暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

秋待つ撫子の茶事-1

2014年08月25日 | 茶事  京都編
                 「野辺に咲く撫子」  (季節の花300)

野辺見れば 撫子の花 咲きにけり
    わが待つ秋は 近づくらしも     (万葉集)



8月20日、茶友3名さまを「秋待つ撫子の茶事」へお招きしました。

ひたすら夏の暑さに耐えて、秋の涼風を待っていた撫子たち、
茶事の間だけでも浮世の諸々を離れ、主客の心が通い合うよう務めたい・・・
とお待ちしました。

正客Aさま、京都へ越して初めて参加した茶会の席主さんで、
心意気ある茶会が忘れられず、その時以来あこがれていた方です。
遠方のため前泊して涼やかな着物でお出ましくださり、感激しました。

次客のSさま、京都へ来てすぐに自宅へお招きくださり、
思い出すと胸キュンとなる、素晴らしい茶会をしてくださった方です。
身内に思いがけない不幸があり、何とか茶事で皆と元気づけたい!
とお招きしました。

詰はKさま、Kさまの茶会が大好きで何度も押しかけていますが
「もう一度、灑雪庵の茶事へ・・」とリクエストがあり、2年ぶりの再来です。
Kさまの打つ板木の音で、「秋待つ撫子の茶事」がスタートです。

              

「去々来々来々去々」
のお軸を床に掛けました。足立泰道老師の御筆です。

「去れば来る 来れば去る」
万物に通ずる含蓄ある言葉ですが、
「去っていった」としても「来てくれた」喜びがあり、
「来た」と喜んでも、いつか「去っていく」
・・・それを心静かに受け入れる境地とでもいうのでしょうか。

              
                    「静中成友  塵裏倫閑」
先ずは香盆を用意しました。
一休宗純作と伝える、香の十徳より
 感格鬼神  清浄身心 (霊魂や神と感応をし、心や身体を清める)
 静中成友  塵裏倫閑 (静中に真の友を得、世俗の繁忙の中に憩いが見つかる)
 ・・・を願って香を焚き、聞いていただきました。

香炉の灰は菱灰、同門社中のWさまから頂戴した手づくりの菱灰です。
火持ちが良いとのことで、火加減が難しい香炉灰に使ってみました。
赤味のある菱灰が香炉釉に映えて、うっとり・・・。
香は伽羅、香銘は冒頭の和歌より「秋待つ撫子」、
心を満たすように漂う、優しい香りを深々と味わいました。

              
                   赤味が美しい菱灰 by Wさん

次は懐石ですが、夏の献立で前回とほぼ同じです

初炭となり、松山籠の炭斗、次いで灰器を運び出しました。
下火を直すと、輪胴をいれなかったせいか、もうギリギリでした(ふぅ~!)。
後座では濃茶に続いて茶籠で薄茶を差し上げる予定なので
変則ですが、釜を引いてカンを置き、風炉中拝見をして頂きました。

灰器は琉球焼、灰匙はステンレスの打ち出し・・・こちらも所望があり、
引かずに風炉中と一緒に拝見して頂きました。
香合は檜扇貝、中村湖彩作、
京都で一度も使っていなかったので、これに決めました。
香は白檀(松栄堂製)です。

縁高を運び出し、中立をお願いしました。
主菓子は「西湖(せいこ)」和久傳製、しっかり冷やしてお出ししました。

                                    その日は 
 
            秋待つ撫子の茶事-2へつづく


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