茶籠一式を拝見に出したところです
御茶一服差し上げたく・・・茶事のクライマックスの濃茶、
亭主は美味しい濃茶を点てるべく、精神を集中させます。
何とも言えぬ緊張感を感じ、または緊張感をより高めながら、
帛紗捌きをします・・濃茶で一番好きな時間であり、清めの所作です。
一瞬、時が留まるような感覚を覚えたり、
時に「南無大師遍照金剛」と心中で唱えながら、四方捌きをし
心を平かにして、茶入を清めます。
濃茶をたっぷり茶碗へ回し入れ、湯を汲み、濃茶を練りました。
薫りが立ち昇る中、濃すぎず、薄すぎず、美味しくと念じながら・・・。
「香り佳く、練り加減も好く、美味しゅうございます」とお客さま。
いつもそのお言葉に安堵します。
茶銘は「長松の昔」、柳桜園詰です。
茶碗は高麗御本暦手、
茶入はガラス製なで肩で岩田久利作、仕覆は銀色の網袋、
茶杓銘は「秋の夕風」、後藤瑞巌和尚作です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/c8/4acd6bf420171515e037e8abab5480cc.jpg)
草花文の水指は銘「黙坐」
揖保川焼の池川みどり作です
干菓子を運び出し、茶籠の点前で薄茶を差し上げました。
撫子絵の盆に茶籠をのせて正面に運び出し、次いで替薄器と替茶碗を持って
建水の下へ仮置きしました。
最後に建水を運び、柄杓を構え、蓋置を出し、柄杓を置き、居前を正します。
茶籠の紐を一つ解き、御所籠の扱いのように前で結び直し、
盆を持って斜め客付へ置きます。
茶籠を勝手付に置き、蓋を盆と茶籠の間に置きました。
あとは茶箱の花点前と同様で、帛紗を捌き、盆を清めます。
薄茶を茶碗に適量入れ、湯を汲み、茶筅を振りましたが、
小さな筒茶碗なので、なかなかいつものように点ちません。
「月に叢雲」のような風情(?)の薄茶をお出しすると、
「あらっ、表千家流ですね・・・美味しいです」とお客さまのフォーロー。
筒型の茶碗で一服ずつ飲んで頂いてから、茶碗と薄器を替え、
茶筅も普通サイズにして、裏千家流の泡立っている薄茶を差し上げました。
茶銘は「丹頂の昔」、一保堂詰、
干菓子は、「貴船菊」(田丸彌)、団扇(幸楽屋)などです。
今回は、京都へ連れてきたのに一度も使う機会のなかった茶籠を
どうしても使いたかったのです。
変則ですが、表千家流のお客さまに拝見しやすいよう、
撫子絵の盆に茶入、茶杓を清めて並べ、横に二つ折りの帛紗を敷き、
茶筅筒、茶巾筒、仕覆を並べ、拝見して頂きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/23/bab960cbffc1e799ef497d0ebda255ef.jpg)
(茶籠に裂を貼りました)
茶籠の茶道具は豊楽焼、
織部釉の陶器ですが、外側に漆が塗られ、菊絵が描かれています。
やっとお披露目が叶い、茶籠の道具たちもさぞや喜んでいることでしょう!
そんな話をしましたら、正客Aさまが
「私も以前、頂いたきり使っていなかった茶道具を総動員して
茶会をしたことがあります。
茶会の後、道具たちから「アリガトウ!」という声が聞こえたの・・・」
とても不思議だけれど、わかる気がして頷きました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_5.gif)
こうして・・・愉しく心温まる時間が過ぎていきました。
次客のSさまを少しは元気づけられたかしら?
お茶をやっているからこそ、
素敵な茶友に出逢え、癒しや活力を与え、頂戴もする、
そんなお茶の力を大いに感じられた、秋待つ撫子の茶事でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/pampas.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/pampas_mov.gif)
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追記
お正客Aさまから和歌が寄せられましたので、ご披露いたします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/mail.gif)
時々に、あのお茶事を思い出しては、未だに胸を熱くしております。
和歌、少し変更したものと、付け足しがございますので、お送りします。
笑ってやってくださいませ。
灼熱の都大路を茶席へといざなふごとく赤蜻蛉飛ぶ
辰年の客三名の席入を浄めくるるか竜の蹲
去りては来 来ては去りぬのそのままに闇夜を侵し暁の来る
一生のただ三年(みとせ)とて千年の 都に暮らす人羨みて
御茶一服差し上げたく・・・茶事のクライマックスの濃茶、
亭主は美味しい濃茶を点てるべく、精神を集中させます。
何とも言えぬ緊張感を感じ、または緊張感をより高めながら、
帛紗捌きをします・・濃茶で一番好きな時間であり、清めの所作です。
一瞬、時が留まるような感覚を覚えたり、
時に「南無大師遍照金剛」と心中で唱えながら、四方捌きをし
心を平かにして、茶入を清めます。
濃茶をたっぷり茶碗へ回し入れ、湯を汲み、濃茶を練りました。
薫りが立ち昇る中、濃すぎず、薄すぎず、美味しくと念じながら・・・。
「香り佳く、練り加減も好く、美味しゅうございます」とお客さま。
いつもそのお言葉に安堵します。
茶銘は「長松の昔」、柳桜園詰です。
茶碗は高麗御本暦手、
茶入はガラス製なで肩で岩田久利作、仕覆は銀色の網袋、
茶杓銘は「秋の夕風」、後藤瑞巌和尚作です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/c8/4acd6bf420171515e037e8abab5480cc.jpg)
草花文の水指は銘「黙坐」
揖保川焼の池川みどり作です
干菓子を運び出し、茶籠の点前で薄茶を差し上げました。
撫子絵の盆に茶籠をのせて正面に運び出し、次いで替薄器と替茶碗を持って
建水の下へ仮置きしました。
最後に建水を運び、柄杓を構え、蓋置を出し、柄杓を置き、居前を正します。
茶籠の紐を一つ解き、御所籠の扱いのように前で結び直し、
盆を持って斜め客付へ置きます。
茶籠を勝手付に置き、蓋を盆と茶籠の間に置きました。
あとは茶箱の花点前と同様で、帛紗を捌き、盆を清めます。
薄茶を茶碗に適量入れ、湯を汲み、茶筅を振りましたが、
小さな筒茶碗なので、なかなかいつものように点ちません。
「月に叢雲」のような風情(?)の薄茶をお出しすると、
「あらっ、表千家流ですね・・・美味しいです」とお客さまのフォーロー。
筒型の茶碗で一服ずつ飲んで頂いてから、茶碗と薄器を替え、
茶筅も普通サイズにして、裏千家流の泡立っている薄茶を差し上げました。
茶銘は「丹頂の昔」、一保堂詰、
干菓子は、「貴船菊」(田丸彌)、団扇(幸楽屋)などです。
今回は、京都へ連れてきたのに一度も使う機会のなかった茶籠を
どうしても使いたかったのです。
変則ですが、表千家流のお客さまに拝見しやすいよう、
撫子絵の盆に茶入、茶杓を清めて並べ、横に二つ折りの帛紗を敷き、
茶筅筒、茶巾筒、仕覆を並べ、拝見して頂きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/23/bab960cbffc1e799ef497d0ebda255ef.jpg)
(茶籠に裂を貼りました)
茶籠の茶道具は豊楽焼、
織部釉の陶器ですが、外側に漆が塗られ、菊絵が描かれています。
やっとお披露目が叶い、茶籠の道具たちもさぞや喜んでいることでしょう!
そんな話をしましたら、正客Aさまが
「私も以前、頂いたきり使っていなかった茶道具を総動員して
茶会をしたことがあります。
茶会の後、道具たちから「アリガトウ!」という声が聞こえたの・・・」
とても不思議だけれど、わかる気がして頷きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_5.gif)
こうして・・・愉しく心温まる時間が過ぎていきました。
次客のSさまを少しは元気づけられたかしら?
お茶をやっているからこそ、
素敵な茶友に出逢え、癒しや活力を与え、頂戴もする、
そんなお茶の力を大いに感じられた、秋待つ撫子の茶事でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fuku.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/pampas.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/pampas_mov.gif)
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追記
お正客Aさまから和歌が寄せられましたので、ご披露いたします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/mail.gif)
時々に、あのお茶事を思い出しては、未だに胸を熱くしております。
和歌、少し変更したものと、付け足しがございますので、お送りします。
笑ってやってくださいませ。
灼熱の都大路を茶席へといざなふごとく赤蜻蛉飛ぶ
辰年の客三名の席入を浄めくるるか竜の蹲
去りては来 来ては去りぬのそのままに闇夜を侵し暁の来る
一生のただ三年(みとせ)とて千年の 都に暮らす人羨みて