ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ボジョレ・ヌーヴォーを今一度考える

2017-11-29 10:00:00 | ワイン&酒
解禁日からまだ2週間も経っていませんが、ボジョレ・ヌーヴォーの話題がすっかりなくなってしまったような…

ボジョレ・ヌーヴォーの日本への輸出が年々減少傾向にあり、ピーク時の半分という数字の事実がありますが、むしろ今の方が健全になってきたように思います。

新しいもの、旬のものが好きで、何にでもすぐ飛びつく日本人にとって、ボジョレ・ヌーヴォーは格好の商品だったと思います。
売れるからと、色々なものが投入され、価格競争も激化しました。

その熱が醒めてきました。



でも、今年の、2017年のボジョレ・ヌーヴォーのワインは、本当によくできていると思います。
ひとくち飲んで、「果実味がしっかりしておいしい!」と感じました。
他のヌーヴォーを飲んでも、どれもおいしい!

ただし、航空便で運ばれてきていますから、その運賃が加算され、割高になってしまい、他のワインよりも高いよね?となってしまうわけです。



解禁日、翌日と、ボジョレ・ヌーヴォーの記事を書きましたが、それを読んで、日本への売り方がけしからん、という負の感想を持たれた方がいらっしゃったようで、書き手としての力不足を実感しました。

品質自体は、バブルの頃と比べて格段に良くなっています。
ただし、激安価格をうたうものの中には、品質に問題あり、というものもあるかもしれません。それを飲み、おいしくない、と思ってしまう人もいるはずです。

ひとつ気になった、あるメディアの記事がありまして、
ボジョレ・ヌーヴォーに使われるガメイというブドウ品種は収穫された年のうちに飲んでしまうのがよく、1年置いたらおいしさが下がる、という内容です。書いているのはワインの専門家ではありません。
こういう書かれ方は、大きな誤解を与えるかもしれません。

ボジョレ委員会では、秋のボジョレ・ヌーヴォーだけでなく、ある程度熟成をさせて楽しむクリュ・ボジョレも推しています。
ガメイ種のブドウは熟成させると、またがらっと変わり、むんむんとした色気のある妖艶な顔を見せてくれたりします。
素晴らしいボジョレの造り手もたくさんいますし、ビオの有名な生産者もいる地域です。

ヌーヴォーの売り方がけしからんからボジョレのワインはダメ、
ガメイは1年経つとおいしくなくなる、といったことを真に受けるなど、ネガティブな思い込みは、お互いに不幸ですよね。

毎年この時期にボジョレ・ヌーヴォーを買い、夫婦ふたりでいつもと違った食事を家で楽しむのが1年で一度の楽しみ、というシルバー世代の方の投稿記事が、昨日の新聞に載っていました。
宣伝に乗せられて…と思う人もいるかもしれませんし、年配夫婦の楽しみをほほえましく思う人もいます。揚げ足を取ったり、ネガティブな発言をする人もいるでしょうけれど、イヤならスルーすればいいことです。

色々な人の色々な反応を見るにつけ、今年はボジョレ・ヌーヴォーについて色々と考えさせられました。



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2 コメント

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初めまして、象が転んだです。 (lemonwater2017)
2017-11-30 04:12:03
 まだブログを初めて間もないのですが。宜しくです。ワインに関する知識って殆どないのですが。若い頃、まだチリやカルフィルニアをよく飲んでた記憶があります。

 よく、テーブルワインとかボトルワインとか言いますが、あれは漬物で言えば、"浅漬け"の様なものでしょうか。それに対し年代物の高価なワインは何て呼ぶのでしょうか。
 それに、ボージョレ•ヌーボーとは、どのレヴェルに属するワインで、種類によって異なるのでしょうか。昔、耳にした事ですが、場末の食堂で出てくる様な非常に安価な奴もあると聞いて。

 それ以来、フランスワインは敬遠し、防腐剤の入ってない(亜硫酸塩のみ)超格安の朝鮮ワインを呑んでた事も。でも国産よりずっと美味しかったです。ワインブームになると、ワンコイン程で買えたチリやカルフォルニアが10倍程に跳ね上がりましたもの。
 ヨーロッパでは、ワインってどんな格付けなんでしょうか。フランスというとコニャックやブランデーを思い浮かびますし、バルザックの居酒屋でも登場するのは、自家製の蒸留酒ばかりですが。
 長くなりまして、スミマセン。 
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コメントありがとうございます (まゆ@管理人)
2017-12-01 14:29:40
lemonwater2017さん
コメントをありがとうございます。
ワインに詳しくないと仰られていますが、色々と飲まれて来たご様子。

ご質問についてですが、
フランスを例に挙げますと、フランスのどこの地域のワインか特定できないワインなどは、ヴァン・ド・ターブル、直訳するとテーブルワインということになりますね。

ボトルワインは、ボトルに詰められたワインのことです。
詰められた直後のワインはどれも若く、それをすぐに飲めば若いワインということになりますが、それを5年、10年…と寝かせていくと、ワインが熟成を重ね、若い頃とはまた違った味わいになります。
どのワインも長期熟成できるというわけではなく、若い状態を楽しんでもらおうと思って造られたワインなどは、早めに飲む方がいいとされます。その代表格が、ボジョレ・ヌーヴォーなどの新酒ワインです。

ボジョレはフランスのブルゴーニュ地方南部の地域の名前で、この地はガメイ種というブドウの赤ワインが伝統的です。通常は、今年収穫したブドウで造ったワインは、法律で決められた期間を過ぎないと販売できないのですが、新酒として販売するなら解禁を早めてOKというのがヌーヴォーワインです。

初物好きの日本では大ヒットし、価格競争も注目され、これはどうなの?という中身のボジョレ・ヌーヴォーもあったと思います。そういうワインを飲んだ人は、ヌーヴォーに幻滅したかもしれないですね。

反対に、長期熟成されたワインは、熟成ワイン、オールドワイン、オールドヴィンテージワインなどと呼ばれます。10年程度の熟成なら「熟成ワイン」でいいでしょうけれど、もっと長く熟成されていれば「オールドワイン」と呼ばれるようになってきます。何年以上がオールドか、は人によるかと思います。
20年物でもオールドと思う人もいるでしょうし、50年物くらいにならないと、という人もいます。

そうした年代物のワインを口にする機会がたまにありますが、熟成を重ねたワインはまた違った味わいがあり、ワインって面白いって思います。
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