暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

雨降りの日に・・・貯金箱旅行

2024年03月26日 | 暮らし

   (彼岸桜と木蓮・・・近所の直売所で購入、壷は神奈川焼三代井上良斎作)

 

今日で3日も雨が続いています。

桜の開花宣言が待たれますが、これで少し遅くなったかもしれませんね。

2月28日が結婚記念日ですが、1カ月遅れで1泊2日の旅行に行くことにしました。 

それで、旅行に使おうと思って500円玉を貯めていた貯金箱を開けることになりました。

結構この瞬間が好き!でして、貯金箱3つにいろいろ貯めています。

1つはピンクの豚の貯金箱、四国遍路の時に10円玉がたくさん必要なので貯めています。

でも、今のところ四国遍路へ行く予定が無いので、3月24日に四国遍路へ出発された茶友Yさまに餞別として貯金箱ごと差し上げました。「今頃は高知県へ入ったかしら?」と思いながら、Yさまの遍路姿を思い浮かべ、旅のご無事を祈っています。

 

    (四国八十八カ所の36番札所・青龍寺近くの大好きな遍路みち)

 

もう一つは、大きな招き猫の貯金箱で母の形見です。こちらは1円から1万円まで自由勝手に入れたい時に入れています(目的が今一つないのでなかなか貯まりませんが・・・)

商売をしていた母は毎年暮れになると、色々と支払いの金が必要になるらしく、招き猫の貯金箱を開けました。たまにその場に出会わすと、小銭だけでなく千円札や1万円札も入っていて、暮れの支払いの足しになるような高額になり、驚いたことを懐かしく思い出します。

どうやら、私の貯金箱好き(?)は母の影響かもしれませんね・・・。

    (記念撮影・・・御年80歳以上の化け猫かも・・)

500円玉貯金は旅行に使う目的なので、旅行前に開けなければ意味がありません。缶切りで開けて数えてみると130枚ほどありました。これなら1泊2日の旅行(車使用)に足りるかな?

ところが問題発生。雨の中を郵便局へ行くと、50個までの換金は無料ですが、それ以上だと枚数に応じて手数料がかかるとのこと。ただ、4月1日から100個までは無料に変わることを知り、取り敢えず50個を換金しました。

 (500円玉貯金箱の記念撮影・・・何代目かな?不明です)

ここのところ天気が悪いのが心配ですが、久しぶりの旅行がとても楽しみです。

「どちらへ行くのですか?」という声が・・・・。

北の方面や山はまだ雪や凍結がありそうなので、静岡県と愛知県の海を旅行先に選びました。

4月中旬に「ひねもすのたり正午の茶事」(立礼)を予定しているので、一足先に春の海をのんびり眺めたり、海の幸を味わったり、心身のリフレッシュができたらいいなぁ~と思います。

         (こんなイメージです・・・

天気予報は今一つですが、どちらか一日でも晴れたらいいなぁ! 

 

 


立礼の茶事を再開します

2024年03月18日 | お茶と私

 

令和6年4月から立礼の茶事を再開します。

令和5年10月29日に「野月の名残りの茶事」(立礼の茶事)をした時に、炉の時期は茶事をお休みし、来年風炉の時期が近くなったら茶事をするかどうか決めよう・・・と思っていました。

先のことは何があるかわからないからです。

思いがけず手術入院がありましたが、入院中も茶事のことを考えていました・・・。

あと何回出来るかわからないので、1回出来たら、また1回とやって行きたいのですが、茶事はお客さまのためにするので、お客さまが決まらないと先へ進めません。

 

     (鶯神楽、蕗の薹、藪椿)

4月中に今年第1回の立礼の茶事をすることにし、お客様のご都合をお伺いしたところ、すぐに快諾してくださって嬉しい限りです。

お客さまは15年くらい前に出逢い、七事式や茶事を通していろいろご指導頂いた先輩方なので、今からお会いするのがとても楽しみです。

特にお正客様から私の茶事を最優先にして日程調整をしてくださるとのご返事を頂き、茶事が始まる前からもう!感激しています。

      (大紅と蕗の薹)

茶事をする時は約2か月前にお客さまへメールでご都合のお伺いをします。本当は1ヶ月前で良いのでしょうが、忙しい方もいらして2ヶ月前でも遅すぎたかしら?と思うほどです。

第2回目は5月中を予定していて、今まさにお客さまのご都合をお伺いしているところです。

古いブログの記事を読み返していると、その時の茶事の悩みや迷いを思い出すと同時に、心に入って来る文章に出合うことがあります。茶事のお正客様が決まらずに不安を感じていた時だったので、何か天の啓示を得たような気がしました。

     (如来三尊像(北魏)  根津美術館にて)

禅心茶話・・「捨てる」と「放つ」」(淡交2006年7月)に書かれた次の文章が心に入って来たからでした。

私たちの心は、時として不安やストレス、様々な欲望、嫉妬や羨望、優越や劣等といった悪心を内に詰め込み、自らの行動を縛りあげてしまっている。
心がちっとも片付かない。
片付かない心は、意志と決断が緩慢になるから、必然的に自己中心に向かってゆく。それしか方向がないのだ。

「放つ」ということは、心を片付けるということだ。
片付いた心は、自ら信じる道筋に沿って、幸も不幸も、成功も失敗もすべて、その場その場の心のピュアなはたらきとして受け入れていくのである。あるがままに。・・(後略)・・

 

すべてをあるがままに受け入れて、私は今やれることを全力で尽くせばよいのだ。そう自分に言い聞かせると、心が片付いてすっきりしました。

昨日、新たなお正客様から嬉しいご返事を頂き、5月の茶事を全力で頑張ろう! お客さまやスタッフの方たちと一緒に大いに楽しもう!と思っています。  

 

 


散歩ランチのシーズン到来

2024年03月16日 | 暮らし

       (運が良ければ帷子川でカワセミに出合えます)

 

昼間の温度が15℃を越える日が続き、いよいよ散歩ランチのシーズン到来です。

散歩だけでもよいのですが、ランチが加わると楽しみも倍増します。

3月14日、令和6年になって初めての散歩ランチへ出かけました。

紫外線除けの帽子をかぶり、いつものようにコンビニに寄ってランチを物色します。ツレは牛乳、ハムと卵のサンドイッチ、シーチキンのおにぎりを、私は野菜ジュース、フルーツのサンドイッチ、納豆巻きを購入しました。

自然がいっぱいある中でのランチは美味しく、ついたくさん買い込んでしまいます・・・

今日は今川公園へ行くことにし、道筋にある花水木、木五倍子(キブシ)、アケビの新芽や花芽の様子を確認しながら、ぶらぶらと散歩します。途中で家を壊して造成している区画があり、そこは見事な牡丹が毎年楽しめるお宅だったので、とても残念でした

 (このボタンも見れなくなりました・・・)

あちこちに椿の名木があって散歩中の楽しみの1つでしたが、造成されて根元から伐られしまったり、見事な椿の生垣がなくなったり、私の頭の中の椿マップもだいぶ様変わりしています。

今川公園のグランドを見渡せるベンチでランチしました。土日だと、野球の練習や試合を見れるのでしょうが、その日は木曜日で誰もいないグランドは閑かです。

 

           (今川公園のジョギングコース)

ランチ後、公園のジョギングコースを一周すると、辛夷、雪柳、馬酔木くらいしか花には会いませんでしたが、竹林が春の陽に美しく輝き、姿は見えなかったけれど鳥の声も聞こえてきました。

 

畑と住宅が仲良く並んでいる古道を通って帷子川(カタビラカワ)へ向かいます。お天気も良いのでカワセミに出合うことを期待しながら・・・。

 (古道の向かいの丘陵には階段状に住宅が建てられていて、こちらも散歩道の一つです)

        (帷子川と支流・矢指川の合流点付近)

帷子川は全長17キロの2級河川、横浜市旭区若葉台近辺を源流とし、旭区、保土ヶ谷区、西区を流れ下り、横浜駅近くの横浜港へ注いでいます。

早春のまさに今頃、帷子川添いの丘陵では大木に咲く白い花があちこちに目立つようになります。最初は辛夷やシデコブシ、それから白い木蓮が大木を覆うように咲く姿は春の訪れを実感し、心躍ります。

この日も今川公園の辛夷が高い梢の先端に白い花をたくさんつけ、道端では満開のシデコブシや花芽が大きく膨らんだ白い木蓮に出合いました。

 

        (高い梢の先に辛夷の花が咲き始めました)

白い花が咲き終わる頃にピンク色の桜(ソメイヨシノ)それから八重桜が順番を待って咲きだします。

どの瞬間も咲く花にとっては自然の摂理なのでしょうが、私には花の律義さがとても健気に思えて・・・「今年も咲いてくれて本当にありがとう!」 

 

 


三寒四温の散歩道

2024年03月13日 | 暮らし

      (稲荷社があるので、勝手に稲荷山と名付けています 

 

暖かくなって喜んでいると、雨が降って寒くなり、春先独特の三寒四温の日日ですが、いかがお過ごしでしょうか?

今日は雨になり、寒いっ~です。でも、一雨ごとに春が近づいている気配を濃厚に感じます。

そんな或る日、暖かさに誘われて散歩へ出掛けました。庭の小さな花壇に春の花を植えたくなり、目指すは花屋さん。

久しぶりに稲荷山を通るコースを選び、竹藪の道を進むと椎茸を栽培している場所に出ました。椎茸が大きくなっているのに収穫していないみたい・・・。

       (椎茸が巨大になって・・・)

稲荷山から眺める景色が好きです。

稲荷山には紅い藪椿がたくさん植えられていて、明後日のお稽古用に蕾を1枝頂きました。

あと2週間もすれば、すぐ下の農家に植えられている枝垂れ桜が桜色に染まることでしょう。

 

     (稲荷社からの参道)

       (枝垂れ桜が咲くころの参道)

枝垂れ桜のある農家には椿もたくさん植えられていて、次々と花を咲かせてくれます。

名前がわかる椿は少ないのですが、白椿、大紅(オオクレナイ)、卜伴(ボクハン)、古金襴などでしょうか?

 

       (山茱萸:サンシュユ)

        (馬酔木:アセビ)

畑の土手や路傍には野の花が満開です。カラスのエンドウ、オオイヌノフグリ、踊子草、ペンペン草、どれも花が小さいので私のカメラではぼけてしまいます。

今日は花屋さんへ続く、帷子川をショートカットした跡地の散歩道を行くと、花たち(山茱萸、馬酔木、アネモネ、ムスカリ、貝母)が次々と現われ、目を楽しませてくれました。

        (アネモネ)

         (ムスカリ)

花屋さんへ到着すると、鉢類も切り花もまさに春爛漫で目移りしてしまいます。鉢類はアネモネ系など3種類6鉢を購入しました。

切り花も欲しくなり、「茶花に使いたいのだけどお勧めは?」

茶花を意識するといつも紋切型になってつまらないので、お店の方に選んでもらいました。

すると、「こちらはいかがでしょうか?」と選んでくれたのがチューリップの蕾でした。

「白系と紫系のチューリップがお勧めです。どちらも素敵ですよ」

洋花ですが、楚々とした雰囲気があり、すぐに「あの青磁の花入に1輪だけ生けてみたい!」と思いました。紫のチューリップの蕾を1本購入し、帰るとすぐに青磁の花入へ生けてみました。

 

       (貝母:バイモ)

雨が止んだら、花屋さんで買ってきたアネモネなどを植えよう!と腕まくりして待っています。 

 

 


早春の茶事に招かれて・・・(2)

2024年03月10日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

 

つづき)

中立後、銅鑼の音で後座の席入りです。

床には、太郎庵椿とアブラチャンが伊賀焼の旅枕に生けられていました。

太郎庵椿は、江戸中期の茶人・高田太郎庵に因んでその名がつけられたと言われている中京地区の名椿です。原木が熱田神宮にあると聞いたことがあります。残念ながら我が家には無いので、ピンクの蕾を膨らませている太郎庵椿に会えて嬉しかったです。

アブラチャンは小さな赤い実をたくさんつけていて、今頃赤い実が・・・と不思議でした。ところが、赤い実と思っていたのは花芽で、春になると黄色の花が咲くそうです。早春の山野の息吹を感じる取り合わせがステキでした。

 

   懐石・Iさま創作の菓子銘「暁餡(あかつきあん)」

濃茶の前に主菓子を頂きました。チョコレート味の金団で、中の餡子が紅色で暁を表わしているとか。懐石を作ってくださったIさま製で菓子銘は「暁餡(庵ではなく)」だそうです。紅色の餡にはフルーティな甘味があり、とても凝った菓子で、菓子銘に恐縮しながらも美味しく頂戴しました。

濃茶になり、小堀遠州流の、裏千家とは全く異なるお点前を堪能させて頂きました。茶入や茶杓の清め方に興味津々、袱紗や茶巾の扱いに見惚れ、柄杓の大きさにもびっくりです。

やがて、濃茶の薫りが茶室に満ちて、よく練られた熱い濃茶を頂戴しました。菓子のすぐ後でもあり待ち遠しく、とても美味しゅうございました。

そして、茶を練っている時から気になって仕方がなかった主茶碗、とても個性的な茶碗で、李朝のようですが魚屋(ととや)かしら? と内心思いながらお尋ねすると、「茂三(もさん)でございます」とご亭主。

「茂三ですか! 初めて茂三の茶碗で濃茶を頂きました。茂三らしいお形と言い、個性的な色合いの窯変の景色と言い、素晴らしい茶碗で頂けて感激です」と私

各服点なのでご亭主が選んでくださった、Yさまは古丹波、Kさまは御本の茶碗で美味しそうに濃茶を頂いています。

茂三については李朝の職人の名前であったとか、役人の名前とか諸説あるそうですが、またご縁があったらこのお茶碗で濃茶を頂きたいもの・・・と密かに願いました。   

 

     (後座の席入りの様子です)

   梅月の水指と大海茶入(間道の仕覆はご亭主作)

詳しく書きませんが、茶入も茶杓もFさまのお目にかなった素晴らしいものばかりで、由来やFさまの元にやってきたご縁を伺うのが楽しかったです。

特に古瀬戸の大海茶入と茶杓は、小堀遠州流のいにしえの茶人の息づかいを感じるもので、茶入と茶杓が数百年の時を経てこの茶室で出会い、茶事に使われたご縁に心震える思いがいたしました。

薄茶になり、懐石のIさま夫妻も参席して、楽しくお話しながら薄茶を頂戴しました。

薄茶の途中で詰Kさまに交代してもらい、ご亭主とIさま夫妻に薄茶を点てさしあげたのも座が一段と和んで良かったです。

お疲れのところ、車で駅までお送りいただき、最後まで面倒をお掛けしました。

あれから時が過ぎましたが、今も鮮明に「早春の茶事」が思い出され、余韻を楽しんでいます。 ありがとうございました! 

ご亭主Fさま、連客のYさまとKさま、そして懐石のIさま夫妻、これからも暁庵並びに暁庵社中と仲良くお付き下さいますよう、よろしくお願い致します。

 

       早春の茶事に招かれて・・・(1)へ戻る