暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和5年の初釜・・・(2)

2023年01月30日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 

つづき)

床の御軸は「點笑」、東大寺・清水公照師の御筆です。

「笑いを絶やさないこと」・・・という意味だそうです。

今年1年を笑顔で楽しく生きていけたら、なんと!素晴らしいことだろう・・・という願いをこめて掛けました。

 

亭主M氏が香盆をIさんの前に運び出し、「どうぞお香をお願いいたします」

香は、6世紀に仏教の伝来と共に日本に伝えられました。

香を焚くことは、心身を清浄に保ち、感性をみがくと言われていますので、初釜の最初に香を是非・・・と思ったのです。

Iさんが手を香炉にかざして火味を確かめ、落ち着いた美しい所作でお香を焚いてくださり、全員で神妙に聞きました。

お香はとても優しく繊細な香りで、Iさんが最初に毒聞き(試し聞きのこと)した時と最後に本聞きをした時とでは香りの印象が違っていたそうです。

お香銘をお尋ねすると、

   岩ばしる 垂水の上の 早蕨の

       もえ出づる春に なりにけるかも

という和歌より「さわらび」という香銘だそうで、木所は真那盤です。

 

 

次はお花です。

色とりどりの春の花があふれる花台が床前に運び出され、

「Sさま、どうぞお花をお願いいたします」と、ご亭主から花所望の声がかかりました。

実は前日にSさんにお花を用意して頂きました。忙しい仕事の合間に花屋さんを数軒まわってくださったようです・・・。

「最初は責任重大と思いましたが、お花をいろいろ探したり、選んだりするのがとても楽しかったです」と伺って安堵しました。ヨカッタ!

唐銅の薄端に生けられた花は、松、雲竜梅、八重百合、菊(ぽんぽん菊)、菜の花、エンドウ豆、鉄線(クレマチス)の7種です。

初釜にふさわしく豪華なお花が床と点前座(亭主床なので)を美しく華やかにしてくれました。

 

 

次は亭主M氏の初炭です。

「先生、初釜に十徳を着ていってよろしいでしょうか?」

「どうぞ着ていらしてください。楽しみにしています」

昨年めでたく準教授を拝受した折に誂えたのかしら? M氏の茶道への意気込みがなんか胸に迫ってきました。

台子の初炭は順番や飾り火箸の扱いなどいつもの初炭とは違いますが、威風堂々の十徳姿、端正な所作で炭を置いてくださいました。

初掃きで正客KTさんから順番に全員で炉を囲み、H氏の湿し灰の撒き方や炭の継ぎ方を鑑賞しました。

サラサラと進むお手前に見惚れながら、このまま皆で親しく炉を囲み、いつまでも炉辺で見ていたい・・・と。

炭斗は常盤籠、羽箒はフクロウ、火箸は菊頭四方透かし、灰器は京都・壬生寺の焙烙、灰匙は仙叟好み大判です。

香合は大きなぶりぶり(高砂蒔絵)、お香は坐忘斎お好みの松濤(松栄堂)でした。

 

 

こうして初座が終了し、待合の椅子席へ移動し、お弁当、雑煮椀、一献(酒は越の寒梅)で昼食です。(つづく)

 

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令和5年の初釜・・・(1)

2023年01月29日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 

 寒中お見舞い申し上げます

 

  昨年12月に身内に急な不幸がありまして

  新年のご挨拶は失礼させて頂きました

  大寒波が襲来の折、ご自愛のほどお祈り申し上げます

 

  令和5年の初釜のことを書きたくなり、ブログを再開しました

  ボツボツになりますが、お付き合いくださると嬉しいです

 

 

          (初釜の初座)

1月15日(日)に暁庵の裏千家茶道教室の初釜(初稽古)が行われました。

毎年のことですが、「今年はどのような形式(次第)にしようかしら?」と考えるのが楽しいです。

令和5年の初釜は茶事形式で全員何かお点前をしていただく・・・ことにしました。

席入りは午前10時30分、10時20分に待合集合です。

亭主H氏、半東Aさん、香担当のIさん、花担当のSさんの4人が9時に集合し、初釜の準備をしてくださいました。

詰T氏の板木の音で半東Aさんが大福茶を用意し、全員で頂きました。

我家の大福茶ですが、志野の汲出しに①梅干し(しわしわになるまで長寿を願う)、②黒豆(まめまめしく勤勉に)、③山椒(山椒は小粒でもぴりりと辛い苦味建胃薬・・・健康を願う)、④結び昆布(良い縁を願って・・)を入れ、ほうじ茶を注ぎました。

 

 

寒いですが、腰掛待合へ出て、蹲を使って席入りの予定でした。ところが・・・

「先生、雨が降り出しました・・大粒の雨ですがどうしましょう? 

「そうね。晴れ着が濡れたら大変なので茶道口から席入りしてもらいましょう」(内心、雨があと10分待ってくれたら・・・と思いながら)

それで、すぐに濡れ釜をかけてもらい、正客KTさんから順次茶道口から席入りしていただきました。

 

     (濡れ釜にすると霰唐松がとても美しく見えます)

 

いつものことながら全員で令和5年の新年を無事に迎えたことを喜び合い、それぞれ新年に思うことをお話して頂きました。

今年も皆様の茶道精進のお気持ちに添いながら、私の出来ることをしっかりご指導しよう・・・と心を新たにしました。

ご挨拶を交わした後は、全員でお点前を分担し、いよいよ初釜本番です。(つづく)

 

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