お気楽ボランティア日記

楽しみながら、ボランティア   広がる、人の輪

「津波の霊たち3.11  死と生の物語」

2018年03月21日 | 映画・演劇・本

 読み進めるのがこんなに苦しかった本は初めてだった。

 その理由はわかっている・・・ボランティアで東北被災地に数年間通っていた私は、津波の体験をご本人からたくさん伺った。読んでいるとそれらが全てフラッシュバックされて胸が詰まり、苦しくなり、本を開くのが恐くなった。

 でも、読むのを止める事も出来なくて、毎日少しずつ読んだ・・・次第に食欲が無くなってきた。

 この本は、宮城県石巻市の大川小学校の惨事を中心に書かれたルポルタージュだ。著者は日本人ではない。リチャード・ロイド・パリーという英国人で、1995年に来日、地震を経験している。彼が6年という歳月をかけてまとめただけのことはあると思う。

 津波で死んでしまった74人の児童と、10名の教師。一人生き残った教師、自分の娘の卒業式に出ていて無事だった校長、そして我が子を必死で捜索する親たち、さらに裁判で闘う親と、対峙する教育委員会・・・どれをとっても重い

 大川小学校は校舎の裏が、すぐ小高い山だったのに、地震から津波まで51分もあったのに、なぜ教師たちは山に逃げる決断をしなかったのか・・・広報車が出て「津波が来る、避難して!」と知らせ回っていたのに。子ども達の中には「先生、山に逃げよう」と言った子もいたのに・・・教師たちは逆に津波の方角に児童を誘導した!なぜ?・・・親たちはその辺りの真実を知りたくて裁判に踏み切った。

 私もかつては教師だった。自分ならどうしただろうと思うと・・・毎年勤務校で行っていた「避難訓練」はただの訓練でしか無くて・・・・つらい。しかし、たった一人生存した教師は身を隠して裁判に出てこない・・・裁判前の彼の話は9割方はウソだったことが判明している。なぜ?  この裁判はまだ最終決着がついていない。判決は4月26日。

 本の後半は、被災地で幽霊がでたり、死んだ人の霊が人にとりついたりする話に変わる。

 人びとが津波で流されていった子どもに会いたくて、イタコに頼る気持ちはわかるが、むろん信じられない。しかし、ある住職が、一人の女性にとりついたたくさんの霊を追い出す話しは不思議と納得できた。

 著者はこの本を通して、日本人のもつ特性(我慢強さ、地域の結束性など)をあぶりだす。そこも大変興味深くて、考えさせられた。

 やっと読み終わって、真夜中にもかかわらず友人にメールしてしまった!!そして翌日「読んで!」と押しつけてしまった。ごめん、でも絶対に良いから・・・・皆さんも是非是非読んでください!(Amazonだとなぜか高いので、町の本屋で。私は取り寄せて貰って入手

 津波の話し、大川小学校の話しならもう知っている・・・と言う方も是非。

 「知らなかった!」と思うはずです。

 

 

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