ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「第6回 Riesling Ring Evening」ディナー【ワイン編】

2011-09-14 21:20:21 | ワイン&酒
2011年9月12日に開催した 「第6回 Riesling Ring Evening」 のワインを紹介します。

今回は、フランスはアルザスのドメーヌ・レオン・ベイエの醸造家ヤン・ベイエ氏をゲストに迎え、ライン河流域のワイン産地のワインを味わう “秋の味覚とライン河ワイン・クルーズ” というテーマで開催しました。



ライン河 はスイスのボーデン湖から北に向かって流れ、ドイツのマインツでマイン川と合流した後は西に角度を変えます。その後はドイツの名醸産地の間を縫うように流れて行き、オランダで北海に注ぐ河川です。

フランスのアルザス地方とドイツのバーデン地方は、ライン河を挟んだ対岸に位置しています。
アルザス地方にはドイツとフランスの間で翻弄された悲しい歴史がありますが、今や両地の行き来は全く自由かつ日常茶飯事。
ディナーはアルザス側の店に食べに行く(美味しいから)、という話をドイツで聞きました



7年ほど前に訪れた独バーデン地方のBreisachを流れるライン河

このブライザッハのちょうど対岸に、レオン・ベイエの拠点であるEguisheim(エギスハイム)があります。

エギスハイムは、1049年にローマ教皇レオン4世に即位したブルーノ・エギスハイムを生んだ、エギスハイム伯爵家発祥の地。
町は13世紀にストラスブール司教の手に渡りましたが、同心円状に形成され、3つの古代の城壁に沿って道が弧を描き、アウグスティン修道会、ベネディクト修道会、シトー修道会、ドミニコ修道会の建造物が残っています。

エギスハイムでは、ブドウ栽培やワイン生産が古くから盛んで、レオン・ベイエのベイエ家も1580年からワイン造りに携わっています。

Domaine Leon Beyer となったのは、11代目(レオン・ベイエ氏)の1959年からで、その前は Maison de Vine 'Alsace(1867年創設) を名乗っていました。
その後、12代目、13代目(ヤン氏の父、現当主のマルク氏)と引き継がれ、今回のゲストである
ヤン・ベイエ氏 (35歳)は14代目となります。


「レオン・ベイエのラベルは品質を約束するもの」 とヤン・ベイエ氏

レオン・ベイエのワインの特徴については、
「料理によく合うガストロノミーのワイン」とヤン氏は言います。

というのも、12代目(レオン氏、愛称コント・デギスハイム)は非常な美食家で、フレンチガストロノミーの権威と称されていました。
13代目のマルク氏も、「フランスの味友好協会事務局」の創設に尽力し、「コルマール国際グルメフェスティバル」の代表も1996年から務めているほど、ガストロノミーの追究に情熱を持っています。

美味しい料理には美味しいワインがほしくなります ものね?



さて、今回のディナーでレオン・ベイエからは以下の3アイテムをサービスしました。
(輸入元:三国ワイン株式会社)



Leon Beyer Riesling 2009 Leon Beyer 

爽やかで軽快な飲み心地の辛口。アペリティフにアミューズと、また、軽い前菜(野菜を使ったもの、繊細な味わいのものなど)に合わせて楽しむのにオススメしたいです。
この夏は暑かったので、こういうワインはピッタリです。また、冬の時期の鍋にもオススメ。



Leon Beyer Riesling Cuvee des Comtes d’Eguisheim 2004 Leon Beyer 

アルザスにはグラン・クリュを名乗れる51のリュ・ディー(小地区)があります。
レオン・ベイエでも Pfersigberg (フェルシグベルク)という名のグランクリュ畑を持っています。

この「キュヴェ・デ・コント・デギスハイム」もフェルシグベルクのブドウから造っているので、ラベルに Pfersigberg Grand Cru という表記をしてもいいのですが、レオン・ベイエではあえてそれを名乗りません。
グランクリュという表記や畑名だけで判断するのではなく、実際に味わって納得してほしい、という意思があるからです。

「Cuvee des Comtes d’Eguisheim は祖父(12代目)の愛称を冠したシリーズです。コント・デギスハイムの名前にふさわしい品質でないと判断した場合は、格下げしてクラッシクレンジに使います」とヤン氏。

口にすると、骨格はしっかりしているのに、スイスイと入ってきます。
これはまさしくガストロノミーのワイン



Leon Beyer Riesling Vendanges Tardives 1995 

このワインも Pfersigberg の畑のブドウから来ています。

ヴァンダンジュ・タルディヴとは、レイトハーベスト(遅摘み)のこと。
毎年できるワインではなく、天候に恵まれた良年にしか造られない特別なワインです。
1995年の夏は暑く乾燥し、9月に雨や低温の時期がややあったものの、10月にインディアンサマーがあり、11月下旬の収穫となりました。

ディナーの時にはデカンタしてからサービスされました。
16年熟成しているとは思えないほどの若々しさがあり、驚き!

リースリングならではのミネラル感がしっかりありながら、口当たりはなめらかです。酸が充実し、甘口まではいかないですが、繊細で軽やかな果実味が品よく広がります。
フォアグラとの相性は最高でした!(お料理の紹介はまた後日)



さて、レオン・ベイエと素晴らしい共演を果たしてくれたのは、以下のドイツワインです。


Riesling Sekt Brut Reserve 2007 Sekthaus Solter(独・ラインガウ) 

ウエルカムとして、ラインガウのスパークリングワイン(ゼクト)を用意しました。
ライン河沿いのリューデスハイムのBerg Roseneck という急斜面の畑で栽培されたブドウから造られています。

泡が非常にキメ細かく、ソフトな口当たり。ブリュット(辛口)ですが、果実味はふっくらとし、しっとり落ち着いた味わいは上品で、素晴らしいディナーのスタートの1杯に最適でした。
熟成の旨味があり、これは合う料理がたくさんあるでしょう。
(輸入元:株式会社エルフェン)



Freiherr Heyl Zu Herrnsheim Gutswein Riesling Trocken 2007
Freiherr Heyl Zu Herrnsheim
 (独・ラインヘッセン) 

ラインヘッセン地方を代表する名醸ワイナリーで、テロワールをそのままワインへ反映させるワイン造りを行っています。栽培もビオにこだわり、酸化防止剤もなるべく使用しません。

独特のミネラル感をしっかり感じられる、骨格のしっかりしたキレのある辛口。
味わいが非常に個性的で、これはRoter Hang(“赤い斜面”という意味)という土壌が大きく影響しているように思います。
(輸入元:株式会社徳岡)



Deidesheimer Leinhohle Riesling Spatlese 2007 Bassermann-Jordan(独・ファルツ)

ファルツだけでなく、ドイツを代表する生産者のひとつ
ラインヘーレはダイデスハイム村の西端の東南斜面にあり、ハート丘陵により強い西風と雨から守られている畑です。

豊かでコクのある果実味と酸のバランスが取れ、甘さはしっかりしていますが、爽やかです。ミネラル感も隠れるように存在しています。
アルコールは10%と非常にライト。白身の肉(ポークやチキンの煮込み)などに合いますが、フルーツを使ったデザートにもオススメでしょう。

果実味と酸のバランスにおいて、アウスレーゼよりもシュペトレーゼの方がフードとのマリアージュの可能性が広いと私は思っていますが、いかがでしょうか?
(輸入元:ジェロボーム株式会社)




【料理編】は → コチラ


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