さて、
「アルザス&ローヌワイン」試飲会のもう一方の主役の
ローヌ ですが、
ワイン紹介の前に、
ローヌワインに関する最新情報をお知らせします。
かつて、コート・デュ・ローヌ南部の
AOC Rasteau(ラストー)は、
天然甘口ワインのヴァン・ドゥー・ナチュレール(V.D.N.)のみが認められ、
スティルワイン(赤)は「AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストー」でした。
が、2010年6月のINAOワイン・アルコール飲料・スピリッツ原産地呼称全国委員会において、
赤のスティルワイン「AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストー」が、「AOC ラストー」に昇格することが決まりました。
つまり、今後
「AOC ラストー」はVDNとスティルワインの赤 となります。
これは2009年ヴィンテージから適用可能のようで、
「AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストー」として申請している2009年のワインは、基準を満たしていれば(使用品種などの詳細はまだわかりませんが)「AOC ラストー」としてリリースできるのです。
早ければ年内にも「AOCラストー」の赤のスティルワインの姿が見られるかも?
ただし、
白とロゼワインは従来通り「AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストー」です。
これは覚えておきたい情報ですね
試飲会の方ですが、最初はアルザスの白に集中して会場を回っていたため、残念ながらローヌの赤ワインの試飲に残された時間はわずかばかり・・・
そんな中、これは面白い!と思ったのが
Cotes du Rhone "Cuvee les Cistes" 2004 Chateau de Bastet
南部ローヌ、オランジェの北西に位置するビオディナミ生産者で、このワインは
シラー100%。
シラーは北部ローヌの品種で、
南部ローヌはグルナッシュが中心(60%)で、普通に「コート・デュ・ローヌ」の赤ワインといえば、グルナッシュを中心としたブレンドワインが多いので、このワインはかなり変り種といえます。
色も濃く、タンニンもしっかりとした力のあるワインですが、今ちょうどいい飲み頃になってきていて、なめらかさと旨味が感じられます。でも、まだまだ長持ちしそうですね。
このワイン、もし北部ローヌでつくられていたとしたら、単なる「コート・デュ・ローヌ」ではなく、コルナスやコート・ロティ、サン・ジョセフといったクリュを名乗れるはずですし、そういったワインに引けを取らない高い品質を持っています(お値段も4,000円台ですけどね)。
AOCの階層ではローヌの中で最も底辺ですが、内容とギャップがあるワインは、これからどんどん増えていきそうですね。
Cote-Rotie Michel&Stephane OGIER
こちらは北部ローヌの
「コート・ロティ」。
ミッシェル・オジェと息子のステファン(1997年から参加)のドメーヌです。
ステファンがブルゴーニュのボーヌで学び、ブルゴーニュの手法が取り入れられています。
上記2本はヴィンテージ違いで
「2006年」と「2002年」ですが、まったく違うワインを飲んでいるかのようでした。
もちろん、ヴィンテージの良し悪しによる違いもあるかと思いますが(2006年の方が良年とされています)、聞くところによると、オジェでは
醸造のスタイルを2006年頃から変えているらしく、それがワインにハッキリと表れています。
2006年はフローラルなニュアンスがあり、口当たりはソフト、味わいはピュアでエレガントなスタイルなのに対して、2002年は少し粗野で雑味があり、ワインが毛羽立っているような感じで落ち着きのなさを感じました。
よって、個人的な好みは2006年なのですが、ただ好きと感じるだけでなく、なんらかの飲み比べをしてみると色々なものが見えてくるのがワインの面白いところではないでしょうか。
オジェに関しては、ぜひ垂直試飲で、彼らの試行錯誤の軌跡を飲み比べてみてください。