暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長屋門公園・ひな祭り茶会のご案内

2012年02月28日 | 茶事
立春、雨水も過ぎ、今年もまたひな祭りが近づいてまいりました。
恒例の長屋門公園・ひな祭り茶会のご案内です。

囲炉裏のぬくもりに包まれた築200年の古民家には
新旧の雛人形や吊るし雛がいっぱい飾られます。

美味しいお菓子を食べて頂き、心をこめて薄茶をお点てします。
子どもさんも大人さんもたくさんのお雛さまを見ながら
日本の素晴らしい伝統文化をお楽しみください。
ひな祭り茶会のお問い合わせは長屋門公園へお願いいたします。

ひな祭り-楽しい人形劇の公演-もありますよ。
3月3日(土)10時から11時。詳しくはHPをご覧ください
                 
                 
                 

    ひな祭りの茶会              
   日時  平成24年3月3日(土)
   場所  横浜市長屋門公園 囲炉裏ばた
       (〒246-0023 横浜市瀬谷区阿久和東1-17)    
        TEL&FAX 045-364-7072
   茶席   13時~15時
   参加費  300円 (茶菓代) 
        
   交通アクセス 相鉄線三ツ境駅より徒歩18分
   地図参照: http://members2.jcom.home.ne.jp/9327mzss/use.htm

   (バス情報) 「三ツ境」駅からはバスも利用できます。
          「三ツ境」駅から「上阿久和(かみあくわ)」バス停まで約6分。
          バス停から公園まで徒歩5分です。

         「三ツ境駅」 → 上阿久和(長屋門公園入口)
          乗り場は(2)番です(地図参照)
         ・戸17「戸塚駅東口」(阿久和経由)行き
         ・戸19「戸塚駅東口(湘南泉病院経由)」行き
         
                

                        


                                                        


いちねん会番外編  大炉

2012年02月27日 | 七事式&いちねん会
2月19日に大炉の稽古をしました。
我が家に大炉がないので、Kさんに大炉の稽古を特別にお願いしたのです。
折角の機会ですので、Kさんがいちねん会のメンバーへお声掛けをしてくれました。
それで、全員参加の賑やかなお稽古になりました。

               

初炭と後炭をさせて頂きました。
後炭の風情が味わい深いものなので、密かにあこがれていたのです。
久しぶりに大炉のお稽古をさせて頂き、楽しかった!

               
               

濃茶と薄茶を二回ずつ点てて頂いて、いちねん会・番外編らしく
楽しく有意義な一日でした。
ありがとうございました・・・!


                      

  注)写真のお点前はSさんです。
    柄杓を持つ手、空き手がきれいですね・・・(ため息!)
    筒茶碗と馬上盃で薄茶二服を頂戴しました。



如月の茶事へ招かれて (3)

2012年02月25日 | 思い出の茶事
銅鑼の音色に気を引き締め、後座の席入です。

躙り口で覗うと、正面に花が浮かんでいます。
近づくと、福寿草が三つ、今大地から目覚めたように顔を出していました。
さきたま古墳の一つ、稲荷山近くに住むご友人からの早春の贈物です。

花入は信楽の蹲(うずくまる)、大きめの形といい、土の肌合いといい、
健気な福寿草にお似合いでした。
作者は杉本貞光さん、名前と顔が一致する数少ないお一人です。

点前座にまわると、高取の水指に仕覆を着た茶入(古瀬戸肩衝)が荘られ、
湯相もよく、はや濃茶が喫みたくなりました。
座が鎮まり、点前がはじまりました。
長年稽古を積まれてきたご亭主は春風駘蕩の風情で、濃茶を点ててくださいました。

とても美味しゅうございました。・・・が、茶銘を失念しました。
たしか柳桜園の・・・うーん! 思い出したら追記しますね。
前席で頂いた練きり「鶯」は塩瀬総本家製ですが、
林和靖の子孫が日本へ渡り、奈良で塩瀬饅頭の製法を伝えたというお話があり、
興味深く拝聴しました。
茶碗は今高麗の井戸茶碗、銘は「忘れ水」です。

後炭になり、炭手前で苦労した後なので、しっかり拝見させて頂きました。
炭斗が初炭と違っていて、唐物かしら?
釜が浄められ、濡れ釜の風情が一段と鉄肌の美しさを惹きたてています。

後炭が終わり、少しほっとして座が賑やかになり、
談笑しながら薄茶を二服、趣きの違う茶碗で頂きました。
ご亭主にご自服をして頂きたくって、お勧めしました。
干菓子も懐紙にとって差し上げ、自服前にとりわけ賞味して頂きました。
「自分で言うのもなんですが、とても美味しかったです!」
・・・お勧めして好かった。

              

ご亭主様の思い出が詰まったお道具を愉しみつつ拝見しました。
清々しい茶杓だけ、ご披露させていただきますね。
濃茶の茶杓は無節の白木でした。

東大寺二月堂お水取りの日、厳しい行を修めた練行衆は、
牛玉箱をくくりつけた牛玉杖を手にし、童子らの松明に照らされて、
満行の下堂をします。
牛玉杖は柳、それを削った茶杓を東大寺元管長より譲られたそうです。

柳の茶杓は、「素」を連想する、神々しいものでした。
銘は「好日」です。

こうして和やかに、如月好日の茶事が終わりました。
・・・正客としてご亭主の御心をしっかり受け止められたかは疑問ですが、
皆さまの温かく、さりげないフォーローに助けられ、
楽しく一座建立できましたことを感謝いたします。

京都への旅立ちの好い思い出になります。 ありがとうございました!
(ご連客さま、またいつか、ご亭主にお願いして、ご一緒したいですね!)
                                   


     荒川の春野に遊ぶうぐいすも 
          明日は何処を指して飛ぶらむ    暁庵
 

      如月の茶事へ招かれての項    (2)へ戻る    (トップ)へ  

        写真は、「福寿草」と「梅一輪」 (季節の花300提供です)


如月の茶事へ招かれて (2)

2012年02月23日 | 思い出の茶事
床の掛物をお尋ねすると
「林和靖(りんなせい)と梅の画と和歌(狂歌)が書かれていまして、
 小堀権十郎の手によるものでござます」

林和靖は中国・宗時代の詩人、
長く山中に隠棲し、梅を妻の如く愛で、鶴を子どもの如く可愛がった風流人
として知られています。

小堀権十郎(遠州の三男)の狂歌をお詠み上げ頂き、
しばし梅の花と香りを愛でる林和靖その人になってみました。
この画賛を遠州流の表装で仕立てられ、一文字と中回しは時代裂のようで、
一入のお心入れを感じました。

初炭が始まりました。
釜が上げられ、羽箒で掃かれ、炉縁へ寄って中を見ると、
湿し灰は乾き、下火にはジョウがついていて、先ほどの緊迫感のある景色と違い、
時の移ろいを映し出しています。 色即是空  空即是色 

初代畠春斎造の透木釜は、荒木村重由来の平蜘蛛写(・・と記憶?)。
羽根のゴツゴツした荒肌が魅力的で、古武士のような味わいのある釜は
私のお好みです。
炭が置かれ、香が焚かれ、香合の拝見をお願いしました。

マンションなので気密性が良すぎて、熱を敏感に察知して警報が鳴りだすそうで、
すぐに障子を開けてくださいました。
火伏の効果も狙って、透木釜を選んでくださったご亭主に感謝です。

                

香合は、鶴・・・でした。
首が細く、立っている優美な姿は、林和靖が愛でた鶴のイメージにぴったりです。
尾張藩お庭窯の御深井焼(おふけいやき)ですが、
一瞬、大阪・藤田美術館で見たデルフト窯のハクチョウが頭をよぎりました。

「すてきな鶴の香合がないかしら? と念じていたら、
 茶事の直前に偶然出会ったのです」 と、にっこりのご亭主。
こちらまで嬉しくなってしまいます。 香は松栄堂の加須美です。

                

懐石が運ばれた頃、ちょうどお腹が鳴り始めました。
プロにお願いしたという懐石は、品よく美しく美味しかったです。
アツアツの一文字の甘味、ご亭主手作りのなますがつぼつぼで出され、
貝と分葱の酢味噌和えが春を運んできて、シアワセでございました・・・。

ご亭主やご連客とお話ししながら時季のものを食し、酒を酌み交わす(呑めませんが・・)。
後座の濃茶への備えながら、いつも楽しく、主客の親しみが増していく貴重な時間です。
茶室を造る際に一札を入れたエピソード、雪の山形や茶所名古屋のお話し、
名席茶会の思い出などいろいろ伺えて、楽しゅうございました。

食するのを躊躇するような、かわいらしい鶯の練きり(赤坂の塩瀬総本家製)を頂戴しました。
鶯はまだ笹鳴きかしら?
長屋門公園・正午の茶事で鳴らしたウグイス笛を想いだしながら、中立しました。


   如月の茶事へ招かれての項   (3)へつづく    (1)へ戻る    

      

如月の茶事へ招かれて (1)

2012年02月22日 | 思い出の茶事
池袋から埼京線へ乗り、荒川を渡ると、
上流に雪を抱いた山々がくっきりと連なって見えてきました。

川面を渡る風の冷たさも電車の中までは届かず、
「川で遊んでいる鳥は何かしら?」
浮かんできた和歌をあわてて懐紙に書きとどめました。

某駅の改札口で茶事の連客と待ち合わせました。
客四名全員が初対面なのですが、そこは茶事を共通語とする方々です。
すぐに打ち解けて旧知の如く、いざ、ご亭主が待つマンションへ。

ご亭主の楽居庵さまとのお出会いは、私が茶事を初めて間もなくの頃でした。
思い切って真MLでお客さまを募集して、はじめて本格的な茶事をしました。
ブログにも書きました、長屋門公園・正午の茶事です。
その時の拙いながら一生懸命の茶事へいらしてくださったのが、楽居庵さまでした。

その後もご縁があり、茶事でご一緒したり、瀬谷の吊るし雛の会
昨春の五事式にお付き合いくださいました。
私が京都へ家うつりするというので、如月17日、ご自宅の茶事へ招いてくださったのです。

                
                      (ご一緒した瀬谷の吊るし雛から)

「楽居庵」と書かれた木の表札が掛けられている玄関を入りました。
待合の居間には内裏雛が飾られ、短冊が掛けられています。
  「龍吟雲起」 (りゅうぎんずれば くもおきる)
広島・和風堂で行われた上田宗箇流の初釜の福引で頂戴した短冊とか。
ご亭主の今年の隆盛が見えるようです。

一人亭主でございます・・・香煎が運びだされ、
「風が冷たいのでベランダ腰掛での迎えつけは省略させて頂きます。
 湯をお飲みになりましたら、お席へお入りください」
というご案内がありました。

煙草盆や火入のざっくりとした灰形の景色を鑑賞してから
躙り口より四畳半の茶室へ席入りしました。

               

床には画賛が掛けられ、梅を愛でる林和靖の画と和歌でしょうか?
表装の一文字と中回しも味わい深いお軸で、あとでお尋ねするのが楽しみです。

炉正面に座り、炉中の息をのむような美しさに見とれました。
きめ細かい炉灰がなだらかな山の景色を作り、
今撒かれたばかりの黒々とした湿し灰が山の稜線を際立たせています。
そして真っ赤に熾った三本の菊炭が炉中を美しく照らしていました。

仮座へ座ってから、ご亭主が濡れ釜を持ち出し、掛けました。
「失礼しました・・・」
「とんでもございません。少し早く席入したようで、そのおかげで、
 素晴らしい炉中の風情を愉しませて頂きました」
再び炉前に座り、濡れ釜の形や釜肌の美しさを堪能し、二度も愉しませて頂きました。

・・・ここで大失敗です。
あんなに美しい炉の景色はめったに見られませんので、濡れ釜を持ちだしたときに
「炉中拝見」を所望すべきだった・・・と今も悔やまれます。
気の利かない正客で、ご連客さま、ごめんなさい・・・。

そんなわけで、炉中を鑑賞できたのは、不肖私だけでして、
「一瞬の出会いと判断」のむずかしさを痛感しました。

     如月の茶事へ招かれて (2)へつづく