない

こうした問題の根本は「管理職の役割がわかっていない」ことにあるという。つまり、管理職の役割は、自分の業績ではなく、他人(部下)の業績を引き上げることである、という点が理解されていないのだ。

では、どのようにサポートしたらいいのか?ウォーカーは、新人管理職と定期的にミーティングを行い、率直にフィードバックをし、上級管理職が自ら模範を示すことが大事である、と述べている。ポイントは以下の通り。

1)管理職の役割を認識させ、チームの実力を引き出すチャンスを一緒に考える。
2)ミスは避けられないこと、ミスを隠さずに報告することの大切さを伝える。
3)部下に好かれる必要はないが、部下から信頼される必要があることを強調する。
4)勤務時間の10%を戦略に、90%を実務に費やすようにすすめる。
5)「部下が目標を達成できるようにサポートしたい」という気持ちを持ちながら、部下にフィードバックすることの重要性に気づかせる。

「そんなことは、管理職が自分で試行錯誤して習得すべきである」という声に対してウォーカーは異を唱える(コーチングが仕事だから、ということもあるが)。放っておいてもまず、自然に管理職は育たない。そして、新人管理職だけでなく、あらゆる階層における多くの管理職が適切なマネジメント・スキルを持っていない、と指摘する。

新しく管理職になった人たちに、こうした落とし穴と、その対処法を教えてあげるだけで、だいぶ気持ちも楽になるのではないか。手取り足取り教えることには疑問があるが、「指針」を示すことは大切だろう。「はじめての管理職になった経験」は、一皮むけた経験としてよく挙げられる。上記の点に気をつけて仕事をすることにより、マネジメントという経験から多くのことを学ぶことができるのではないか、と思った。

出所:キャロル・ウォーカー「新人マネジャーを育てるコーチング技法」ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー2002(July)
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