暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

今年も金蘭&銀蘭探検隊

2022年04月29日 | 暮らし

  (稲荷山と呼んでいる丘からの眺望・・・心地よい風が吹き抜けていきます)

 

「金蘭が咲き出したよ!」

1週間前、ラジオ体操から帰ったツレが嬉しそうに言いました。

ラジオ体操をしている石川台公園の金襴を気にかけていたようでしたが、ついに咲き出したのです。

最初に金襴と銀欄に出逢ったのは2年前、新型コロナウイルスの脅威が身辺に迫りつつあった頃のことです。

・・・それで、金襴と銀欄が咲いていた箇所を確認したり、新たに咲いている場所を探検することにしました。

 

     (あっという間にタケノコがこんなに大きくなって・・・)

 

4月26日(火)、この日は天気も良く、散歩を兼ねて探検に出かけました。

200メートルほど歩いたら、急に左膝が痛くなり、急遽一番近い稲荷山へ目的地を変えました。

あっという間に筍が大きくなっている竹藪の裏道を抜けると、稲荷山はすぐなのです。

最初に銀欄を数株見つけました。銀欄は小ぶりで見つけにくいのですが、ラッキーでした。

斜面へ行くと、黄色い花を咲かせている金襴にたくさん出合えて、健在ぶりに安堵しました。

稲荷神社近くの大木が数本切られたので、ここからの眺望が開けました。

心地好く吹き抜ける春風に身を委ね、しばし金襴銀蘭と広がる景色に見惚れながら至福の時を過ごします。

 

    (最初に銀欄を見つけて感激! 稲荷山にて)

(華やかな金襴に逢えたし、株数が増えたみたい・・・稲荷山にて)

 

4月28日(木)、4月最後の稽古を終えてから、別の場所へ金襴銀欄の探検へ出かけました。

足も快調で、銀欄2株と金襴の群落を確認し、昨年より株数が増えていて嬉しいです。

帰りは大きく回り道をして、新たに金襴が咲いている林間の斜面を見つけました。

 

    (こちらはホウチャクソウ、白いスズランのような花をつけます)

   (追分・矢指市民の森・・・ウッドチップの道が膝にやさしいです)

4月29日(金、祭日)、この日は小雨がぱらつく中を追分・矢指市民の森へ探検へ出かけました。

昨年のこと、数株の金襴を確認していますが、違う場所を探してみました。

ホウチャクソウはたくさん見つかるのですが、なかなか金襴銀欄はありそうもありません。

半ばあきらめていた時に、林間の奥に1株の金襴を発見! これ1株だけでしたが嬉しかったです。

 

 (たった1株だけれど、見つかって超!嬉しかった・・・追分・矢指市民の森にて)

 

「昔は近くの里山のあちこちに金襴と銀蘭がたくさん咲いていたんだよ」

ずっーと以前に土地の古老から伺っていたことが頷けました。

ご近所にある、金襴と銀欄が咲く里山の自然がこれからも残ってほしい・・・と願っています。

 

 


風炉の逆勝手平花月と謎のお言葉

2022年04月23日 | 稽古備忘録・・・東京教室の稽古

      (早や藤の花が満開です・・・散歩道の公園にて)

 

4月21日はS先生の東京教室のお稽古で、2ヶ月ぶりに東京へ出かけました。

大雨の予想が見事に外れて、気温20℃の快適な気候です。

それでも着物だとちょっと暑いです。この日は大島紬(・・だと思う)の着物に白地に藤の花が描かれている塩瀬の帯を締めました。

藤の花がまっさかりなので、今日この帯を締めないとチャンスを逃しそうな行く春の勢いです。

駅からタクシーに乗り桜並木の下を通ると、葉がふさふさと茂って今年の桜の花を見ていないことに気づきました。昨年はちょうど桜吹雪の中の稽古日だったことを懐かしく思い出します。

 

      昨年は桜吹雪の稽古日だった・・・

  (「薫風自南来」のお軸が掛けられていました)

 

その日の科目は全部風炉で、盆香合、台天目、包帛紗、流し点、午後になって且座之式と逆勝手平花月でした。

奥伝の方がお休みでしたが、風炉の最初の稽古だったせいもあり、S先生からいろいろな質問や点前の基本に関するお話がいっぱい伺えて、とても充実した稽古になりました。

S先生から発せられる鋭い質問にしょっちゅう飛び上がったり、冷や汗をかいたりしました

例えば、「初炭で下火を1つ、向うへ移すのはどうしてか?」「盆香合で釜へ水を足す意味は?」「茶筅でのの字を書くのは何故?」などなど・・・・。

そして、柄杓の扱い、袱紗捌き、茶碗の拭き方、棗の清め方などの基本動作をしっかりご指導頂きました。

青年部の講習会があったとかで、質問が無いので参加した青年部の方へあえて質問したり、参加者の点前を見ていろいろ感じたり、考えさせられたそうです。

そしてつまるところ、指導者がもっとしっかり考えて教えなくてはいけない(・・・つまり私たちが)ということで、基本から細かくご指導頂いたのでした。

青年部に限らず、S先生はいつも「どうして? 何故?」という疑問を大事にし、私たち弟子に質問を投げかけてくださいます。そして自分で考えることの大切さを気づかせてくださいます。

 

        (門の横で牡丹の花が満開でした)

さて、その日の午後、逆勝手平花月を見て頂きました。

風炉へ頭が切り替わっていない所に逆勝手平花月なので、もうもう大変でした(陰の声・・・誰っ!風炉の最初に逆勝手平花月を選んだのは・・・)。

3日ほど前に風炉を出し、逆勝手の稽古をしましたが、付け焼刃なので所作がスムースにいきません。茶碗の取り置きの手、柄杓の引き方、茶筅や帛紗の位置、水指の蓋の扱いなど難しかったです。

でも、とても新鮮でした。

「逆勝手を稽古することで本勝手の意味をいろいろ考えることができます」とS先生は謎のようなことをおっしゃいます。

これからは逆勝手の稽古を取り入れ、先生の意味することを考えてみたい・・・と思いました。

帰りにいつものカフェへいつもの5人で寄り道し、冷たい林檎ジュースとベイクドチーズケーキでリフレッシュし、こちらも2か月ぶりの充実の時間でした。  

 

 


「神奈川現展・卯月展」・・・久しぶりに親友と

2022年04月15日 | 暮らし

      (「神奈川現展・卯月展」の会場にて)

 

4月5日(火)に静岡県に住んでいる親友Mさんに会いました。

コロナウイルスで中止になっていた「神奈川現展・卯月展」(2022年4月5日~11日)が3年ぶりに開催され、展示作品を携えて横浜へいらしたのでした。

コロナ禍で会えない間、お互いにいろいろなことがありましたが、先ずは無事に再会できたことを喜んでいます。

展示会場は横浜市戸塚区民文化センター内のさくらプラザギャラリーです。

時間はかかるのですが、小旅行のつもりで相鉄線・三ツ境駅から戸塚駅東口行バスにツレと乗り込みました。この路線はこのためだけにしか乗らないので、いつも物珍しく楽しいバス旅です。

途中、やわらかなパステルカラーの野山に満開の桜が映えていて、秘かに歓声を上げました。

 

 

展示会場に着くと、受付でMさんが笑顔で迎えてくれました。ギャラリーには40点くらいの作品が展示されていて、一つ一つ丁寧に見ていきました。

写真OKだったので、気に入った作品や気になる作品などをいくつか記念に撮りました。

 

 

親友の作品は「立冬」と題した布絵です。

「あらっ! 薔薇の花かしら?」と思いましたが、紅い椿でした。

いつも感心するのですが、Mさんはいろいろな布を魔法使いみたいに使って、新たな生命(作品)を創り出しています。

「卯月展」のために全く別の作品を制作したそうですが、いざとなると、この絵の方が良く出来ているのでこちらにしたそうです。だいぶ昔に制作したものだとか・・・でも、とても新鮮で素敵でした。

・・・「薔薇」だったら欲しいけれど・・・と自分に言い聞かせ、購入を我慢しました(なかなか出来ない断捨離に憧れています・・・)。

 

おみやげに「筍」の布絵をいただきました。

「ブログの写真でテーブルクロスやテーブルセンターをよく見ます。良かったら使ってください」(Mさんはブログをよく読んでくださっていて・・・もう感謝!

早速にテーブルセンターに使っています(アリガトウ!)。

もう少し世の中が落ち着いたら、また清川村の別所の湯へ一緒に行けたら・・・と思います。 

      清川村・別所の湯 

      再び清川村・別所の湯へ

      紅い椿 神奈川現展2015

 

 


「さくらの茶事」・・・(4)終章・後礼の手紙

2022年04月11日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

      (枝垂桜が満開です・・・散歩道にて4月5日撮影)

つづき)

「さくらの茶事」の当日(4月3日)は気が張っていたのでしょうね・・・翌日は朝から腰痛がひどく、ひたすら安静に努めました。そんな中でいただいたメールや手紙は何よりの薬となり、感謝感激しています。

茶事の思い出として掲載させていただきます。よろしかったらご一読ください。

          

 SKさまより

暁庵様

 過日は夢のようなさくらの茶事の一日をありがとうございました。

 ご趣向を凝らした設えそしてご亭主様、水屋の皆様のお心配りに感服いたしました。

 寄付きのお歌そして本席の白秋の薔薇の歌が心に響いて参りました。

 美しい御膳そして温かなお椀が連客の皆様との楽しいひとときを作ってくださいました。

 そして後席の見事な展開には眼を奪われました。

 お花と普賢菩薩様に守られ心安らぎこの上ない濃茶を頂戴いたしました。

 お仕舞の散華には感涙の思いでした。

 忘れがたき日を感謝申し上げます。

 義母の故郷のお菓子との出会いも一層嬉しゅうございました。

 不白に因んだお心のこもった銅鑼の音にまたのお目もじを祈りました。

 どうぞ暁庵様におかれましてはお疲れが出ませんように願っております。  SKより

 

       Rさまから写真が届きました)

 

 

 EKさまより

昨日は暁庵の茶事クロスロード400万頁突破記念の「桜の茶事」にお招きいただき、本当にありがとうございました。

 ご心配されていた天気の移りに、準備が変わって大変だったと思いますが、このところの寒の戻りと小雨で桜も葉桜にならずにすみました。また雨のおかげで蹲の場所が変わり、公園の春雨に舞う桜を見ながら手水を使うことができました。思わず雨に舞い散る桜花を惜しむ謡曲「熊野」のような情趣を味わいました。

 さてお茶事について・・・もう感動したことがいっぱいで書ききれません。まず思ったことは「さくらの茶事」ですから、単純な私でしたら桜に因んだ道具をこれでもかと出してしまうのですが、もろに桜だったのは香合だけだったような。しかも先生が茶道に没入していくきっかけとなった思い出の香合だったとは。

 その後もいろいろなお道具、特に各服点のおかげで沢山、お茶碗が出ました。先生が説明してくださいましたが、ブログの愛読者である客から見ると、あ、あれはあの時の・・このエピソードは・・・と、先生の茶道生活の歴史をいっしょにたどることができて、とても楽しかったです。

 客は先生のブログを通して啓発されたりご縁をいただいたりした者ばかりですから、先生ともっとお話ししたい!という気持ちでいっぱいでした。

その気持ちを知ってか、優秀な社中のスタッフが助けてくださいました。凛々しい半東さんの行き届いたご案内やお心遣い、また肌寒い日に美しい後炭はとりわけ御馳走でした。京都人には懐かしい壬生寺の炮烙が灰器になっていたのも嬉しかったです。

薄器は春の花の野辺に跳び遊ぶウサギさん。薄茶は存在そのものが薄墨桜のようなお点前さんが点ててくださり、心をこめて選ばれたお菓子など、先生は安心してお任せできたことでしょう。お蔭様で先生とたくさんお話ができて、本当に感謝でした。

 そういえば見事なお掛物も社中の方のお手でしたね。薔薇の茶会のコンセプトであった白秋のうた。かの茶会でご一緒した方も多かったので、楽しかった薔薇の茶会も思い出しました。

 お客様もお正客をはじめ素晴らしい方ばかりで、こういうご縁を結んでいただけることも、先生のブログのおかげです。寄り付きに掛けてあった先生のお好きな歌のように、春の山辺の桜の下で亭主もお客ものんびりと花の宴を楽しみましたね。

 最後に床に掛けられた雲中供養菩薩に散華が降りかかり、コロナや戦争や災害で苦しむ人々が多い中、こうして茶道を続けていられること、素晴らしい茶友のご縁にあずかれることへの感謝の念に心がいっぱいになってしましました。

こんな感激をより多くの方にも味わっていただきたいので、是非、500万頁を目指して頑張ってくださいませ。またの御目文字を楽しみにしております。   EK拝

 

 SEさまより

さくら花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞたちける  紀貫之

「風」ではなく「雨」といった風情でですね。

暁庵先生におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

昨日は桜の茶事にお招きいただき、誠にありがとうございました。

「400万頁閲覧数の記念茶会」、先生の歩みが・想いが全て反映したお茶事に

私の力量でお礼状が書けますでしょうか。

 寄付きで「いざ」と皆で手を取り合いはいった山辺は、想像したよりも遥かに深山であり、

咲き誇る「薔薇の花」で諸行無常の中での自分の在り方を再認識し

目にも鮮やかなお料理の後は桜前線で濃茶の期待が高まり

雲中観音とろうそくの灯る茶室での薫り高く滑らかで清らかな濃茶

終焉に向けて喉を潤わせる清涼感のある薄茶

雲中観音に散華をと‥

室礼とお点前と演出とすべてに亘って先生の息吹を感じ

その中でお道具にも先生の歴史があり、伺う物語の楽しさに私もそこに参加しえた喜びを感じております。

釣釜の揺らぎと湯気、炎の揺らぎと煙、それらにのっている観音様

先生のお茶事でのストーリーが、一滴の雫が、川に大河になり海に注ぎ、雲になって雨に変化しまた雫となる、不思議な循環をお茶室で体験しました。

 不相応ではございますが、 この後も先生のお茶会・お茶事がありましたら

参加したい所存です。少しでも「すべて世は 事もなし」と胸を張れるように。

 パワーのあるお茶事、先生におかれましてはお疲れがでていないか・・只々案じております。

寒い日が続いています。どうぞご自愛くださいませ。    SEより

       (Rさまから写真が届きました)

 暁庵より  

お客さま、スタッフの皆さまに支えられてのブログ400万頁記念「さくらの茶事」、楽し ゅうございました。毎回、「これが最後かしら?」と思いながら茶事をしています・・・。

皆さま、ありがとうございました! 

 

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「さくらの茶事」・・・(3)後炭と薄茶

2022年04月10日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

        (後座の床と点前座)

つづき)

・・・濃茶が終わりました。既に膝と腰が限界なので、後炭は半東M氏に、薄茶はAYさんにお願いしました。そして茶室を少し明るくしてから末席に入ると、お客さまが温かく迎えてくださいました。

後炭になり釣釜を上げると、細目の炭を選んだせいでしょうか、胴炭までよく火が回っています。

M氏は手早く炉中の炭を直し、灰器の焙烙から匙香が焚かれ、湿し灰がサラサラと撒かれました。初掃きで炉辺に寄り、輪胴から炭が初炭と逆回りに継がれていく様子を皆で見守ります。

残り火の風情やM氏の手前所作を味わいながら・・・このままいつまでも皆で見ていたいと思いました。

薬缶が運ばれ、釜が濡れ茶巾で浄められると、湯気がほのぼのと上がり、お客さまからため息が聞こえます。車軸釜の美しい糸目や胴に鋳込まれている文様が濡れて浮き上がり、釜が喜んでいるようで暁庵も嬉しかったです。

 

       (後炭の稽古中です・・・半東M氏)

薄茶になり、煙草盆と干菓子が運ばれました。

干菓子はお点前のAYさんに選んでもらったもので、橘餅(きっぱん、沖縄・謝花きっぱん店)と源氏香(会津葵製)です。

橘餅は初めてで、柑橘類の砂糖漬けのようなお菓子の味が珍しく、とても美味しかったです。

源氏香(落雁)は52種類の中から季節によって変わるそうで、今回は「花宴(はなのえん)」と「若紫」でした。

薄茶はAYさんが三服までお点てし、四客さまからは水屋でお点てして運び出しました。薄茶は「舞の白」(星野園)です。

 

       (薄茶の稽古中です・・・AYさん)

各服点なので6個のお茶碗が並びましたが、ブログに登場したものあり、お客さまを思いながら選んだものありで、茶碗の話に花が咲いて嬉しかったです。

ブログを始めた頃に入手した祥瑞の茶碗、昨年5月の「薔薇の茶会」で使った茶碗(薔薇とすみれ)、歌舞伎に縁のある茶碗(「うずまき」)、京都御所の桜の茶碗、そして「茜雲」の茶碗でした。

薄器は花兎大棗、輪島塗の村田宗覚作、茶杓は高桐院の松長剛山和尚の銘「花の宿」です。

 

       (祥瑞と薔薇の絵の茶碗)

      花兎大棗と茶杓「花の宿」

最後になりましたが、花のことを書いておきます。

先日生けた土佐ミズキの黄色い花が終わり、新芽が出始めました。黄色の花房も見事でしたが、若緑の新芽の美しさも捨てがたく、枝を少し整理しピンクと白の椿を入れて「さくらの茶事」で使うことにしました。

蕾が朝に開いてしまいましたが・・、花入は京都・嵯峨野の竹寸切です。

 

          (さくらの花びらを散華しました)

拝見に出した棗と茶杓を水屋へ引いてから

「散華をさせていただきます」 

AYさんが桜の花びらを懸け仏さまに感謝を込めて散華しました。

散華の後だったので皆さまがまだ興奮冷めやらぬ中、スタッフも全員同席して、お一人お一人とご挨拶を交わしました。

「本日は本当にありがとうございました・・・(感無量です)

・・こうしてブログ400万頁記念「さくらの茶事」が無事に終了しました。 

 

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