ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

黒海周辺ワイン!「Black Sea Region Wines & Spirits Contest 2016」

2016-11-23 10:00:00 | ワイン&酒
昨日の記事の中で、“今後は黒海周辺のワイン産地に注目!” と書きました。

なぜ、黒海周辺 なのか?

ワイン発祥の地は黒海からカスピ海周辺といわれています。
今の国で言うと、トルコ、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン、ウクライナ、ロシア、モルドバ、ルーマニア、ブルガリアあたり。
黒海周辺は“ワインのゆりかご”と呼ばれています。

黒海周辺では、ローカルなブドウ品種を育て、各家庭で昔ながらのワインづくりをしていたり、現代の最新テクノロジーを駆使して醸造したワインとは異なるワインに出合えることが多々あります。

カベルネやシャルドネといった国際品種に魅力を感じなくなってしまった人には、いにしえに立ち返った素朴なワインが魅力的に感じるものです。

各地それぞれのローカルブドウでつくられるワインを求める人が、本当に増えてきました。これも今のトレンドです。
よって、ワインのルーツとなる黒海周辺地域のワインに注目する人が増えています。




黒海 は、実際に見ました。
大陸に囲まれた内海ですが、海のように大きい!
海のように波もあり、水をすくって舐めてみると、ほんのり塩気がありました。
トルコのイスタンブールのボスポラス海峡で外海(マルマラ海)とつながっているため、海水が入ってくるのですが、海面近くは塩分が薄く、海底は塩分濃度が濃くなっているようです。

黒海周辺地域は、英語では“Black Sea Region”と言いますが、黒海周辺地域のワインコンクールが現地で開催されていることを、友人からの情報で知りました。

友人はハンガリー人のワインライターですが、ちょうど「Vinexpo Tokyo 2016」と同じ日程(2016年11月15-16日)でジョージアにて開催された 「Black Sea Region Wines & Spirits Contest 2016」 に審査員として参加しました。

調べてみると、モルドバの首都キシナウで25年間にわたって開催されていた「CHISINAU WINE & SPIRITS CONTEST」が名前を新たにし、今年初めて、ジョージアのBatumi(バトゥミ)で、「Black Sea Region Wines & Spirits Contest」として、the Union of Oenologists of Georgiaの主催で開催されました。開催国は持ち回りになるそうです。

名称変更前の直近は、2016年2月に開催され、モルドバ、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ルーマニア、チェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、ドイツから、70社、300アイテムのワインがエントリーされました。
直近の7年間はOIV(国際ブドウ・ワイン機構、本部はパリ)の後援を受け、今回もOIVの支援の下、開催されています。
つまり、国際的にも権威ある機関のお墨付きコンテスト、というわけ。

にもかかわらず、このコンテストの存在は、日本ではほとんど知られていなかったのでは?

しかし、今回からコンテストの名称を「Black Sea Region Wines & Spirits Contest」に変更したことで、黒海周辺地域らしさ全面的に押し出していこう!という、彼ら主催者側の意識の向上と意気込みを感じます。

今回のエントリー国は、ジョージア、モルドバ、ルーマニア、ブルガリア、トルコ、ウクライナ、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャンなど。
ワインはブラインドで審査され、エントリーされたワインの1/3がなんらかのメダルを獲得しています。

コンテストの結果、早く発表されないでしょうか





黒海周辺地域では庭先にブドウ棚がある家も多く、自家消費用のワインをつくっています。
ごく普通の小さい街や村の中をぐるっと回ってみると、家の軒先にブドウ棚があります。
そういう家庭ワインも、いつか飲んでみたいものです。

ワインの世界は、よりローカル&ナチュラル&伝統的な方向への揺り戻しが進んでいるように思います。



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