暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長屋門公園・ひな祭り茶会(Part1)を終えて

2011年02月28日 | 茶事
               

2月27日、三ツ境駅でAkatuki庵さんとHさんを乗せて長屋門公園へ向かいました。
9時の開門と同時に中へ入り、手分けして三人で準備を進めました。
茶会は、一. 火  二. 湯  三. 茶 の準備から始めます。
囲炉裏におき炭と乾燥した小枝が入れられ、長屋門スタッフが火を熾し始めました。
昨秋のこども茶会でご一緒したメンバーなので開始予定の10時に何とか間に合いました。
もう一人の助っ人Yさんが東京から駆けつけてくれました・・・ありがとう!

準備の途中で面会人(?)があり、お会いすると
「ブログを見て茶会へ来ました」
「まぁ! ありがとうございます。
 10時から始まりますので、是非お入りください」

ところがブログ違いで、メンバーのお一人、Akatuki庵さんのブログを読んで来られたのでした。
素敵な男性(Wさん)でしたので、私もですが、Akatuki庵さんも感激したのでは・・・と思います。

囲炉裏ばたが点前座なので台目薄茶点前をお願いしました。
みんなで点前の要点や位置の確認をして、いよいよ茶会が始まりました。
お点前のトップバッターはAkatuki庵さんです。
お近くにお住いのTさんも着物姿で参加してくださり、
囲炉裏ばたが急に華やかになりました。ありがとう!

お客様たちにお茶をお出しし、第一回のお点前が終わったところで
Wさんにお点前をお願いしました。
快く引き受けてくださり、嬉しいハプニングでした。
とてもきれいなお点前で一服点てて頂きました。
Akatuki庵さんに喫んで頂きたかったのですが、
他のお客様がぽつぽついらしたので遠慮されたようです。

                 

親子づれ、ドイツからのお客さんなど大寄せの茶会ではなく
お客様の顔がわかる、暁庵好みの茶会になりました。
子どもさんも真剣にお点前を拝見してらして感心しました。
子ども茶券を作ってよかった・・・。

ドイツから来たお客様の感想は
「とても美味しかったです。お菓子も」
付き添いの友人は
「家でも抹茶を点てているのですが、こんな美味しく点てられません。
 クリーミィーで、お菓子もかわいかったです。今日見に来てよかった!」

お菓子はお雛さまの練きり(写真)、お茶は吟風の白(伊藤園)です。
菓子に添えられている楊枝は、長屋門十職と秘かに名付けている
ボランティアさんが削ってくださったものです。

                 

                 

第二回はHさん、第三回はYさんがお点前したところで一段落したので、
スタッフが囲炉裏ばたに座って薄茶を点て合ってお開きにしました。

華やかなたくさんのお雛さまや吊るし雛に見守られ、
大好きな長屋門の囲炉裏ばたでお客様にお茶を差し上げられて好かったです。
そして、茶会を支えてくださった愉しいお仲間と長屋門のスタッフに感謝です。

                                   






雪の夕去りの茶事 (2)

2011年02月24日 | 茶事
懐石の途中で急に陽が陰り、灯り(電気)をつけました。
主菓子の「ねこやなぎ」(和作製)をお出しして、いよいよ中立です。
行燈の灯りだけにして中立して頂きました。

露地には露地行灯を八個並べ、足元を照らしました。
(六個は100円ショップのグッズを応用した手作りです)
蝋燭を使うので風があると危なく使えません。
幸い風もなく、夕去りならではの露地の風情を味わって頂けました。

迎えつけは、お正客さまと枝折戸のところで跪いて手燭交換をしました。
灯りの美しさやお客様方の気持が伝わってきて、感激しました。
鳴り物も好きですが、こうして直にお迎えするのも好いですね。

後座の床は、野沢蓼州(のざわりょうしゅう)の水墨画をかけました。
上州の山に浮かぶ月と雪に埋もれた寒村を描いています。
最晩年の作らしく、手の震えと闘いながら描いた雪が胸に迫ってきます。

                   

短罫、膳燭、手燭の灯り、釜から上がる蒸気、茶碗の湯気、お客様の視線、
全てが温かく感じられる中で、濃茶を練りました。
いつも緊張感があって、一番好きな瞬間でもあります。
萩焼の茶碗で、祥寿緞子の古帛紗をお出ししました。

「お服加減はいかがでしょうか?」
「大変おいしゅうございます」
ほっとして中仕舞をして客付へ向きました。
茶は伊藤園の万歴の昔です。

                   

お正客さまより「続いてお薄を・・・」と声がかかりました。
干菓子は侘び箪笥(金沢・諸江屋)と辻占(金沢・高砂屋)、
薄茶は「花の宴」(伊藤園)です。
ご夫婦が「男は度胸 女は愛嬌」という同じ辻占を引いて
一同大笑いしたり、仲の良さに納得したりでした。

続き薄茶では、雪にちなむ和歌、金子みすずの詩、禅語などを語らいながら
感服上手のお客様と和やかに一時を過ごしました。
あまりの楽しさにこのまま時が止まってほしい・・とさえ思いました。

寒い時期ならではの雪の夕去りの茶事。
時が移ろう中で雪と寒さを愛でて頂けたかしら?

後礼のお便りを嬉しくウルウルと拝読しながら、あの時の余韻に浸っています。

雪の夕去りの茶事(1)へ                 その日は  のち 

   写真は上から、「雪の日に」
             「水墨画  野沢蓼州」
             「短罫と点前座」


雪の夕去りの茶事 (1)  

2011年02月23日 | 茶事
2月19日に雪の夕去りの茶事をしました。

15日に降った大雪(関東地方では)がやっと融けたと思ったら
茶事前日は雨のち晴れのち突風と大荒れで、天気が心配でした。
その日は風もなく穏やかな天候で先ずはほっとしました。
茶友四名さまを我が家へお招きしました。

待合の床には、古今集より二条の后の和歌を掛けました。

   雪のうちに春はきにけり鶯の
        凍れるなみだ 今やとくらむ

甘酒で身体を温めてもらい、腰掛待合へご案内しました。
腰掛待合は外なのでとても寒いのです。
藁灰が入った大火鉢を置き、真っ赤な炭をたくさん入れて暖をとって頂きました。
四時の席入です。
床には、白椿と木五倍子(きぶし)を揖保川焼の花入にいれました。

初炭のあと、懐石まで時間にゆとりがありましたので、
お香を楽しんで頂きました。
半東がおりませんで、香の用意に少し時間を頂戴しましたが
席中ではいろいろお話が弾んで かえって良かったようです。
香はアブダビから到来のNo.1(伽羅)で、香銘は待合の和歌より「春の雪」です。

                 
                 
                
懐石をお出ししました。
前回、鶯の茶事でお手伝いいただいたIさんと準備しました。
Iさんは茶事はもちろん茶道も習っていないのですが、
次々とアイディアが飛び出す、頼もしくステキな助っ人です。

「熱いものを熱いうちに美味しく召し上がって頂きたい」
のスローガン(?)を伝えると、Iさんがいろいろ工夫してくれました。
その一つを披露すると、
「ギャ-ッ! 何しているの?」
「器(四つ椀)を温めているの」

バスタオルをファンヒーターの吹き出し前の床に敷いて
その上に椀が並べられていました。
暖かい空気で椀がほどよく温められています
私の指示はお湯で温めて・・・でしたが
「それではすぐに冷めてしまってダメなので・・・」
「なるほど!」
すぐに納得し、アツアツの一文字と汁をお出しすることができました。

向付が蒸し物でしたので、一献のあとにアツアツをお出ししました。
二人で奮闘した懐石の献立を紹介します。

   向付     大根蒸し (鯛 やまぶしだけ ユリ根 山葵)  柿なます  
   汁      合せ味噌  蓬麩 黒豆 辛子
   煮物椀    ホタテと銀杏の真蒸 菜の花 人参 てまり麩 柚子
   焼物     銀ムツ西京みそ漬
   炊き合わせ  海老芋  蛸  針生姜
   箸洗い    のし梅    
   八寸     合鴨のスモーク  タラの芽の天麩羅
   香の物    千枚漬  赤カブ  たくわん
   酒      越の寒梅 (前田酒店にて購入)  
   ワイン    スパークリングロゼ


        雪の夕去りの茶事(2)へつづく                               

行之行・台子点前の稽古

2011年02月21日 | 稽古忘備録
毎月1回、相伝の稽古があります。
12月に続き、行之行・台子点前をご指導頂きました。
Kさんが2月24日から行われる冬期講習会へ参加するので
出発前の最終稽古にもう一度と、お願いしたのでした。

昨年の夏期講習会は4日間で四ヶ伝まででしたが、
今回の冬期講習会は5日間で行之行・台子点前までだそうです。
私は相伝がなかったので楽でしたが、折角の機会でしたので
今一つ物足りない気がしたのも事実です。
ですから、5日間で行之行台子までというのは大いに納得です。

床のお軸は、前大徳 悦道師の筆で
「梅花和雪香」(ばいか ゆきにわして かんばし)
雪柳と雪起こしが薩摩焼の詫びた花入にいけられていました。
雪起こしは、別名クリスマスローズ、寒芍薬ともいい、今は雪起こしがぴったり。
寒さに強く、冬枯れの大地で雪を持ち上げて花を咲かせる、
けなげな力持ちです ・・・まるでKさんみたい。

                

最初の台子の初炭手前はKさんです。
台子の上、中央に唐物茶入が乗った八卦盆を荘り、
左上前側に香合と羽箒を荘ります。
初釜の茶事でさせて頂いたばかりですので、その時のことを
思い出しながら拝見しました。
飾り火箸はオシドリの頭です。
台子左横へ置くときの向きが気になりました。

香合は、白磁の雪輪で、真ん中に渦が書かれています。
気高さとともに雪のエネルギーを感じて、雪が降りそうな予感です。
・・・案の定、その日は夜半から雪になりました。

四畳半なので座掃きがありました。
座掃きの後、襖を閉め、再び開けて、炉正面へ座り、
帛紗を捌いて真塗炉縁を浄め、
帛紗を捌き直して、釜の蓋を浄めてから切ります。

               

初炭に続いてKさんに本番(?)と思って行之行を先にして頂きました。
私は安心して、いつものようにうっとりとKさんの点前を拝見していました。
でも先生は違います。
何一つ見落としがないように真剣勝負の態でした。

相伝ですのであれこれ細かく書けないのが、残念です。
Kさんも私もいろいろ悩みながら自分なりの研鑽を重ねて講習会へ臨むのですが、
先生の熱意や真剣さが力強く、あたたかく後押しをしてくれました。
その姿勢にいつも頭が下がる思いでいます。
充実した稽古ができることに二人とも深く感謝しています。

Kさん、冬期講習会、陰ながら応援しています!
精一杯、学び、素晴らしい体験をしてきてください。

        

   写真は上から、「夏期講習会で頂いた扇子」
             「雪起こし」(別名:クリスマスローズ、寒芍薬) (季節の花300提供)
             「雪起こし」(季節の花300提供)


長屋門公園・ひな祭り茶会(Part1)のお知らせ

2011年02月18日 | 茶事
2月27日(日)に横浜市長屋門公園(横浜市瀬谷区阿久和東)にて
ひな祭り茶会と人形劇があります。
茶会は囲炉裏ばたで、有志によるお点前をいたします。
是非お出ましくださいませ。

   ひな祭り茶会   10時~13時  茶券 500円(薄茶、菓子)  (子ども茶券 300円もあります)
     囲炉裏ばたのお点前は 第1回 10時~  
                     第2回 10時45分~
                     第3回 11時30分~  
                      お早目にいらしてくださいね。 
  
   人形劇      14時~15時     無料

   申し込み:当日長屋門へ直接お越しください。お雛あられを配ります(100人分)。

   長屋門公園へのアクセス:相鉄線「三ツ境」駅下車 徒歩18分です。バスもあります。
                    詳しくは長屋門公園のHPをご覧ください。


                        
         
雛人形の展示期間は2月5日~3月16日で、
雛人形500体とつるし雛を楽しんでいただけます。

母屋の奥座敷には明治から大正時代の古風な顔だちのお雛様が、
蔵ギャラリーには比較的新しい豪華なお雛様が、おすましして並んでいます。
これらのお雛様は、多くの方から寄贈いただいたものだそうです。


                                  
   写真は上から、「長屋門公園の母屋」
             「長屋門公園の吊るし雛」
             「蔵ギャラリーのお雛さま」