暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

鷺草が咲きました!

2021年08月27日 | 暮らし

 

  鷺草の初花です・・・・8月22日に記念撮影

   鷺草の2輪目が咲きました・・・8月24日撮影

 

8月22日に鷺草が一輪咲きました。「バンザァーイ!!」

3月に姫路在住のSさまから贈られたあの鷺草です。

ずーっと日なたで育てていましたが、葉が少し日焼けして来たので、7月から直射日光を避けて半日陰の木の影に置いてあったのですが、暗い木陰に一羽の鷺が風に揺れているではありませんか!

この時の感動はなんて言い表したらよいのか・・・ツレにすぐ報告すると、

「大切な預かりものの鷺草が咲いてくれてボクも安堵したよ・・・」

今まで頂いた鷺草を何度も途中でダメにしていたので、内心、無事に花が咲くか心配だったようです。

夏の水遣り不足が一番のネックですが、今年は雨が多かったのが幸いでした。

Sさまから贈られた鷺草は姫路市内の某自生地から採取した球根だそうで、その昔、先輩から分けて頂いた球根をSさまは何代にわたって大事に育てています。自生種なので園芸種と育て方が多少違うようで、秘伝も伝授されました。・・・というわけで、とても楽しみでもあり、責任重大でもあり・・・。

花が咲くのも園芸種より1カ月近く遅く、8月末になると伺っていましたので、そろそろと心待ちにしていました。

早速、室内で何枚か記念撮影をしました。どうぞ見てやってくださいまし。

 

  6つ以上の蕾を確認しました。もう楽しみ・・・。

 

ちょっとはしゃぎすぎの暁庵でした・・・・

 

 


夏の幻想・・・水点前のミニ茶会 (2)

2021年08月22日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

 蛍草(露草、月草とも)    真夏の花、凌霄花(ノウゼンカツラ) 

  (季節の花300 写真提供)

 

(つづき)

「薄茶を一服差し上げます」

小堀遠州流は武家茶道なので帛紗は右に着けています。

千鳥茶巾2枚と茶筅(裏千家と反対で持つ手が下で向うに入れます)、茶杓を仕組んだ茶碗2碗が重ねられ、薄器と共に運び出されました。

久しぶりに拝見する遠州流のお点前なのでNさんと食い入るように見つめます。建水を持つ手は右でした。

帛紗捌きも裏千家流とは違いますし、棗や茶杓の清め方も違うのが新鮮でした。

「清め方がとても丁寧ですね」とNさん。

 

 

茶筅通しでギャマンの水指から水が一杓汲まれ、氷が奏でる音が涼やかに響き渡りました。

柄杓で水を汲むたびに、ガラスと水と氷と柄杓の絶妙なハーモニーが静かな茶室に氷奏交響曲を奏でます。「次はどのような音かしら?」と耳をそばだてて楽しみました。

ちょうどその時、微風が線香の香りを運んできました・・・私には音楽大好きな音楽院さん(Yさんのご主人の戒名)が茶室へ入って来られて、奥さんの奏でる氷奏交響曲を一緒に聴いているような幻想を抱いたのです。

お菓子は2種、”鬼灯(ほおずき)”(練きりで石井製)と金団(きんとん、寿々木製)です。

茶碗に抹茶が入れられ、先ず少量の水で練るように混ぜ、それから水が足されて、今度はしっかり茶筅が振られました。2回に分けてしないと、だまが出来てしまうそうです。

薄茶は一保堂の「蓬莱の昔」(・・・だったと思う)、しっかりと点てられた薄茶は冷たく、のど越しが爽やかで、とてもまろやかなお味です。

「冷たくまろやかなお味でおいしゅうございます・・・」

ガラスだと思っていたお茶碗を手に取ると、薄手の玉(ぎょく)の茶碗でした。かざしてみると、薄緑色の中にたなびく雲のような模様が踊っていて、幻想的な空間が広がっていました。

Nさんはガラスの平茶碗、こちらもたっぷりと綺麗に点ててくださいました。

Nさんがお点前を交代して、Yさんと暁庵が一服ずつ頂戴しました。Nさんは初めての水点前だったみたいですが、とても美味しく上手に点ててくださいました。次に再びYさんがNさんにお代わりの一服を玉の茶碗で点てて、お仕舞となりました。(コロナ禍なので各服点です。お代わりの茶碗は水屋で洗い直して対応してくださいました)

お道具拝見のタイミングを教えて頂き、蓋置(金属の蟹)に柄杓を引いた時に拝見のお声掛けをしました。すると、柄杓を長板に添って横に置き直し、拝見の所作に移りました。

 

 

拝見物が出され、茶碗や建水が引かれてから、Yさんはガラスのピッチャー(花瓶?)のようなものを持ち出し、氷水が水指へ注がれました。

「氷が入っているので薬缶は使えず、いろいろ試行錯誤してこの水次に辿り着いたの・・・」説明するYさんの輝く笑顔がステキです。

薄器は竹製、河太郎のように蓋にへこみがあります。溜塗になっていて石川塗だそうです。

作者も銘もわからないという茶杓は形や景色が味わい深く、Yさんのお気に入りだというのも頷けます。

「お茶杓の本日のご銘は?」

「蛍草でございます」

蛍草は露草の別名で、他にも藍花(あいばな)、月草(つきくさ)とも呼ばれています。一日花ですが、束の間の命が愛おしく清楚な花です。

 

 

・・・こうして、水点前を堪能した茶会が終わりました。その後、リビングで少しお話をしてお暇しました。全部で1時間半くらいでしょうか・・・。

めくるめく夏の幻想に充たされた、素晴らしいひと時をありがとうございました! 

 

「Yさん、お茶を心から楽しんでいらして、とてもステキなお歳のとり方をされていますね・・・」

茶会の途中でポツリとささやいたNさんの一言に大きく頷きながら、私もかくありたい・・・とつくづく思うのです。これからも仲良くお付き合いくださいまし。 

 

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夏の幻想・・・水点前のミニ茶会 (1)

2021年08月21日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

  (雨降りの公園にて・・・大きな水たまりが出来ました)

 

オリンピックが終わると雨が1週間続きました。

その日も雨・・・郵便局の帰りに近くのYさん宅へ寄りました。

5月に亡くなられた音楽院さん(Yさんのご主人の戒名)にお線香を上げさせてもらい、久しぶりに茶談義が弾みました。

すると、隣の和室に長板と素敵なギヤマンの水指が置かれているのを発見!

「暑いのにお稽古をされているのね・・・・」

「M氏から長板と亀甲竹の結界が届いたので、久しぶりに水点前をお稽古しようと思って水指を出したところなの」

 

    (一目ぼれして購入したというギヤマンの豪華な水指・・・見立てです)

 

裏千家流には水点前がなく、昔、茶会の趣向で水点前で薄茶をいただいたことを思い出しました。

「小堀遠州流には水点前があるのですか?」

「ええ。夏になると氷を入れて水点前のお稽古をするんですよ」

「是非一度、小堀遠州流の水点前を拝見させてください」とさっそくおねだりしました。すると、

「まぁ、嬉しいわ! 主人が亡くなってお客さまをしてくれる人がいなくなって困っていたの。

 是非、いらしてください。」

数日後に再び訪問する日を決め、もうお一人だけ共通の知人Nさんをお誘いすることにしました。

 

        (我が家の百日紅が満開です)

 

その日は雨が上がり、気温も上がって「水点前」にふさわしい夏日になりました。

Nさんは茶系の小千谷縮みの着物と茶系の夏帯をシックにお召しでしたが、暁庵は体調不良もあり洋服で失礼しました。

13時半にお尋ねすると、玄関内にアルコール消毒薬と蹲が用意されています。

「外は暑いので、冷房の効いているこちらで蹲を使ってお入りください」と粋な浴衣姿のYさん。

持参したお菓子の折詰と果物をお供えして、音楽院さんにお焼香しました。

音楽院さんはYさんがお茶をすることを心から応援されていたので、きっと今日の茶会を喜んでいることでしょう・・・。

 

    (床の設えが涼しげで・・・)

すぐに茶室に席入りしましたが、床の設えがもうもうステキでした・・・。

先ず掛けられている横物のお軸に心惹かれました。

 

四酔」と隷書で大きく書かれ、その横に小さく

「 春酔花 (春は花に酔う)

  夏酔風 (夏は風に酔う)

  秋酔月 (秋は月に酔う)

  冬酔雪 (冬は雪に酔う)」・・・と。

小堀遠州流の小堀宗通氏(前のお家元?)の八十八歳の時の御筆で、Yさんの宝物だとか。

 

お軸の下の群青の水盤にはホテイアオイが青々と浮かび、メダカが静かに泳いでいます。魚籠(びく)のような大きな籠にはたっぷり露を抱いた萩の枝葉が生けられていて、

「まぁ~、なんて涼やかなお床の設えなのだろう・・・」と思わず感嘆の声をあげました。

 

       (ホテイアオイの下にメダカが数匹隠れています)

 

Yさんとご挨拶を交わし、素晴らしい設えのことをお尋ねすると、

「あれからどのようにしてお迎えしたらよいか、あれこれ考えるのが楽しくって夢中で数日を過ごしました」

「Yさまのお心がこもっていて、お床の設えも「四酔」のお軸の詩句も素晴らしいですね。ご迷惑では・・・と心配していましたが、今のお言葉を伺って、おねだりして本当にヨカッタ!です。水点前がますます楽しみでございます」(つづく)

 

       夏の幻想・・・水点前のミニ茶会 (2)へ続く

 

 


夏休みと緊急事態宣言

2021年08月03日 | 暮らし

 立秋は8月7日なので少しお早目ですが・・・

  木の間より漏り来る月のかげ見れば

     心づくしの秋は来にけり      詠み人しらず(古今)   

 

 

わぁ~~イ!! ただいま夏休み中です  

 

(昨年開催された「ヨコハマトリエンナーレ2020」(7.17ー10.11横浜美術館)の展示作品)

 

7月25日(日)、文月最後のお稽古が終わったその日の夜、激しい眩暈に襲われました。

なんとか2階の寝室へたどり着き、寝れば治るのでは・・・と。

ところが翌朝もグルグル回るような眩暈が治らず、かかりつけ医・A先生に診てもらうと

「冷房をかけていますか? 26℃ではなく25℃以下にしてください。

 それとしっかり水分補給をしてください。吐き気もあると思うので薬を3種出しておきます」

その後、眩暈持ちのA先生の体験談をしっかり拝聴した後、贅沢にも運転者付き車で帰宅し、ひたすら安静に過ごしました。

あれから、1週間以上経っているのに今だふらつきが残っています。 

 

(昨年開催された「ヨコハマトリエンナーレ2020」(横浜美術館)の展示作品)

 

その間に連日コロナウイルス感染者は急増して、神奈川県でも1日の新規感染者が6日連続で1000人を超えるようになりました。(神奈川県の新規感染者数は8月2日(月)1686人(横浜市842人)で、内509名がインド由来のデルタ株の感染疑いありです)

昨日(8月2日)から8月31日まで、東京都、沖縄県に次いで4府県(大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県)で緊急事態宣言が発令されました。神奈川県は第3回目になります。

暁庵の裏千家茶道教室は8月中夏休みなので問題はありませんが、楽しみにしていた信州・穂高方面への2泊3日の旅行が中止になりました(ショボン)。

 

  (高砂百合の蕾がだいぶ大きくなってきました・・・写真は昨年のものです)

今はオリンピック開催中なので、冷房をしっかりかけてテレビにかじりついていますが、オリンピックが終了したらどうして過ごそうかしら?と思案中です。

気になっている捨てたい物(衣類、食器、本、茶道具)の整理など夏休み中にやりたいことは山ほどあるし、朝茶事もしたい!(小声です)・・・けれど、今は黄色信号が出ているので、先ずは「のんびりと何もしないで過ごし、体調をしっかり整えましょう!」と自分に言い聞かせています。

ブログも少しだけ夏休みに入ります。

酷暑の折、くれぐれもお体に気を付けてお過ごしください。

 

  月の面白かりける夜、あかつき方に詠める

  夏の夜は まだ宵ながら明けぬるを 

     雲のいづこに月宿るらむ      清原深養父(古今)

 

 バックムーン(日本語で「牡鹿月」というそうです)(令和3年7月24日に撮影)