暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

雨の隣花苑と三溪園へ・・・(1)

2018年09月30日 | 暮らし

  玄関の大壺に生けられた柿の木


  隣家苑の庭・・・こぼれ萩が雨に濡れて

9月に入り、雨ばかり続いています。
9月21日(金)も朝から雨でした。
むらさき茶会以来3年ぶりに五葉会のお仲間6人で隣花苑へ繰り出しました。
9月に限って出される名物の蓮華飯がお目当てで、皆、7月から楽しみにしていました。

雨の日にふさわしく、古民家の玄関には蓑と傘が掛けられ、大壺に生けられた柿の木が目を惹きました。
あちこちに客迎えの花が、大壺に枝もたわわにダイナミックだったり、背負い籠に繊細な秋の花いっぱいだったり、野の花が楚々と入っていたり、いずれも拝見するのが楽しみでした。


 広い土間にダイナミックに生けられた栗の木


 虎杖 (いたどり)のなんと魅力的なこと!

どんな方が生けていらっしゃるのかしら?と思っていたら、ちょうどその方がいらしてて、傍で見させて頂きました。


 時代のある背負い籠に秋の花がいっぱい

雨のせいか席は空いていて、大好きな旧燈明寺三重塔が見える部屋に6人がゆったりくつろぎながら昼食を頂きました。


  三溪園の旧燈明寺三重塔が見える部屋


  尊敬する原三溪翁筆の「守拙」の御軸(隣の部屋に掛けられていました)

給仕の仲居さんがむらさき茶会でお世話になった方で、あちらも覚えていてくださって茶会のあれこれを懐かしくお話ししました。
あとでオーナーの西郷槇子さんも挨拶にいらしてくださって、お互い元気に再会できたことを喜び合いました。


 3年ぶりの蓮華飯・・・さくさくした歯触りも個性的な味も好し!

隣花苑の料理は、ヘルシーで素朴な野菜料理が多く、蓮華飯とともに気に入っています。
家庭料理風なので必ず何かヒントと刺激を頂いて帰ります。





中でもお気に入りは、白和えのようなクリーミィなソースが添っているサラダ(?)です。
茄子、オクラ、ベビーコーンなどの野菜をソースを絡めて食べるのですが、そのソースがもう絶品でした。
・・・どうやら隣花苑ご自慢の名物料理みたいです。
「ウチでも挑戦してみよう・・・」と早速作ってみると、その絶妙な味とクリームみたいな形状が再現できずに苦戦しています。

美味しい昼食と七事式のお仲間との愉しいおしゃべり・・・お腹も心も満ち足りて、雨の三溪園へ向かいました。(つづく)


      雨の隣花苑と三溪園へ・・・(2)へつづく


充電中です・・・篠田桃紅さんの本

2018年09月27日 | 暮らし



秋雨前線が停滞し、関東では天候不順のこの頃です。
ブログ「暁庵の茶事クロスロード」の読者の皆さま、お変わりありませんか?

9月に入り、台風21号さらに北海道地震と天地を揺るがす出来事が続き、被災された方は如何ばかりにお過ごでしょうか。
心配するだけで何もできない自分がもどかしい思いですが、心からお見舞い申し上げます。

9月9日のKさんの「重九(ちょうく)の茶事」が無事に終わり、その様子も書き留めておきたいと思いながら、あわただしく過ごしております。
「初めての亭主のお茶事、どうなったのかしら?」と心配してくださっている方もいらっしゃると思いますが、もうしばらくお待ちください。
(やっとブログにアップしましたので宜しかったらご覧ください)

「重九の茶事」のあと、いろいろ続き、猛暑の疲れが出て来たようで、体力・気力ともにだいぶ低下しておりました。
そんなときは、何もしないことが一番なのですが・・・。

15日(日)と16日(月)と連休でしたので、お茶から離れて何もしないことを心がけました。
一日はグダグダごろごろと寝ながらテレビで過ごしました。
その合間に手にとったのが、積んでおいたままになっていた書籍です。

気の向くままに並べると
○ 今一番のお気に入りの本かもしれません。
103歳の篠田桃紅さんのスカッと吹っ切れたような人生観や死生観に惹きつけられ、次々と関連の書を購入しました。
お勧めはこちら「103歳になってわかったこと-人生は一人でも面白い」です。

  

  


○ 散歩の途中で野の花や野草をたくさん摘んで、ワイルドに生けるのが好きです。
 野の花は名前がわからないものが多いので、時々本を開いて名前を調べたり、野の花や茶花を素敵に生けている写真やグラビアを見て刺激をもらっています。

  


    久しぶりに割れ壷に野の花を入れてみました

○ 珍しく積読だったお茶関連の本を読みだしたら、けっこう面白かったのがこちら「女性と茶の湯のものがたり」。
茶の湯を愛した女性たちの知られざる「ものがたり」のいくつかにぐいっと心を掴まれました。
詳しくご紹介したいところですが、大昔、夏休みの宿題で読書感想文を無理やり書かせられたせいで、本の感想を書くのが苦手です。
・・・でも、触発されて読んでくださると嬉しいかな?

  


○ 今日(27日)、本を整理して半分くらいは捨てよう!と、勇んで書斎へ入りました。
書斎とは名ばかりで茶道具置き場と化しています。
捨てる本を物色していたら、読みたくなった本ばかり目に留まり、数冊を手にしてすごすご引き上げました。
・・・それで今、乙女の昔に戻って・・・捨てずに本棚の片隅にあったエミリ・ブロンテ著「嵐が丘」を読み直しています。
                     


展覧会「北欧デザイナー20人による茶道具『SKAL―うつわで乾杯』」へのご案内

2018年09月19日 | 暮らし


「SKAL(スコール)―うつわで乾杯」展覧会のポスター

FIKAを楽しむ北欧デザイナー20人による茶道具 「SKAL(スコール)―うつわで乾杯」展覧会 
10月3日(水)~6日(土)スウェーデン大使館(東京都港区六本木)にて開催、
10月11日(木)~17日(水)京町家「正庵」にて開催


表題のSKAL(スコール)はスウェーデン語で(1)器 (2)乾杯!という2つの意味を持つそうで、
スウェーデンと日本の外交関係樹立150周年の祝杯にぴったりの言葉ですね。

日本の茶の湯の精神に「おもてなし」があるように、スウェーデンでは、友人、家族、職場の中で「FIKA」というお茶の時間が重んじられています。
「FIKA」は他人を思いやり、心を通わせるコミュニケーションの場としてとても大切な時間だそうです。



2017年6月のスウェーデンお茶の旅でお世話になった山本由香さんから次のようなメールが届きました。
関連ブログ① スウェーデンお茶の旅・・・瑞暉亭の茶会 
     ② スウェーデンお茶の旅・・・藤井エミさんとミートボール食事会

暁庵さま
たいへんご無沙汰しておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
1年ほど前になりますが、お茶事に伺わせていただいたスウェーデンの山本由香です。
お茶事ではとても貴重な体験をさせていただき感謝しております。
その後いかがお過ごしでしょうか。
日本はさまざまな災害に見舞われておりますが、ご被害のないことを願っております。

さて、私どもの東京での展示会の案内をさせていただきたく、メールをさせていただいております。

2018年は、スウェーデンと日本の外交関係樹立150周年という記念すべき年です。
150周年公認イベントとして「SKAL(スコール)―うつわで乾杯」展覧会
東京のスウェーデン大使館にて開催します。
北欧デザイナーがデザインし、京都と波佐見で製作したお茶碗と、美濃和紙の懐紙を展示いたします。
日程は短いのですが、10月3日(水)~10月6日(土)となります。
詳しくは下記のリンクをご覧下さい。
https://www.atpress.ne.jp/news/166137






このイベントではお茶碗、懐紙、扇子というお茶道具の作品作りにこだわり
北欧デザインと日本の産地とのコラボレーションを実現しました。
モダンなお茶道具としてご理解いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。      山本由香より



コラボの茶道具を使い、本展示会に先立ち、9月2日(日)にスウェーデン国立民族博物館(THE MUSEUM OF ETHNOGRAPHY)内にある茶室「瑞輝亭」にて、セミナーと茶会が開かれました
(中央の和服姿のステキな女性が山本由香さん(Swedenstyle(スウェーデンスタイル)の代表))




山本由香さま
メールを大変興味深く、スウェーデンお茶の旅あこがれの茶室・瑞暉亭を懐かしく思い出しながら拝読しました。
北欧デザイナーさんがデザインし、日本の京都や波佐見で作られた茶碗に興味をそそられました。
なるべく3日か4日に伺いたいと思っていますが、ブログで読者の皆さまにもお知らせしたいと思います。
いろいろ御苦労があると思いますが、身体に気を付けて頑張ってください。
心から応援しています。     暁庵より


初めて・・・その2「茶事の亭主デビュー」

2018年09月08日 | 暮らし




初めて・・・

なんて素敵で、胸がキュンとする響きなんでしょう・・・。

9月9日に暁庵社中のKさんが初めて茶事の亭主デビューをします。
半東も水屋もお客さまも社中の方、その上、暁庵が正客では稽古茶事になってしまいそうです。
せっかくの亭主デビューの茶事なので良い意味での緊張感を持って頑張ってほしい・・・と思いました。
それで、お正客をS先生の東京教室の先輩Oさまにお願いしました。
すると、
「私でお役に立つなら喜んでお引き受けいたします。
 私も 初心に戻り初心者の正客で お勉強させて頂きたいと思っています」
・・・快諾してくださり、もう感激でした! 
Kさんは暁庵が正客と思っていたのでびっくりしたようですが、潔く覚悟をきめてくださいました。


 京都・法輪寺のかわいらしい茱萸(しゅゆ・ぐみ)袋
(重陽の節句の日に購入できる延命息災・不老長寿のお守り)

8月半ば、Kさんから巻紙の素敵なご案内が届きました。


  秋風葉正飛
  江上逢重九
  人世幾登高
  寂寞黄花酒


 この度 葉を落とす秋風が待ち遠しい
 九月九日に重九の茶事を催します
 日頃お世話になりご交誼頂いている皆さまのご健康とご長寿を願いながら
 御茶一服差し上げたく 謹んでご案内申し上げます
 お忙しいとは存じますが ご来駕のほど心よりお待ち申しております
 初めての亭主で行き届かないことも多々あると思いますが
 どうぞ皆様のお力をお借りしたく 何卒宜しくお願い申し上げます

 平成三十年葉月吉日      Kより

  
きっと今頃は胸をドキドキさせながら明日の茶事の準備に励んでいることでしょう。
その努力する姿を見ていると、初めて・・・のピカピカが素晴らしく、羨ましくさえ思えます。
Kさんの茶事の様子はあとでゆっくり書きたいと思いますが、
某茶事の会で暁庵が初めて亭主をさせて頂いた時のことを思い出しました。


十数年前の10月、名残りの茶事でした。
初めての亭主をバックアップするべく、半東も水屋2名も全てベテランさんを配してくださいました。
そして水屋担当の先輩から
「私たちが水屋のことはバックアップしますから、安心してご亭主は茶席の中とお客さまに專念してくださいね」
・・・そのお言葉がもう涙が出るほど嬉しくって、他のことは朧でも鮮明に覚えています。
そして、本当に何から何まで気持ち良く茶事を進めることができました。
「いつか私も、このように半東や水屋を務められるように茶事に励もう!」と感謝感激しながら秘かに思ったことでした。
某茶事の会での経験がその後の茶事の基本になり、良き師や先輩方とのお出会いが力になりました。




さて、Kさんの茶事では、お正客Oさまを始め、次客Kさん、四客Tさん、詰のN氏がそれぞれの立場でKさんを応援しています。
半東はUさん、水屋はFさんです。
お二人とも一生懸命Kさんをサポートしてくださると思いますし、
多少ハプニングがあっても亭主、半東、水屋の三人で力を合わせて、茶事を遂行してくださることでしょう。
一人ではできないことも力を合わせると、より大きなものが得られると信じていますので・・・。

さて暁庵は三客で左団扇(?)ですが、我が家でしますので懐石料理をお手伝いさせて頂きます。


     初めて・・・その1「白雲抱幽石」へ
     


初めて・・・その1「白雲抱幽石」

2018年09月07日 | 暮らし



初めて・・・

なんて素敵で、胸がキュンとする響きなんでしょう・・・。

夏休みの後、8月25日から稽古を再開しました。
その時に床に掛けたのが
 「白雲抱幽石」 
読み下しは、「はくうん ゆうせきをいだく」
玉瀧寺・明道和尚の御筆です。



「寒山詩」の冒頭にあるそうですが、謝霊運(しゃれいうん)の詩「始寧(しねい)の墅(しょ)を過(よぎ)る」が初出です。

○ 謝霊運(しゃれいうん)の詩「始寧の墅を過る」

  白雲抱幽石   白雲幽石を抱き
  緑篠媚清漣   緑篠(りょくじょう)は清漣(せいれん)に媚(こ)ぶ

○ 寒山詩 一

  庭際何所有   庭際(ていさい)に何の有る所ぞ
  白雲抱幽石   白雲幽石を抱く

この禅語に初めて出合ったのは半世紀も前のこと。
大学に入った年の夏、初めての京都へのひとり旅、
大汗をかきながら山を越えて辿り着いた圓通寺の本堂に掛けられていました。
圓通寺(京都市左京区岩倉幡枝町389)は比叡山を借景とする庭で有名です。
縁に一人坐すと、悠然と夏雲が空にあり、枯れ山水の庭と緑の生け垣と青峰比叡山が雄大かつ閑かに心に迫ってきました。
・・・静かな時を過ごします・・・



身体の汗だけでなく、心の塵芥もいつの間にか洗い流されていったそのあとに、目にしたのが「白雲抱幽石」でした。
その時の情景と共に忘れられない禅語となりました。
ずっ~と後に、お茶を習い出して初めて購入したお軸が「白雲抱幽石」でした。
お気に入りで、よく掛けていたのでだいぶ日焼けしています。
夏が近づくと、いつこの御軸を掛けようかしら・・・と毎年楽しみにしています。



 雨のベランダ・・・6月3日の「はつ夏のベランダ茶会」のあと

もう一つ、なんといっても茶事や茶会で初めてのお客さまに出会う、胸キュンの楽しみでしょうか。

10月8日に第6回お茶サロン「秋いっぱいのベランダ茶会」を開催します。
なんと4名のお客さまが初めてのお申込みでした。 ありがとうございます!
茶歴や流派もいろいろですが、皆さま、本当に勇気を出して一歩を踏み出してくださったことでしょう。
茶事ではなく、気軽なベランダ茶会というのも好かったのかもしれません・・・。
暁庵もこのお出会いを胸をドキドキさせながら、待ち遠しく思っているところです。 


       初めて・・・その2「茶事の亭主デビュー」へ