暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

三友之式・・・2021年文月

2021年09月20日 | 稽古備忘録・・・東京教室の稽古

     (葛の花が咲き乱れて・・・散歩道にて)

 

文月14日はS先生の東京教室のお稽古でした。

門を入ると、どこもきれいに掃き清められ、風が金木犀の香りを運んできました。

文月の稽古科目は、大圓真、長板総荘・初炭、長板総荘・濃茶(欠席)、長板総荘・薄茶、(昼休憩)、台天目、台子・三友之式、台子・貴人清次花月です。

 

 

暁庵が所属する2班は台子・三友之式(花寄せ、香、薄茶)なので、2日前に散歩がてら花を探しに出かけました。

歩いていると、葛の花の甘い薫りがしてきました。生い茂る葛の葉を分け入ると丁度好さそうな花が咲いていました。葛の花は秋の七草の一つですし、文月の三友之式にぴったりです。

    山上臣憶良 秋の野の花を読める歌二首 (万葉集)

     秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花

     萩の花尾花葛花なでしこの花をみなえし藤袴朝顔の花  

他にも八重の黄色の山吹、洋種ヤマゴボウ、角虎の尾、野紺菊を採取し、我が家の秋海棠と撫子を加えて持参しました。

コロナウイルス禍のため、研究会や他のお稽古が中止になっているそうですが、そのせいもあり(?)いつもより細かく丁寧に基本からご指導いただき、一同感謝感激でした。

 

   (大圓真のお稽古の前にパチリ・・・I氏の灰形がいつも見事です)

   (三友之式では天板中央に棗(薄器)、建水を外し蓋置を建水の位置に置いておきます)

 

「「台子で花月(七事式も)はやらないように・・・」と指導していますが、今回は三友之式も貴人清次花月も台子ですね。やらない・・・と決めつけるのではなく、先ずやってみて、ここが合わないとか、ここをどうするか・・・など実際に考えることも必要です」

台子で花月はやらない方がよい・・・と決めつけていたかもです。大いに反省し、実際にやってみると・・・以下に続く。

先ず、台子に建水を飾らず、蓋置だけ建水の位置に置いておきます。棗は天板に飾ります。

亭主(Iさん)が花台で迎え付け、皆で持ち寄った秋の花であふれる花台を床の前に置きました。正客から順次花を生けていきます。花寄せが終わり、亭主が花台を持って立つと同時に、連客は袱紗を腰に付けます。

 

    (三友之式・花寄せで生けられた秋野の花たち)

 

亭主は折据が載せられ香盆を正客(Oさん)の前に運び出し、「折据をお回し」で折据を回します。亭主が札を取り握り込んで折据を膝前に置くと、一同は揃って札を見て、「月(正客:Oさん)」「花(三客:暁庵)」と名乗りました。月は香を焚き、花は薄茶(花月で四服)の初花です。

香が炊かれ、皆で香を聞き、亭主は香盆を床の上座へ置き、立ち上がると亭主は水屋へ、一同は四畳半へ入ります。

菓子が運ばれ、茶椀が点前座に運ばれ、棗と茶碗が水指前に置き合わせ、水屋から建水を運び出し、踏み込み畳敷合わせに置き、亭主は仮座へ入ります。

初花(暁庵)が建水を持って点前座に座り、先ず火箸を取り(ワンケンバシのワンケンは既に終わっているので)、扱って台子左横へ置きます。

蓋置を取り扱って置き直し、総礼。あとはほぼいつもの通りですが、茶巾で札が回り、折据が留め置かれると「月、花」が名乗り、月へ菓子が回され、月が茶を頂きます。

茶を点て茶碗を出すとすぐに初花は「松」と言って帛紗を腰につけ、仮座へ戻ります。

順番に菓子付きで4服薄茶を点てます(各服点です)。

4服点てて茶碗が戻り、総礼、座替わりです。客座の4人の座替わりの足の運びで詳しいご指導があり、盛り上がりました。

こうしてS先生と秋野の花に見守られながら、無事に三友之式が終わりました。

葉月(8月)は眩暈のためお休みしたので、2ヶ月ぶりにS先生からいろいろなことをお習いして、とても充実した一日となりました。

 


スウエーデンの茶友から・・・その2

2021年09月13日 | スウエーデンの茶友から

 (ミッド・サマー・・・オーネル家のサマーハウスだと思う)

(つづき) 

スウエーデン在住のオーネル敏子さんから返信のメールと写真が届きました。

 

 暁庵先生へ 

お返事ありがとうございます。お元気そうで何よりです。 

2回目のワクチンを受けたら、先生がお考えの様に、自らの責任で行動をとるのがこちらの考え方です。

コロナになってから1年半ぶりのストックホルムへ今週も行ってきました。マスクをしている人がほとんどいませんが私はバスや電車ではマスクしています。

2021年7月15日から電車は何も制限ありません。それまではキャパシテ-の50%しか切符を売ってない状態でした。

海外へも自分の判断に任せると。でも受け入れる国ではワクチンの証明が必要です。それでも人と会った時はハグや握手は、今はまだ気を付けている人が多いです。  

今は感染者の報告もニュ-スで取り上げられません。学校が始まったのでこれから悪くならなければ・・・とは言われています。

9月末からすべての制限は解除されるとの事です。本当にそれでいいのかなとは思いますが・・・。

 

   (お孫さんたちとお菓子作り)

   (お孫さんたちと ”お家ごはん”・・・日本食みたいですね・・)

 

近くに住む孫達がきて一緒にお菓子を作ったり、お茶を飲んだりと楽しんでいます。

お茶はやはり気を付けて各服です。

ミッドサマ-、高校卒業のお祝いのパーティ、収穫の秋などの写真を送ります。

 

(お孫さんの高校卒業のお祝いのパーティ・・・敏子さん手作りのご馳走が凄い!

 

コロナ状況が大変な時、一人住まいのお年寄りはどうして過ごしてるのだろうと、私の事が新聞に取り上げられました。 

娘が書いたFBを見てジャ-ナリストがインタビュ-に来ました。

お茶のおかげで、お茶に関するネットでの勉強やzoomでのお稽古などが載っています。年をとってもこんなことが出来ますし、楽しんでいますよと。

 

(知り合いの息子さんのお点前・・・お茶が大好きだそうです)

 

こちらはもうすっかり実りの秋です。

再来週は私の所へ4人ほどお茶に興味ある人たちが来ます。着物を着て、お茶のおもてなしをしようと思っています。

                  オ-ネル敏子より

 暁庵より

送られた写真から敏子さんの暮らしぶりがあれこれ想像でき、また元気をもらいました。

スウエーデンへ行けたら・・・、敏子さんのスウエーデン料理が食べたい・・・と食いしん坊の暁庵です。

スウエーデンでお茶を愛する方たちと一緒に楽しい茶会が出来たら最高でしょうね!     

 

          スウエーデンの茶友から・・・その1へ戻る

 

 


スウエーデンの茶友から・・・その1

2021年09月11日 | スウエーデンの茶友から

ストックホルムにある民族博物館内の茶室・瑞暉亭(ずいきてい)

 

スウエーデン在住の茶友・オーネル敏子さんから久しぶりにメールが届きました。

メールを読むと、コロナウイルス禍であってもいろいろ工夫しながらお茶を学び、楽しんでいるオーネル敏子さんの姿が浮かんできました。敏子さんのメールに感動し、たくさんの良い刺激と元気を頂いています。

 

 

 暁庵先生へ

ご無沙汰しています。お元気でお過ごしでしょうか? 

無事オリンピックを終えたのが不思議な気がします。

こちらはコロナウイルスによる規制が緩和され楽になりました。でも民族博物館・瑞暉亭(ずいきてい)のお茶のイベントは去年と今年と何もありません。

先日Uさんのメールで夏休みが終わり、9月から教室のお稽古を始められたことを知りました。

私は先生無しの環境で、前にも書いたと思いますが、去年からベルギーの先生のzoomのお稽古に参加しています。

お道具や、それを受けている生徒の許状のレベル等もあり制限がありますが、ベルギー、ルーマニア、ドイツ、フィンランドの人たちとzoomでお稽古をしています。夏休暇が終るともっと人が増えます。

 

   (お孫さんかしら? 浴衣姿がステキです)

もう一つ、大前宗貴先生のzoomでの講座を去年10月から2年の予定で取っています。流派に関係なく、茶の歴史、本質と基本、陶磁器、道具、茶杓作り、山上宗二記を読む・・・この六項目です。茶杓を3個作りましたよ。課題も出るので月に六項目はかなりきついです。

年齢もあり覚えられなくて大変ですが、以前、暁庵先生に今出来る環境でお茶をやって楽しんで・・・と教わった事を思い出しながらなんとかやっています。

コロナになってからは色々な教室がオープンされ、去年は大前先生の講座ではありませんが、仏教について、陶磁器、お菓子作りのzoomに参加しました。時間差を調整しながら何とか頑張っています。

こちらはすっかり秋になりました。日本は残暑厳しきおり、お身体に気を付けてお過ごし下さい。

                          オーネル敏子より 

 

   (収穫の秋・・・林檎がたわわに実って美味しそう!)

   (「どうぞお持ちください」と、散歩道に林檎が置いてあるそうです)

 

 オーネル敏子さまへ

メールを頂き、ありがとうございます。嬉しく拝読し、お元気そうなご様子で安心しました。

いろいろなzoomの講座で精力的にお茶の勉強をしている様子に感心しています。どうぞ頑張って続けてください。心から応援しています。

こちらは新規感染者がデルタ株の影響でワクチン未接種の若年層を中心に蔓延中ですが、ここ数日で頭打ちの感があります。

65歳以上のワクチン2回接種は90%近く終わっていますので、感染者も重症者も少ないようです。やっとワクチン接種率(一般)が50%に上がってきたことに喜んでいます。

私は7月5日に2回目の接種を終えていて、だいぶ抑圧状態から心理的には解放されつつありますが、社会的にはまだまだですね。

そんな中で強い意志とたくさんの方々の協力の元、コロナ禍の日本でオリンピックとパラリンピックが無観客で行われました。テレビ観戦でしたが、十分に各種競技を堪能し、たくさんの元気や勇気をもらい、やっと終了して安堵しているところです。

 

>こちらは規制が緩和され楽になりました。でも民族博物館・瑞暉亭のお茶イベントは去年と今年と何もありません。

そちらではどのように規制が緩和されて楽になったのか、もっと具体的に知りたいです。

・・・というのも、私の教室の人はほぼ全員がワクチン接種(2回)を終えているので、緊急事態宣言中ですが、9月からお稽古を再開しています。

私の考えでは、ワクチンが済んでいるならば自らの責任でもっと自由に行動してもよいのでは・・・と考えています。日本でも段階的に制限が緩和されていくと思うのですが、スウエーデンの方が一歩先へ行っているようですね。

もう秋になり、冬将軍が近づいていると思いますが、オーネルさんもお茶の会(お稽古やミニ茶会や茶事など)を開催して、対面でどんどんお茶ライフを楽しんで欲しいと思います。そして、できたらお茶を教えてくださると嬉しいです。

そして、あの素晴らしい民族博物館・瑞暉亭(ずいきてい)の活動(お茶の体験学習や茶会)も是非皆さんで博物館に働きかけて来春から再開して欲しいと願っています。出来ることなら私も応援に行きたい!です・・・

 

敏子さんとマリアさん・・・2017年6月27日瑞暉亭茶室にて

 

できたら近況をもっと詳しく教えてください。スウエーデンや海外のコロナ禍でのお茶の様子や暮らしぶりを知りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。    暁庵より 

 

           スウエーデンの茶友より・・・・その2へつづく

 

 


めまい外来

2021年09月10日 | 暮らし

 

7月26日から暁庵の茶道教室は8月末まで夏休みに入りました。

夏休み中に2度も猛烈な眩暈に襲われました。

1度目は7月25日、2度目は8月16日、いずれも就寝時でした。

1度目は今考えると2度目よりずっーと軽かったものの、

「とにかく安静にしなくっちゃ・・・」と様子を見ていて、一日経っても眩暈が治まらず、2日目になってやっとかかりつけ医のA先生に診てもらいました。

「眩暈の専門は耳鼻咽喉科です。とりあえず吐き気止めと内耳の血行をよくするお薬を飲んで、様子を見てください。冷房は25℃以下にして、水分補給をしっかりしてください」

なるべく安静にして過ごしましたが、1週間以上軽いふらつきが残りました。

 

 

暑い日が続き、オリンピックが8月8日に終わり、その後1週間長雨が続きました。さすがに雨の中を郵便局へ出かけたり、散歩したり身体を少し動かしたくなりました。

その夜(16日)の就寝時、ベッドに横になっていると急に猛烈な眩暈に襲われました。

前回よりもひどく、すぐにツレを起し、白湯を持って来てもらいました。

すこしだけ飲むと、今度は吐き気が襲ってきて、宇宙遊泳のような足取りでトイレへ駆け込みました。

嘔吐が続き、治まらないのでトイレの前に毛布を敷いて横になっていました。A先生から処方してもらった吐き気止めの薬を何度も吐きながらも飲み込んで、やっとおさまったのは3時過ぎだったでしょうか。

翌日、A医院へ行き、症状をお話しし、

「先生、2度も続いたのできちんと検査して原因を突き止めたいのですが・・・」

「この近くですと、聖マリアンナ医科大学・横浜西武病院に「めまい外来」があります。この際、いろいろ検査するのもよいでしょう。運が良ければ原因が分かるかもしれません(運がう~ん?)」

早速、紹介状を書いていただき、「めまい外来」へ診察と検査に通っています。

 

 

検査は聴力、MRI、CIです。先日診断結果が出ました。

「めまい外来」のS先生の診断では良性発作性頭位めまい症とのことで、脳や聴力検査は問題なしだそうです。とにかく、病名がわかりホッとしました。

良性発作性頭位めまい症とは、発作的に突然、頭の位置を変えた時におこる良性のめまいで、生命の危険がなく、後遺症も残らず、治療をしなくても自然と軽快することも多く、ぐるぐるまわるようなめまいの原因として一番多いそうです。

しかし、再発も多く、予防としては寝る時に片方に偏らず、頭の位置を上向き、左右に変えること、首を回す運動を心がけることだそうです。

続けて2回起ったので再発があるかもしれませんが、予防を心がけてあまり気にしないで過ごそうと、今は思っています。 コロナウィルス蔓延もそうですが、予期せぬことがいろいろありますね・・・。

 

 


長月の稽古が始まりました!

2021年09月06日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 

1ヶ月の夏休みが開けて、9月4日から稽古を再開しました。

久しぶりの稽古に備えて、いつもより念入り(?)に掃除をし、水指や茶碗を入れ変えてみたり、床のお軸とお花を思案したり、時間をかけて準備を楽しみました。

暑さと眩暈予防のため、冷房下で安静に過ごしていたので、頭も体もすっかり退化していました。とても良いウォーミングアップになりました。

我家で咲いている花はノウゼンカツラ、ピンクの夾竹桃、紅白の水引、金水引、秋海棠などですが、秋明菊はまだ蕾です。秋の花が欲しくなり、吾亦紅、竜胆、黄色の小菊を花屋さんで求めました。花入は有馬篭です。

お軸は「日々是好日」、 柳生芳徳禅寺の橋本紹尚和尚の御筆です。

コロナウイルスの蔓延が続く日々ですが、そんな中でも「貴重な一日を大事にし、素晴らしい一日となるよう心がけましょう」と問いかけ、励まされる禅語です。

 

 

長月のお稽古のトップバッターはIさんとUさんでした。

7月から引き続き、茶箱のお稽古が9月(長月)前半の課題です。

その日は茶箱・卯の花と茶箱・花を交互にお稽古しました。

・・・そうそう、お菓子がちょっと豪華(?)でした。振り出しは形だけとし、干菓子を別にお出ししました。

8月29日に朝茶事を予定していましたが、8月半ばに再び猛烈な眩暈に襲われ、中止になりました。

ネットでお菓子を注文済でしたので、それを是非賞味していただきたいと思いました。

1つは干菓子の「日月菓」(千本玉寿軒製、千本玉寿軒が手紙具の「裏具」さんとコラボして創られた和三盆で、京都にゆかりのある5色が使われています)、暁庵のお気に入りです。

もう一つは「水羊羹」(たねや製)、甘みと柔らかさが程よく、冷た~くしてとろりと賞味して頂きます。

 

        干菓子の「日月菓」 (京都の千本玉寿軒製)

     (茶箱の拝見も楽しいですね)

茶箱の稽古が進んだ人にはマイ茶箱を持つことをお勧めしています。

ポットがあればお家で気軽に茶箱の稽古が出来ますし、独服も家人との喫茶タイムもステキだと思うのです。

この日はUさんがマイ茶箱を持参して初使いでした。振り出しの形が面白く、絵唐津でしょうか?

各服点なので、替え茶碗はスウエーデンやフィンランドのデザイナーさんがデザインした波佐見焼の茶碗を使いました。少し小ぶりなので茶箱にぴったりです。

 

    (松ぼっくりとレースフラワーをデザインした茶碗

 

卯の花と花の点前の特徴を確認しながらお点前をしていただきましたが、お二人とも

「先生、茶箱ってとても楽しいですね!」 (・・・ヨカッタ! 今度は雪や月点前に挑戦してね)

薄茶もお菓子も美味しく頂き、お二人の近況報告が楽しく続く、長月の稽古の初日でした・・・。

 

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