暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

夕去りの茶事支度を始めました

2023年08月27日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

 

9月2日(土)に夕去りの茶事(立礼)を予定しています。

8月終わりから9月にかけて

   夏が去り 秋がやって来る

   いつの間にか蝉しぐれから蜩に変わり 夜はコオロギの演奏会

   油断していると 日の入りから夜のとばりまで あっという間

   背伸びして待っていると 月がやっと顔を出した 

夕方の時々刻々の変化が素晴らしく、夕去りの茶事のベストシーズンがやってきました。

 

 

お招きした3人のお客さま、全員がバリバリの茶道男子です・・・それで(?)張り切っておりますの。

ブログに書きましたが8月前半は発疹がひどく、9月2日までに治さなくっては・・・と、それはもう必死でした。治ることを前提に既にお招きの手紙を差し上げていたからです。

まだ全快した訳ではありませんが、ボツボツと茶事支度を始めました。

24日に床の張替えのリフォームが終わり、家具の配置替えをしました。これだけでも気分が一新して、夏休み明けの9月からのお茶事やお稽古へ気合が入ってまいります。

 

 

9月2日の日の入りは18時8分27秒、満月から2日目の立待月です。

長期予報では9月2日は雨マークが出ていますが、庭の掃除に重い腰を上げました。こちらも一度にはできませんので、数日かけて夕方1時間を目やすに草取りや掃除をしています。涼しくなるのを待って・・・ですが、日暮れ時の露地の暗さと時間を確認しています。

「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもので、まだ明るいと思っていると、アッという間に真っ暗になります。

この変化を味わってもらえるように中立の時間を決めていますが、どうなりますことか・・・。

 

  (3週間放っておいたら「どうしよう」状態です)

一番肝心の立礼の点前の稽古・・・約1時間かけて1~2科目、道具の確認や、流れるような点前ができることを夢見てやっています。

濃茶、薄茶、初炭、ただし炭手前はエアーです。

薄茶は半東AYさんにお願いしていますが、たまには薄茶の稽古もしなくっちゃ・・・。

夕去りなので中立から灯り(露地行灯や手燭など)が登場します。

愛媛県喜多郡内子町の大森和蝋燭屋から和蝋燭を取り寄せ、灯りの準備や場所の確認を始めました。

    (内子町の大森和蝋燭屋)

 

いろいろやることが満載ですが、優しいお客さまからのお手紙に

 「お身体のほうもどうぞ無理をなさらないでください」

 「ご準備などでご多用のことと存じますが 何卒御自愛を賜りたく存じます」

 

ありがとうございます!

そうですね・・・年寄りの冷や水と言われないようにほどほどにしますね。

夕去りの茶事でお客さまをお招き出来る嬉しさを噛みしめつつ、残暑の中、支えてくださるAYさんと懐石の小梶由香さんに感謝!でございます。  

 

   夕去りの茶事を終えて・・(1)へ   (2)へ   (3)へ

 

 


デトックス(?)中です

2023年08月20日 | 暮らし

(「菩提梯」・・身延山久遠寺の三門から本堂へと続く287段の階段)

   (登らずに上から写しました 

  (身延山久遠寺本堂・・・端座し法華経を唱える青年に会い感動です 

   しばしお経を聴き、心が洗われるような時間を過ごしました)

   南無妙法蓮華経  南無妙法蓮華経  南無妙法蓮華経

 

酷暑の中、皆さま、無事にお過ごしでしょうか?

8月中は暁庵の裏千家茶道教室は夏休みなので、のんびりと過ごしてはいるのですが・・・発疹と悪戦苦闘しています。

6月末にコロナウイルスのワクチン接種をしました。6回目です。

「今回のワクチンは今までのファイザーでなくモデルナですが、どうしますか?」とかかりつけのA医師。

「今まで副作用はなかったので、今回も接種をお願いします」と私。

免疫系の薬を服用していたので接種前後の1週間、薬を飲むのを自主的にやめました(モデルナに変わったのが気になったのかな?)。

接種後の副作用は今までと同じで、肩の筋肉痛を覚えるほどで済んだのですが、接種後1週間くらいから発疹が出始め、発疹に効く免疫系の薬を再び飲み始めてもなかなか治まりませんでした。

それでも少し気になる程度だったので、7月中に予定していた茶事や稽古を続けていました。

7月30日の朝茶事の数日後、クールダウンを兼ねて身延方面の旅へ出かけました。

実はこの頃からスィッチが入ったように発疹が全身に広がって「どうしましょう!」状態でした。

それでも下部温泉・某ホテルの家族風炉が素晴らしく、二つの温泉(冷泉と温泉)に癒されてきました また、行きたい!です)

 

(砂金採り体験でツレが砂金5粒をゲット・・下部温泉・湯の奥金山博物館)

 

旅から帰ってかかりつけの皮膚科へ行くと、先生もびっくりして

「どうしたのかしら?」

「先生、もしかしたらワクチンの副作用ではないでしょうか?」と思っていた疑問をぶつけてみました。

「免疫系の薬はそのまま続けて、塗薬を出しますから2週間様子をみましょう」あいにく、医院が夏休みに入る直前だったのです。

友人宅へ遊びに行く予定をキャンセルして、メールで訳を知らせると、すぐに貴重な情報が届きました。

「もし、ワクチンの副作用でしたら、デトックスが必要です。ワクチン、デトックス、ホワイトクロット、血栓などで是非検索してみてください。松葉茶、チャーガ茶などがデトックス効果があるといわれています。」

 

    (最後に寄った清見寺(静岡市清水区興津)の白蓮)

早速デトックスをいろいろ検索し、「〇〇〇茶」(よもぎ、松葉、すぎなのブレンド粉末)を取り寄せ、1日2~3回飲み始めました。

他にも1日1回の塗薬、免疫系の薬の服用、身体を締め付ける洋服やパジャマはやめて、ゆったりとしたものを着るようにしたり、ぬるめの湯につかり血行をよくしたり、就寝時にソックスを履いたり、出来ること、良いと思われることをやっています。

何が良かったのか、わかりませんが、お盆を過ぎてから徐々に発疹が治まりつつあり、回復に向かっています(どうぞご安心ください )。

ワクチンの副作用のことは聞いていましたが、自分とは無縁のように思っていました。ワクチンの副作用だったのか、デトックスが効いたかどうかは謎のままです。

夏休みが終わるまでに全快したい・・・と頑張っています。 

皆さまも酷暑の夏を、どうぞ無事にお過ごしください。  

 

         (身延山ロープウェイからの眺め)

    (東名高速・富士川SAからの富士山・・・旅の終わりにパチリ)

 

 


お盆の墓参り

2023年08月13日 | 暮らし

 

残暑お見舞い申し上げます

 

猛暑の中、お盆前の8月10日に墓参りへ行きました。

1カ所は藤沢市にあるO霊園、もう1カ所は我が家から比較的近いG霊園です。

いつもこの2カ所を同時に行くようにしています。

実家の墓のある藤沢市のO霊園は緑あふれる広大な公園墓地ですが、墓域の管理は個人でしなくてはなりません。他に墓掃除をする人もいないので、ツレと二人で年に数回墓掃除を兼ねてお参りしています。

それに今年は昨年末に亡くなった弟の新盆なので、気合が入っています

夏を越したので生い茂っているであろう草を取ったり、入口に植えてある2本のカイズカイブキをカットしなくてはなりません。

 

       (横浜市旭区矢指谷戸のコスモス

行ってみると、案の定、草もありましたが、コスモスがあちこちに元気よく伸びています。お盆に墓掃除へ行かなかった時があり、9月に行くとコスモスが墓一面に咲いていて、それはそれは華やかでキレイでした。

全く無いのも寂しいだろうと思い、後ろの方のコスモス5本を残しました。

放っておくとドンドン広がってしまうカイズカイブキですが、毎回カットしているので丁度良い大きさになっています。

墓の中に眠っている愛しい人たちも綺麗になって、きっと満足してくれたことでしょう。

紅い薔薇とピペリカムの花束と線香をお供えし、最近、墓へ入った弟へ話しかけます。

「あの世でみんなに会えましたか? どうぞ安らかにお眠りください」

 

 

もう一つの横浜市のG霊園は我が家の墓で、母が眠っています(お盆のおもてなし)

こちらはコンクリートに覆われていて、管理もしっかりしているのでほとんど草取りすることはありません。それでも墓石や廻りをタワシで洗って浄めると、心身が浄められる気がします。

3種の竜胆と野鶏頭の花束と線香をお供えし、しばし母といろいろな話をしました。

「あの世で弟に会えましたか? どうぞ安らかにお眠りください」

きっと母のことだから弟を探し出して会えたと思いますが、一方で縁とはこの世だけの気がしています。

だから一層、「今の縁を大事にし、今をしっかり生きなくては!」と思うのでした。

 

  (「日蓮上人の御母菩提の御手植杉」・・身延山奥の院にて)

 

最近目にした良寛さまの晩年の詩文を記します。

良寛さまの「今を生きる」充足感や孤独の中の安らぎを感じながら・・・。

   首を回らせば七十有余年

   人間の是非 看破に飽きたり

   往来の後は幽かなり 深夜の雪

   一ちゅうの線香 古窓の下

 

      (身延山山頂から七面山を遥拝する・・・8月4日撮影)

 


夏休みのリフォーム

2023年08月10日 | 暮らし

  (「夏の富士」・・・夏休みに入り、身延山と下部温泉へ出かけました

 

一昨日は立秋でした。

  秋立つ日、よめる

   秋きぬと 目にはさやかに見えねども

     風の音にぞ おどろかれぬる     藤原敏行(古今集)

 

立秋を過ぎると急に秋が身近に感じられ、慌てて9月2日にお招きする夕去りの茶事のお客さまにご案内の手紙を書きました。

 

 

同時に2ヶ月ほど前から考えていたリフォームに向けてやっと行動開始です。

いろいろなリフォームが頭を過りましたが、際限なく膨らむ欲望を押えて最小限度にしました。

一番の目的は、十畳の広さの洋室を常時立礼の稽古を出来るようにしたいのです。

しかし、同時にこの部屋は稽古の支度や打ち合わせ、茶事の待合など多目的に使っていますので、その機能も維持しなくてはなりません。

 

      (これは数年前の鷺草です・・・

頭の中で考えていることを実行に移すべく、業者Tさんに相談してみました。

〇 フローリングの床を張り替えたいが、冬の下からの寒さに備えて簡単な床暖房は可能でしょうか?

今まで冬は絨毯を敷いていたのですが、大きな絨毯の2階からの出し入れやクリーニングが大変なので、この労働負担や費用を軽減したいのが一番の目的です。

業者Tさんのお勧めはガス給湯器を使った床暖房ですが、かなりの工事になるとのこと。

予算的にも大工事は考えていないので、傷んだ床のフローリングだけ新しくして、冬は従来のエアコンと部分的に小型の電気カーペットを使うことにしました。これなら家具の移動にも対応できそうですし、なにより安価なのが嬉しい。

膨大なカタログを見ていると迷いそうでしたが、最初の印象を大事にして床材を決め、施工日も希望通リ8月後半に決まりました。

あとは残す物、捨てる物の整理ですが、これが一番大変そうで頭が痛いです・・・

夏休み中なので、一日一ヶ所を決めてコツコツとやっていくしかなさそうです。

 

     (「夏雲」・・・身延山ロープウエイにて)

    (身延山山頂の奥の院まで約7分の空の旅です)

〇 もう1カ所、洋間と隣の和室(六畳のリビング)の間に大きな2枚の板戸があります。この板戸に壁紙を張るか、塗装をするか、リフォームして部屋の雰囲気を変えたい・・・と相談しました。

業者Tさん曰く、これはこれで完結していてリフォームの仕様がありません。このサイズの建具はとても珍しく、建具を変えるよりこのまま使うことをお勧めしますとのこと。

家具の配置も変わるのでその様子を見ながら、何か私に出来ることで考えてみよう!試してみよう!と思っています。これはこれで先の楽しみが出来ました。

待ちに待った夏休みですが、あっという間に終わりそうです・・・

 

     (木槿が満開・・・新東名のSAにて)

 

 


「曉雪の朝茶事」(立礼)・・・(3)

2023年08月07日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

  (周りに露をたっぷり打ったのですが、はかなく消えて・・・それも良しかな)

 

つづく)

5月の初風炉の茶事に始まり、3回目の立礼の茶事での濃茶点前ですが、心がけていることは一期一会の精神でしょうか。

再び暁庵の茶事でお会いすることがないかもしれない・・・と思うと、一入こみ上げてくるものがあります。その思いを大事にして、花を生け、濃茶を差し上げたいと。

後座の床に白い木槿と灸花(やいとばな)をガラス氷柱(つらら)花入に生け、周りに露を打ちました。露も生けた花もやがてはかなく消え去りましたが、お客さまの心の中に深く印象づけられたようでした。

風炉は眉風炉、釜は桐文真形釜(高橋敬典造)を使いました。小ぶりの風炉は点茶盤のスペースを広くし、真形釜は車軸釜より高さが低いので、初炭の時に上げ下ろしが扱いやすくなりました。

釜を変えたせい(?)で新しい発見がありました。

火相も湯相もほど好く、釜の蓋を開けると、自然光の中で湯気が幻想的に立ち昇ります。柄杓を取り置きするたびに釜の湯気が微妙にたなびき、それがとても神々しく、初めて経験する不思議な感覚でした。

うす暗い茶室で蠢く湯気を意識しながら裏千家流の濃茶点前に専念しました。

「どうぞお流儀の仕方でお召し上がりください」「お服加減はいかがでしょうか?」

「たっぷりと頂戴しています。まろやかで甘みのある濃茶ですね・・」とお正客Yさま。

次客Sさま、次いで詰Fさまの濃茶を心こめて練ってお出ししました。濃茶は坐忘斎家元好みの「延年の昔」(星野園詰)です。

濃茶茶碗はいつも同じで黒楽と御本2碗ですが、どの茶碗も気に入っていただけたようでとても嬉しいです。

古薩摩焼の銘「翁」という茶入、仕覆は19世紀の島モール(中嶋由美子仕立て)、茶杓は後藤瑞巌師の御作で銘「無事」です。

 

     (琉球焼の茶碗で薄茶を差し上げました)

続いて、半東Y氏が洗い茶巾のお点前で薄茶を差し上げ、暁庵が半東をつとめました。

このお点前の原型は利休七哲のひとり、瀬田掃部(利休の弟子)が畳目十四半(約18センチ)の高麗平茶碗「水海(湖)(みずうみ)」を入手し、それを生かすために考案したと伝えられています。

現在の洗い茶巾は裏千家十三代圓能斎の創案で盛夏の薄茶点前です。茶巾をしぼる時や茶碗の水を建水に流す時の涼やかな水音をお客さまに楽しんでもらうことが眼目です。

 

 (半東Y氏の洗い茶巾の点前、本番と同じ道具で稽古中)

水を入れた刷毛平茶碗(高田焼)に茶巾、茶筅、茶杓を仕組み、持ち出します。建水は水音が高らかに聞こえるように陶器から唐銅に変えてみました。

・・・そして、小堀遠州流のお客さまが見守る中、濡れ茶巾が絞られ、滝を思わせるような水音を響かせながら、平茶碗から建水へ水が流されました(ヤッタネ!

「温度や濃さが丁度好くまろやかで美味しいです。お代わりを・・・」と、皆さまがお代わりをしてくださいました。薄茶は「舞の白」(星野園詰)です。

次客様の茶碗は江戸時代の琉球焼、三客様は銘「淡路」(琴浦窯、桐山作)を選びました。

薄器は鵬雲斎大宗匠好みの「流水千鳥蒔絵 溜塗吹雪」、茶杓は「寧」(染谷英明作)です。半東Y氏が茶杓「寧(ねい)」についてお話をしてくださいました。

  茶の湯を通して人との交わりを丁寧につむいでいくこと

  茶の湯を通してやすらかな心と時間を持つこと・・・そんな願いを込めて

・・・こうして、3人のお客さまをお迎えし、第3回・立礼の「曉雪の朝茶事」が無事に楽しく終わりました。

 

   (茶事後の薄茶タイム・・・AYさんがご自服で)

馳せ参じてくださった小堀遠州流のYさま、Sさま、Fさま、そして早朝から朝茶事を支え、獅子奮迅の活躍をしてくださった半東Y氏と懐石&水屋AYさんに心から感謝申し上げます。  

 

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