ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

EPAで欧州ワインが安くなる?

2014-01-30 17:09:46 | ワイン&酒
最近よく耳にするのが、EPA(Economic Partnership Agreement、経済連携協定)。
新聞などでもよく取り上げていますが、ワインの例で検証してみましょう。

ある国や地域との間で、関税をなくし、物やサービスの自由な貿易をより進めることを目的としたFTA(Free Trade Agreement、自由貿易協定)をベースに、日本は、さらに幅広いさまざまな分野を対象に、経済上の連携強化を目的とした協定-EPAを各国と交渉しています。

関税はさまざまな輸入物品にかかり、ワイン にも、もちろんかかります。
ワインは1リットルにつき125円、または価格の15%どちらか低い金額が関税額となります。

ワインのレギュラーボトル1本750mlで計算すると、625円が分岐点です。

625円のワインなら、どちらの計算方法でも、1本につき93.75円の関税がかかります。

625円以上のワインなら、700円でも、5000円でも、10万円でも93.75円。

逆に、500円なら75円、300円なら45円、200円なら30円?
ただし、“1リットルにつき67円を下回る場合には67円”という規定があるようなので、どんなに安いワインでも、67円が最低ライン(750mlなら50.25円)ということになります。

となると、明らかに、低価格ワインの方が割高

ワインの関税撤廃は、625円未満のワインにとって願ってもないこと!
輸入業者が喜ぶのはもちろん、私たち消費者も今よりも安く買えるようになりそう?




すでに2007年からEPA協定が発効している チリ を見てみましょう。

ワインに関しては13年かけて年々関税額が下がっている段階ですが、その影響がもう数字に現れているといえます。
※酒類によって年数は微妙に違いますが、代表的な“ワイン”を取り上げました

日本へのチリワイン輸入量の推移をみると、2008年から2012年で 121.04%増です。
これは、上位5か国の中でも最大の伸び率となっています。

日本への輸入ワイン上位国は、1位フランス(7.56)、2位イタリア(4.38)、3位チリ(3.31)、4位スペイン(3.25)、5位アメリカ(2.79)
※数字は2012年のもの、単位は100万ケース(Vinexpo/IWSR 2014調査より)

2008年では5位でしたが、2012年は3位に急上昇しました。
日本へのチリワインの輸入が非常に順調な要因のひとつは、このEPAでしょう。



そこで気になるのが、他のワイン生産国。

最近の新聞記事でよく取り上げていますが、日本政府は EU(欧州連合)とEPAの交渉中です。
EUと日本のEPA協定が結ばれれば、欧州産ワインが安く飲めるようになってくるかもしれません。



また、ワインだけでなく、チーズやバター、オリーブオイル、チョコレートといった食品も恩恵を受けそうですよね。待ちきれないかも(笑)


コメント
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